新しい家族は?(11月22日改訂)
宿を探して歩いていると、小さめの街なのですぐに見つかった。
「こんにちは、獣魔のスライムも一緒なのですが、泊まれますか?」
「こんにちは! スライムだったら一緒に泊まって貰えますよ。何泊されますか?」
「5泊でお願いします」
「1泊小銀貨7枚で、5泊で銀貨3枚と小銀貨5枚です。こちらに記入お願いします」
「はい、よろしくお願いします」
「ハルさんですね、獣魔さん達もよろしくお願いしますね。私はエミルと言います」
「よろしくお願いします」
お部屋は3階の手前の部屋だそうだ。部屋に入ってみると、海が見えるとても素敵な部屋だった。
「わぁ、とても素敵なお部屋だね」
『海がキラキラくま~』
『なんだか揺れててキラキラしてるぴょん』
「うん、波があるからキラキラ綺麗だよね」
『お水がざざーってしている所でコロコロしてみたいぱん』
(タルト、それは遊びなの?)
『それは楽しそうくま!』
『楽しそうぴょん~!』
(楽しそうなの!?)
お夕飯の時間までひぃろ達は、楽しそうにお話しながらお外を眺めていた。暗くなってきて見えなくなってちょっとしょんぼりしていたから、明日は海に連れて行ってあげようかな。
気分を変える為にも、お夕飯を食べに行く事にする。みんなで食堂へ向かうとエミルさんがお夕飯を持ってきてくれた。今日のお夕飯はお魚の塩焼きとスープ、パンだった。
(せっかくのお魚、パンじゃなくてご飯で食べたいなぁ)
それでも、お魚の塩焼きなんて久しぶりに食べたので、とても美味しかった。ひぃろ達は骨も食べられるみたいだ。さすがスライム。
ご飯を美味しく食べた後は、お部屋に戻ってのんびり休む。お茶を入れてひぃろ達と明日の予定を話し合う。
「明日は海に行ってみよう!」
『行くぱん~! コロコロしたいぱん~!』
『海で遊ぶぴょん?』
「うん、もちろん良いよ。沢山遊ぼうね」
『ぼくもコロコロやってみるくま~』
「ふふ、みんなコロコロ好きなんだね。じゃぁ、今日は私にコロコロされたい人~?」
『くまっ!』
『ぴょん!』
『ぱんっ!』
全員だった。1人ずつ手でコロコロ転がしてむぎゅーっとしちゃう。いつもふもふしても気持ちがいいなぁ。みんなで楽しく遊んだ後は、一緒に寝る。
翌朝、起きた後お着換えをして出掛ける準備をしてから、食堂へ向かう。食堂でエミルさんが朝ごはんを持ってきてくれた。
みんなで美味しく食べてから、宿を出て街を歩く。ここは港町だから屋台も海鮮物が多くて、どれもとっても美味しそうだ。色々食べて回りたいなぁ。
『ハル~、美味しそうな匂いがするくま~!』
『食べたいぴょん』
『お腹空いちゃうぱん~』
「ふふ、でも朝ごはん食べたばかりだけど、食べられるの?」
『もっちろんくま!』
『もちろんぴょん』
『余裕だぱん!』
「じゃぁ、私も食べてみたかったし、少し買ってみんなで分けて食べようか」
貝を串に刺して焼いているのと、さつま揚げみたいなのを見つけたので、それにした。
「ん~、どっちも美味しいねぇ」
『美味しいくま~』
『美味しいぴょん』
『どっちも美味しいぱん~』
その後も街を見て歩いて海を目指す。海に着いたら、みんながとっても楽しそうに波に突進していった。
ざざーん コロコロコロ
ざざーん コロコロコロ
『楽しいくま~』
『きゃー、コロコロ楽しいぴょん~』
『もっとコロコロするぱん~』
(ふふ、あれは遊んでいるのだね~。見ているとちょっとドキドキしちゃうけれど……)
波でコロコロ遊ぶひぃろ達、ちょっとドキドキするけれど楽しそうなので満足するまで遊ばせてあげる。最初ちょっとドキッとしたけれど、楽しそうにコロコロしているのを見ているとこっちまで楽しくなってきた。
ひぃろ達が満足するまで波打ち際で遊んでから、近くに岩場があったのでそっちにも行ってみた。潮溜りがあって、そこにすぽっと嵌るひぃろ達。その途端、波が来て今度はくるくるくる~と回る。
(今日は回ってばかりだね~。でも楽しそうだ)
『きゃー、目が回るくまー』
慌ててひぃろを抱っこして救出すると……。
『もう一回やるくま~!』
楽しかったみたいなので、潮溜りに戻してあげた。
(やっぱり楽しかったのね)
『私ももっとやるぴょん! きゃーっ』
『ぼくももっとやるぱん~! きゃーっ』
「ふふ、とっても楽しそうだね~」
『ハルもやるぱん?』
「ん~、私にはちょっと出来ないから、代わりにやってくれる?」
『わかったくま~』
『分かったぴょん~』
『分かったぱん~』
潮溜りに色々ありそうだから探そうと思ったけど、ひぃろ達があまりにも楽しそうで可愛くて目が離せなくて、結局ずっと眺めてしまった。
みんな楽しく遊んだ後、街に入った所でネコが小さいオレンジ色のボール? で遊んでいる。
「ボール? でもふわふわしてる?」
『ハル? どうしたくま?』
「いや、あのネコさんが遊んでいるのってボールなのかな? って思って」
『わわっ、大変くま! ハル! あれは特殊スライムくまー!』
「えぇぇぇ?!」
その間もネコにペシペシコロコロされているスライムはポーン! と飛んで行った。飛んで行った先でもコロコロして……ぱくんっ! とペリカンに食べられた。
「あぁっ! た、食べちゃだめ~!」
『た、助けるくまー』
『大変だぴょん!』
『待ってぱん~!!』
ペリカンの近くまで行って、そぉーっと近づくと声を掛けてみた。
「あの、ペリカンさん。その子、この子達の仲間だから返してくれる?」
ペリカンはじーっと私を見つめてから、近づいてきて口を開けてくれた。もしかして助けてあげてたのかな?
「助けてくれたんだね、ありがとう」
特殊スライムを抱っこして助けてあげた。ペリカンさんを撫でてあげたらさっとどこかへ行ってしまった。特殊スライムは今、ひぃろ達とお話している。私は邪魔しないように少し離れて見守っている。
おっ、終わったみたい。ひぃろが頭に乗せて私の所に来た。オレンジ色のふわふわした丸い体に小さくちょこっと羽(?)が生えているみたいでオレンジのひよこみたい。手? 羽? があるスライムも珍しいなぁ。
『ハル、この子も家族にしてくま~』
「うん、でも良いの?」
『まだ小さいから危ないのぴょん』
『助けてあげて欲しいぱん』
「君も私の家族になってくれるの?」
ぽよん! とひぃろの頭の上で跳ねるとスライムが光った。光が収まると可愛い声が聞こえた。
『よろしくぴよ!』
(やっぱり語尾はぴよなのね~。可愛いっ!)
「お名前はある?」
『ないからハルが付けてぴよ~』
「ん~、じゃぁライチってどうかな?」
『ライチぴよ、よろしくぴよ~』
「ふふ、よろしくね。さて、海でお茶にしようか~。そこで鑑定させて貰っていいかな?」
『いいぴよ~』
みんなでまた海に戻って、椅子とテーブルを土魔法で作ってお茶の準備をする。今日のおやつは何がいいかなぁ。ドーナツにしようかな。準備をしている間、みんなはまた波打ち際でコロコロしている。
材料を準備して、錬金して作っちゃおう。お茶はドーナツだったら、アイスティーにしようかな。
準備をしてみんなを座らせてあげて、ご挨拶をしてから食べ始める。
「ドーナツ美味しいね~。ライチは食べられるかな?」
『食べにくいから割って欲しいぴよ』
ドーナツを小さく割ってあげると、美味しそうに食べ始めた。私はその間にライチの鑑定をする。
名前:ライチ
種族:特殊スライム(フェニックスタイプ)
LV:1
スキル:再生、炎魔法
「えぇぇぇぇ?! ライチってフェニックスなの?!」
『ぴよ? そうぴよ。フェニックスタイプぴよ~』
(ひよこでも、ニワトリでもないのだね、びっくりした。しかもフェニックスって……見えない、オレンジのひよこだよ?)
「スキルが再生だね。どんな効果なのかな?」
再生:前の状態に戻す事が出来る。
「凄いね、前の状態に戻す事が出来るのだね。あれ? もしかして、この前見つけた腐った鉱石が腐る前の状態に出来るって事?」
『出来ると思うぴよ~』
「宿のお部屋に帰ったら試して貰っても良いかな? 嫌だったり無理だったら良いからね」
『わかったぴよ~』
そういえば、ひぃろ達の鑑定も最近全然やってないから今度やらないとだね。
お茶をした後は、お片付けをして、街に向かう事にする。食材屋さんで良い物あるといいなぁ。
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Twitterに羊毛フェルトで作ったライチも載せましたので、そちらも見て頂けたら嬉しいです。
https://twitter.com/nekono_kyara/status/1329961634723291138?s=19
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