102話 魔王と全貌
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102話
「やっぱり人類領の紅茶は美味しいわね。特に最高級ともなると格別ね」
アリステラはデノンハウザーが用意した紅茶を飲み、満足そうに感想を述べる。
「ヘクターあれを王達に渡しなさい。さっきの非礼を詫びて、私からのささやかなる情報よ」
ヘクターは内ポケットから1枚の紙を取り出し、デノンハウザーへと渡す。
「こ、これは! 良いのか?こんな情報渡して」
その紙を見たデノンハウザーは驚き、アリステラを見る。
「フフッ。別にその程度の情報渡したところで何にもならないわよ」
「わかった。皆も見てくれ」
デノンハウザーは渡された紙を机に置いた。
そこに書かれていたのは、スイエルから貰った魔王の情報の完全版だった。
序列1位 『堕天』 堕天使 ルシファー
序列2位 『哮狛天』 神殺しの狼 ヴォルフ
序列3位 『哀艶天』 真祖の吸血鬼 アリステラ=クドゥルフ
序列4位 『暁天』 夢魔 エンプーサ
序列5位 『霜嶺天』 霜の巨人 ヨトゥン=アーベル
序列6位 『樹老天』 樹木の精霊 オノドリム
序列7位 『混交天』 雑種 サーディーン
序列8位 『妖奏天』 妖声の魔物 シレーネ
序列9位 『煌灯天』 鬼火の提燈 ウィル・ザ・ウィスプ
序列10位 『執騎天』 首無し騎士 ベルナルド=アパチッキ
序列11位 『喘妲天』 白面金毛九尾の狐タマモユララ
序列12位 『鴉境天』 鴉天狗 クラマ=カルラ
序列13位 『幽幻天』 二重複体 ナナシ
序列14位 『帽赥天』 残忍な妖精 ロート=ルブルム
序列15位 『牛怪天』 牛頭鬼 アステリオス
序列16位 『蛇礫天』 石の女王 ローザリンド
これが十六天魔王の全貌か...。
俺も含め王達もあまりの情報量の多さになにから処理したらいいか困惑していた。
しかし、故郷を追われた4人の王は、見覚えのある魔王に憎悪する。
「このロート=ルブルムってやつ、私の故郷を無茶苦茶にしたやつだわ。赤い帽子を被って印象的だったから覚えてる...許さない」
耳長族の王ティターニアは序列14位『帽赥天』の名前を見て、怒りを露わにする。
「.......ヴォルフ」
初めて獣人族の王ハイゼルの声を聞いたかもしれない。
どうやら獣人族の故郷を襲ったのは序列2位『哮狛天』 ヴォルフのようだ。
その小さな呟きの中に込められた想いはどれほどのものなのか。ハイゼルが怒りで震えているのを見ると言わなくてもわかる。
「ワシの所を襲ってきたのは巨人じゃった。てことはこのヨトゥン=アーベルってやつか。苦楽を共にした鍛冶師達の恨み必ずとってやる」
小人族の王ガルバンも亡くなった者達を思い出し、仇を取ると誓う。
「私ははっきり覚えています。あれは天使族の堕ちた姿、堕天使ルシファー。同胞を殺す度に愉悦の声をあげて、私達を恐怖へと陥れた。スイエルからも聞きました。堕ちた者は必ず私が浄化してさしあげましょう」
あまり負の感情を出すことのない天使族の王セラフィムがこの時だけは、おっとりとした顔が鬼のようになっていた。
「皆、気持ちはわかるが今はその感情を抑えるのだ」
さっきまで優雅にお茶をしていた空気が今は、憎みと怒りの感情で渦巻いているのを感じたデノンハウザーが釘を刺す。
「よくあんた平静でいられるわね。1番被害受けてんの人族じゃない。少しはこういう気持ちにならないわけ?」
デノンハウザーの言葉を無視して、ティターニアが感情をぶつける。
「なってないと思うのか?ティターニア」
デノンハウザーは平静を装いながらも、強く握り締めすぎた両手から血が出ていた。
その様子を見たティターニア達は怒りの感情を沈める。
「悪かったわ。あの時の事を思い出したらついね」
「わかっておる。魔王よ、すまぬな」
「いいえ、大丈夫よ。それで何か質問はあるかしら? 答えられる範囲なら答えるわよ」
アリステラは空気が悪くなろうが、優雅に紅茶を飲んでいた。
ここで俺は気になる事を質問してみた。
「魔王の情報はわかったが、魔神の情報はどうなんだ?」
俺の言葉にアリステラはティーカップを置き、真剣な表情になる。
「全くないわ。ワイズウェインのことなら少し知っているけれど、それ以外の7人の魔神の事はさっぱりよ」
やはりそう簡単にはいかないな。
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