海ダンジョン1
朝起きると、ライチはきちんと昨日寝た所で寝ていた。他の子達は、相変わらずどこかに転がっていた。
「みんな、おはよう」
『おはようくま』
『おはようぴょん』
『おはようぱん~』
『おはよぴよ』
出掛ける準備をしていたら、ふと気が付いた事があった。
「そういえば、王都へ帰ったら耳付きフード作って貰わなきゃね……でもライチには耳がない!」
『そうなのぴょん。あっ、羽が良いかもぴょん!』
「ベリー、それは良いアイディアだね。ライチと一緒に羽付きにして貰おうね」
『ライチとも一緒してくれるのうれしいぴよ~』
今日は冒険者ギルドへ行くから、ベリーフードを着て食堂へ向かう。ここリンツで食べるご飯でちょっと残念なのはご飯とお醤油がない事だ。そのままでも美味しいけれど、お醤油とご飯があったらもっと美味しく食べられるのに……と思ってしまう。
早くここまでお味噌とかお醤油が運ばれてくるといいなぁ。
それでも、宿のご飯は美味しかったので、みんなで仲良く完食しました。食べた後は、宿を出て冒険者ギルドへ向かう。
冒険者ギルドの中に入り、依頼票を見て何か楽しそうな依頼がないか探してみる。
「あっ、これ面白そうだよ。海ダンジョンでの採取依頼だって」
『行きたいくまー!』
『海ダンジョン面白そうぴょん!』
『面白そうぱん』
『行ってみたいぴよ』
みんな行きたいみたいなので、受付のお姉さんに依頼票を持って行って、ギルドカードと依頼票を渡して手続きをして貰う。
「こんにちは、これをお願いします。後、この子の獣魔登録お願い出来ますか?」
『よろしくぴよ~』
「こんにちは、可愛い獣魔さんですね。獣魔登録と依頼受付ですね。少々お待ちくださいね」
依頼は海ダンジョンで採れる食べられる物の採取なので、何か採ってきたら見て貰えば良いかな。
「はい、手続き完了しました。気を付けて行ってきて下さいね」
「ありがとうございました、行ってきます」
この海ダンジョンは20階までで、5階ごとにボスがいるのだそう。20階まで行けたら行こうかな。ダンジョンはリンツの街の東門を出てすぐの所に入口があるので、東門へ向かう。途中、宿に今日は帰れないかもしれないことを伝えてから向かう。
「ダンジョンはほとんど行ってないから楽しみだね」
『罠があったら知らせるぱんね』
「わっ、そっか。ダンジョンだから罠があるかもなのだね、タルトお願いね」
『任せるぱん』
『ハル、びりびりして良いぴょん?』
「うん、もちろん。ベリーもお願いね」
『ぼくもがんばるくま!』
『ライチもがんばるぴよ!』
「うん、ひぃろもライチもよろしくね。でも疲れたら獣魔のお部屋で休んでも良いんだからね。怪我しないように気を付けて楽しもうね」
『くまっ!』
『ぴょん!』
『ぱん!』
『ぴよっ!』
東門で手続きをしてもらい、ダンジョン前でも入る手続きをして貰ってから中に入る。中に入ると、とても綺麗な光景だった。
「わぁ! すごいね、海の中にいるみたい!」
『本当くまね。ダンジョンの中全体が水色で、お水の中にいる時と同じ感じくま~』
「わっ! お魚が空泳いでいるよ!」
『わぁ、凄いぴょん!』
『ハル、あれ敵だぱん。気を付けてぱん』
「あっ、そうだった。シールド!」
つい、綺麗な景色に見とれて敵だという事を忘れていた。みんなにシールドを掛けて、雷を纏わせる。誰が攻撃されても反撃出来るようにしておいた。
「ライチは私と一緒ね」
『分かったぴよ』
ライチはまだ小さいので私の頭の上にいるので、一緒にシールドを掛けた。ひぃろ達は下でぽよんぽよん跳ねている。今回はあんまりしっぽで癒されていると危なそうなので、気を付けないとだね。
「よし! お魚いっぱい採って帰ろう~!」
魚屋さんで大量に買いにくかったから、ここのダンジョンで沢山お魚が採って帰れると嬉しい。他にも何かあると嬉しいので、鑑定もしっかり発動させておく。
『行ってくるぴょん!』
『ぼくも行くくま~!』
『ハルは、そこの壁に罠があるから触っちゃダメぱんよ』
「えっ!? わ、分かった。ありがとう」
まさか1階から罠があるだなんて思わなかった……本当に気を付けよう。
『ハル、ぼくを肩に乗せてぱん。そこの方が場所が教えやすいぱん』
「うん、お願いします」
タルトに小さくなって貰って肩に乗せる。いつもと違ってなんだか新鮮な感じだ。
そう、タルトとお話をしていたらもうさっきの泳いでいたお魚を倒して来ていた。見てみると、食べられるお魚だった。アイテムボックスにしっかり仕舞っていく。その間も次々にひぃろとベリーが倒していく。
(相変わらず頼もしいなぁ)
『ハル、ライチも攻撃してみたいぴよ』
「ん? いいよー。でも無理しないようにね」
『はいぴよ~! ファイアアロー!』
(うわぁ……凄い威力。さすがフェニックスタイプ)
ある程度倒して先に進む。まだ1階だしね……まだまだ先は長いのよ。歩いて階段を目指していると、お水がないのに海藻も生えていて揺れている。
(お水もないのに不思議海藻だねぇ)
もちろん食べられるみたいなので、海藻も採取していく。少し歩くと階段があったので、次の階へ向かう。次の階はまた同じお魚だったので、さくさくっと倒して先に進んで行く。もちろんドロップのお魚はアイテムボックスに大事に仕舞って行きます。
お魚大量で嬉しいなぁ。焼いても煮ても美味しいお魚、嬉しいなぁ。お刺身で食べられるお魚あるといいなぁ。お寿司食べたーい!
そんな事を考えていたら2階の階段へ着いた。次の階へ向かうと、次の階ではさっきより少し大きなお魚が泳いでいた。今度のお魚はこっちへ向かってくるみたいだ。でもみんなのシールドに雷を纏わせているので、びりっと倒しちゃった。これはこれで、楽? 良いの? って感じだね。
ドロップをアイテムボックスへ仕舞いながら歩いて行くだけで倒していく。ひぃろ達の方を見ても同じで、ひぃろとベリーに当たるとぽふん! とお魚を落としていた。
ひぃろ達が倒した(?)お魚もアイテムボックスにきちんと仕舞って先へ進んだ。5階まで同じお魚が出たので、次々倒して進んでいた。5階のボス部屋の前に着いた。ボス部屋の前には安全な休憩スペースがあったので、そこで少しお茶していく事にした。
土魔法で椅子とテーブルを作って、お茶の準備をする。今日は簡単にアイスティーとチョコレートを出した。
「ここまでは全然問題なかったね。ボスは何だろうね」
『頑張るくま!』
『頑張るぴょん!』
『ライチもやるぴよー!』
『ぼくは罠の見張り頑張るぱん!』
「ふふ、みんな頼もしいね。頑張ってね。タルトは安全を見てくれてありがとうね」
みんなをなでなでしてからお片付けをして、ボス部屋に向かう。ボス部屋を開けたら、お家くらいあるお魚だった。あれだけで何人前のお刺身出来るかなぁ、なんて悠長に考えちゃった。
これはきっと3人が攻撃したらあっという間に倒しそう……と思ったらもう倒してた、はやっ!
「えぇぇ?! も、もう倒したの!」
『弱いくま?』
『このボス弱いぴょん!』
『弱いぴよー』
(まさかのひよこちゃんの見た目のライチに言われるなんて……)
「みんなが強いんだと思うよ?」
ドロップを拾いに行ったら、魔石とマグロより大きなお魚がドロップしていた。これ、アイテムボックスがない冒険者さん達が来たら大変だね……。
ボス部屋の真ん中に階段が現れた。倒すと階段が出るのだね、先に進もう。
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明日も海ダンジョンが続きます。
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