表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
有能でイケメンクズな夫は今日も浮気に忙しい〜あら旦那様、もうお戻りですか?〜  作者: 秘翠 ミツキ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/105

二十話〜尾行〜



 その日、休日のユーリウスは朝からフラヴィと街を訪れていた。

 基本的に女性と会うのは夜だが、フラヴィは幼馴染という事もあり良く買い物に付き合わされる。正直面倒ではあるが仕方がない。


 馬車に揺られ次の目的地を目指す。

 隣にはベッタリと身体を寄せて座るフラヴィの姿があった。


「これ如何ですか?」


 フラヴィが先程立ち寄った宝石商で購入したばかりのネックレスを見せてくる。胸元には大きめのエメラルドが光っていた。


「ああ、よく似合っている」


「ふふ、ありがとうございます」


 ユーリウスが褒めると頬を染めて嬉しそうに微笑む。

 

(やはり女性はこうでないとな)


 品がありお淑やかであるべきだ。まして貴族の娘ならそれはもはや義務と言っても過言ではないだろう。

 頭に過ぎるのは自分の妻だと思いたくない芋娘の姿だ。


(思い出すだけでも不快だ…………は?)


 つまらない事を考えてしまったと後悔した矢先、窓の外に見覚えのある人物が歩いているのを見つけた。

 一瞬だったが確かにあれは、今正に思い出した事を後悔した人物だった。

 見間違える筈はない。何故ならあんな芋っぽい娘そうはいないだろう。


(こんな場所で一体なにをしているんだ……)


 見た所、侍女や護衛の姿はなかった。

 考えられないが一人で来たという事になる。

 あり得ない、あり得なさ過ぎる……。

 ブロンダン公爵家の嫡男の妻が、馬車にも乗らずお供も付けずに街中を徘徊しているなど現実だと思えない。


「……止めてくれ」


「ユーリウス様、如何なさいましたの?」


「すまない、フラヴィ、急用を思い出した。この埋め合わせは何れする」


「え、あの……」


 ユーリウスは馭者に声を掛け馬車を止めさせると、戸惑うフラヴィを一人残し馬車を降りた。

 馬に乗り付いて来ていた護衛にマントを借りそれを頭から被り、胸元につけていたブローチを留め具にする。

 そして先に屋敷に戻るようにと言い残しエレノラの後を追った。



 一体何処へ向かっているのか、エレノラはひたすら往来を歩いて行く。

 暫くして着いた先は乗り合い馬車の乗り場だった。

 まさか乗る筈はないと思うが、期待を裏切らない芋娘は当たり前のように乗る。

 唖然としながらも慌ててユーリウスも同じ乗り合い馬車に飛び乗った。


(一体なにを考えているんだ……)


 偶然空いてたエレノラの隣に座りながら、ユーリウスは悶々としていた。

 隣に座るアホ面の芋娘を見て、内心ため息を吐く。

 こちらから声を掛けるのは癪に障る。

 そもそも自分が追いかけてくる必要があったのかと自分自身に呆れていた。それこそ侍従に命じれば済んだ話だ。


(なにをしているんだ、私は……。それにしても、本当にアホ面だな)


 こんなに至近距離でまじまじと見た事がなかったが、締まりのない顔で延々とネズミと戯れている。

 一見ただの田舎者で大人しいかと思えば、淡々とそれもハッキリと物申す。訳が分からない。


 二時間程経った後、馬車は止まった。

 するとエレノラは機敏な動きで馬車を降りるとさっさと行ってしまう。

 予想外の出来事に一瞬呆気に取られるも、慌てて後を追った。


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ