第77話 2人で作るライスケーキ
翌日、僕とアリアは、早速ライスケーキの試作品作りに取り組むことにした。
作るのは「サーモンと青じそ、錦糸卵のライスケーキ」、それから「ローストビーフとマッシュポテト、コーンのライスケーキ」の2種類。
ローストビーフは、昨日グラムスのレストランでもらったものを使うことにした。
「まずはじゃがいもを茹でて、その間にコーンをバター醤油で炒めよう」
フライパンにバターを熱し、芯から削ぎ落としたコーンを炒める。
火が通ったら、少し塩コショウを加えて、それから醤油で味を調えれば完成だ。
醤油を入れると、ジュワっという音とともに、香ばしい香りが一気に広がる。
「す、すっごくいい匂い……。このまま食べちゃいたくなるわ」
「味見していいよ。はいこれ」
「んーっ! おいしいっ! コーンの甘さと醤油、すっごく合う!」
アリアが試食を堪能している間に、炊飯したごはんの半分にコーンのバター醤油炒めを混ぜ込んでいく。
それから茹で上がったじゃがいもの皮をむいて、バターを入れてフォークで――
「……アリアもやってみる?」
「いいの!? やるっ!」
「じゃあ、このじゃがいもをフォークで潰してくれるかな」
「はーい!」
アリアにじゃがいもを任せ、僕は錦糸卵作りに取りかかることにした。
卵に塩、それから水溶き片栗粉を少量加えて、油をひいて熱したフライパンで薄焼き卵を作っていく。
この時、入れたと同時くらいに火を止めるのが綺麗に作るコツだ。
薄焼き卵ができたら、粗熱をとって千切りにしていく。
「フェリク、こんな感じでどうかな?」
「いいね。これに塩コショウと、あとは牛乳を……」
「これでまた混ぜればいいの?」
「うん、任せるよ」
マッシュポテトを再びアリアに任せ、玉ねぎソースを作っていく。
みじん切りにした玉ねぎをバターとにんにくで炒め、醤油と酒、みりん、砂糖を加えて煮詰めていく。汁気がトロッとしたら完成だ。
――あとは薄くスライスしたきゅうりを塩で漬けて……。
よし、これで調理が必要なものは作り終えたかな!
あとは作ったものとごはんを組み合わせて、ケーキのように重ねていくだけだ。
まな板の上にセルクルを2つ置き、片方の内側にきゅうりを貼りつける。
「まずはローストビーフの方から作ろうか」
「ねえこのマッシュポテトおいしいーっ!」
「ちょ――あんまり食べたら足りなくなるよっ!?」
きゅうりを貼りつけたセルクルに、コーン入りごはんを3分の2の高さまで詰めて、真ん中を少しくぼませておく。
薄くスライスしたローストビーフを半分に折って2~3枚重ねたものをくるくると巻き、そのくぼみにセット。
アリアが作ってくれたマッシュポテトを絞り袋に入れて、ケーキに乗せるクリームのように飾っていく。
あとはハーブで彩りを添えて、玉ねぎソースをかければ完成だ。
「どんなのができたの? この輪っか取っていい?」
「もうちょっと待って。もう1つ作ってから!」
もう1つのセルクルでは、サーモンのライスケーキを作る。
ごはんを3分の1ほど詰めて錦糸卵を乗せ、その上にごはんを乗せてさらに錦糸卵を散らし、真ん中を少しくぼませる。
そこに洗って縦半分に切った青じそを乗せ、薄く切って醤油で和えたサーモンを2~3枚重ね、くるっと巻いたものをオン!
サーモンの上から少しだけ醤油を垂らせば……
「よし、できた!」
お皿に移し、そっとセルクルを抜けば――
「わあ……! 本当にケーキみたいっ!」
「だろ? 我ながらうまくできてよかった。それ、食べていいよ。僕はもう1つずつ自分用に作るから」
「い、いいの!? すごい、食べるのもったいない……。でも食べちゃうけどっ♪ いただきまーすっ!」
アリアはいつも以上に目を輝かせ、まるで宝物に触れるかのようにそっとフォークを入れ、口へと運ぶ。
「お、おいしいっ! この生の鮭はサーモンって呼び名なのね。青じそと合うし、錦糸卵の塩気と醤油がごはんにちょうどいいっ」
「お、おう。それはよかった!」
そういえば、生の鮭って不思議とサーモンって言うよな。
実際は英語に直しただけで意味が違うわけじゃないのに。なんでだろう?
「この玉ねぎのソースもからくないっ! お肉とも合うし、私これなら食べられるわ。マッシュポテトも最高ね。これ、私が作ったのよね!?」
「ああ、そうだよ。おいしくできてる」
「えへへ、嬉しいなー。今度ママとパパにも作ってあげようっと♪」
「じゃあ、あとで作り方と分量を書いて渡すよ」
自分用に作ったライスケーキを食べながら、心の中で「さすが僕!」とガッツポーズを決める。
これならきっと、領主様もよろこんでくれるはず。
――にしても、鮭に青じそ、肉にコーンを組み合わせたアリアはセンスがあるな。
今後が楽しみだ。




