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私は本当に望まれているのですか?  作者: まるねこ


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34 彼の気持ちは……

「オルガ様、私がこのベルジエ家を継ぐことになっています。それでも問題ありませんか?」


「問題などない。君はずっと魔獣を討伐してきたんだろう?これからも領民を守るために

 魔獣と戦い続ける。


 とても領主としても素晴らしいことだし、一人の女性としてとても尊敬する。誰にでもできることじゃない。俺は君と出会ったあの時、強くなろうと決めた。


 強くなるために南の辺境地にも赴いた。ジネット嬢と共に魔獣討伐をしたいし、君を支えていきたい」


 !!


 嘘かもしれないと思った。


 でも、その言葉が本当に嬉しくて、今まで頑張ってきたことが報われたようなきがしたの。


 まっすぐ見つめるその視線は他の令嬢ではなく、私に向けられている。

 それが恥ずかしくて、でも、嬉しくて心が落ち着かない。


 私は彼の言葉に感極まって涙が溢れた。


「!! 大丈夫か!? 何か気に食わなかっただろうか?嫌なら言って欲しい」

「ごめんなさい、嬉しくて……。今までそんな言葉を私に掛けてくれる人なんていなかったから」


 私は驚いてあたふたしている彼を見てくすりと笑う。


 この人とならこの先も上手くいきそう、私はそう感じた。


「オルガ様、私、とても嬉しいです。ですが、今までの方々はここで過ごす厳しさに音を上げて去っていきました。この辺境伯では何が起こるかわかりません。ひと月後にもう一度返事を聞いてもいいですか?」

「ああ、もちろんだ。きっと俺の答えは変わっていない」


 オルガ様はそう断言する。


 私はふわふわと踊りだしたくなる気持ちを抑え、自室に戻った。


「お嬢様、オルガ様は今までのゴミ屑たちとは違いホッとしました」

「ケイティ……。そうだといいわね。でも『魔獣討伐が嫌になった。婚姻はなかったことに』って言われたらどうしよう」


「お嬢様のことを思って何年も鍛錬してきた人がそんなことで嫌にはなりません。むしろオルガ様もお嬢様と同様に脳みそまで筋肉で出来ているという話です。お嬢様とお似合いだと思いますよ」

「ふふっ、ありがとう」


 ケイティの言葉で改めて自分の気持ちを自覚する。


 彼と共に歩んでいきたい。



 それからひと月の間、オルガ様はベルジエ領で過ごした。何度も領地は魔獣の襲撃に見舞われたが、彼は嫌な顔一つせずに討伐に参加していた。両親も領民たちも、マリリンも彼を自然と受け入れているわ。


 オルガ様も王都の煩わしさがなくなったことで顔色もよくなり、動きも更によくなった。




 約束の日-。


 私とオルガ様は城壁から森を眺めていた。


「やはりここはいつ見ても素晴らしいな」

「素晴らしい、ですか?」


 私はオルガ様の言葉に疑問が浮かび聞き返していた。


 ふわりと風が髪を巻き上げ、私は手を添えて髪を抑える。


「ああ。これだけ深い森に様々な魔獣が存在し共存している。大変なはずなのにベルジエ領の人々は皆、明るい。これは領主のおかげだろう。マリリエットグリーンも君がいることでこの地に留まっている。大型の竜がいることで魔獣が警戒し、近づくことも少ない。全てが素晴らしいことだと思っている」


 彼はベルジエ領を褒めてくれている。


 自分が褒められているようでくすぐったい気持ちになる。彼はこの一ヶ月もの間、領民と馴染んでいた。


 私は彼と過ごすうちに彼の優しさや強さを感じ、ずっと傍にいたいと思うようになった。


 彼は私のことをどう思ってくれているのだろうか。


「オルガ様、このひと月、ここで過ごしてみてどうでしたか?オルガ様は王都に戻りたいと願われますか?」


 オルガ様は私に身体を向け、真剣な表情で口を開いた。


「ジネット嬢、俺はここに来た当初から君と生涯を共に過ごしたいと話をしていた。ひと月経った今もその気持ちは変わらない。俺はこの地で貴女の傍で貴女を支えていきたい。ジネット嬢、どうか私と結婚してほしい」


 心臓の音だけが煩く聞こえてくる。


 彼は私の前に跪き、ポケットから小箱を取り出して私に開いて見せた。


「どうか、受け取って欲しい」

「貴族令嬢らしくない、いつも大斧を振り回している私でいいのですか……?」

「俺は婚約者になってから君の強さも弱さも理解しているつもりだ」


 私はゆっくり息をした後、オルガ様の目を見た。


「オルガ様、私を妻にもらってください。オルガ様と顔合わせした時から心惹かれ、逢う度にもっと話をしたい、会いたい気持ちが募るばかりで自分でも気持ちを持て余すことばかりでした。


 会えばもっと会いたいと思ってしまう。そんな我儘で強情っぱりな女でよかったら私を妻にしてください。侯爵になる私をいつまでも傍で支えてくださいませんか?」


 私が緊張しながらそう言うと、オルガ様はぐっと私の手を引いた。


 その勢いで彼の身体の方に近づくとそのまま温もりに抱きしめられる。


「ジネット、生涯君を愛し続ける」

 彼はそう呟き深いキスをする。


 心臓が早鐘を打ち、当分は治まりそうにない。


 そこからの展開は速かった。

 怒涛のように過ぎていく毎日。


 皆に祝福されて純白のドレスに身を包むことができた。


 私、今、本当に幸せです!


【完】


最後までお読みいただきありがとうございます⭐︎


 久々に新作を書いたのでまだまだリハビリが必要だなと痛感しました。汗

 今回の作品は異世界恋愛に立ち返り、強い女性とは何か、ヒーローの強さとは何か。反省点も沢山見えて白目になりました。笑

 まだまだ未熟者ですが、これからも頑張っていきます。


 この後、1話番外編あります。

 最後までお読みいただけると嬉しいです⭐︎


↓下の⭐︎評価をしていただけると作者は狂喜乱舞します。どうかよろしくお願いします!

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