表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私は本当に望まれているのですか?  作者: まるねこ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

35/35

番外編


 — レオ・バルべのその後 —


「レオ、今日のお茶会でね、ケイファード伯爵夫人が私に嫌味を言ってきたの」


 俺は執務の手を止め、息を吐きながらミラを見た。


「でね、私、あまりに怖くて泣いちゃったの。そしたらね、夫人ったらね……」

「……セラ。夫人はどんな嫌味を言ったんだ?」


「え? えっとね、『ケーキスタンドは下の段から食べるんですの』って言われたの!


 他にはね『ナプキンで口をごしごし拭くなんてありえないですわ』とか『カップの持ち方が酷いですわ』って言われたの! だって、私だって頑張っているのに。酷いよね」


 俺は指で机をトントンと叩き、重い気持ちを吐き出すようにゆっくりと息を吐いた。


ミラ、それは貴族として当然のマナーだ。君は貴族になってもう三年以上経っている。そろそろ基礎的なマナーを覚えてくれ」

「だってっ。でもね、夫人はとっても意地悪なんだからっ」


ミラは目に涙を溜めて俺に訴えてくる。


 その姿はとても可憐で癒される、と思ったのは結婚して最初の数か月だけだった。


 いつまで経ってもマナーを覚える気がないセラに段々と熱も冷めていく。


 お茶会や舞踏会へ行く度に他の貴族からは苦言を呈される。抗議が向けられないのは、ミラ嬢の後ろ盾が王家ということだからだ。


 ここまで酷いとは思ってもみなかった。


 結婚してすぐに父たちは匙を投げた。


 何かあればセラを領地へ寄越すようにとだけ言って領地に戻ってしまった。


 俺はセラを横目にジネット嬢のことを思い出す。


 彼女は今結婚して三人目の子供を身籠っているという話だ。風の噂では夫婦仲睦まじく過ごしているらしい。


 ……俺があの時、間違えなければきっと彼女の隣は俺だった。


 オルガ・サラフィスに激しい嫉妬を覚える。


 公爵の愛妾の息子の分際で。

 あいつが幸せになって俺は幸せになれないんだ。

 くそっ。


「ねえったら! レオ、聞いてくれているのっ!?」

「ああ、聞いている。ミラ、今度、父たちの居る領地に行こうか」


「本当!? 私、王都から出るのは初めてなの。旅行に行けるなんて嬉しいわ」

「ああ、そうだな。父たちもセラが来ることを喜んでいるからな」

「ふふっ。楽しみ♪」

「ああ、俺も楽しみだ」



 — ジネットのその後 —


「ジネット、大丈夫か?寒くないか?お腹は減っていないか?」

「もうっ、オルガ様ったら心配しすぎです。最近は執務ばっかりでたまには身体を動かさないと鈍ってしまいそう」


「なんだ、そんなことか。鈍ったって問題ない。今日も俺とマリリンでオーガを二十体倒してきた。いつだって俺はジネットが一番大事だ。そのためならいくらでも頑張れる」


「嬉しい。でも、無理はしないで。私、オルガが居なくなったら生きていけないわ」

「ああ、俺だってそうだ。ジネットが居ないこの世界は生きていてもつまらない」


 オルガはそう言って、私をそっと抱きしめた。


 !?


「今、動いたわっ!?」


 彼は私の言葉に目を見開いてお腹に手を当ててくる。


「本当だ。ジネットのお腹がポコポコと動いているな。ジネットのお腹をこんなにも蹴るとは元気な証拠だ。将来が楽しみだな」


 私はオルガの愛に包まれて、今までにないほどの多幸感を覚える。


 本当に幸せです。


【完】



最後までお読みいただきありがとうございました⭐︎


最後の最後に…。↓の⭐︎評価ボタンをポチッとしていただけると嬉しいです!よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
最初はミラで、次にセラとかサラとかになってません?
レオ・バルベのお相手の名前がセラになったりサラになったりしています。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ