飛ぶかぼちゃ1
すっきりと目覚めたので、周りを見渡してみると、ちょうどみんな起きた所だったみたいだ。眠そうなひぃろとタルトに寝起きから元気なベリー。お出かけ準備をしてから食堂へ朝ごはんを食べに行く。
「ステラさん、おはようございます」
「ハルちゃん、おはよう。メレが明日にお料理会しましょうって言っていたわ。ハルちゃんは大丈夫かしら?」
「はい、明日で大丈夫です」
「ふふ、明日も楽しみだわ。一緒に行きましょうね」
「はい、お願いします」
ステラさんに朝ごはんを持ってきてもらい、皆で美味しく食べる。今日のメニューは、オークベーコンと目玉焼き、サラダ、パン、昨日作った豚汁風のお味噌汁があった。どれも美味しかった。そしてサラダもドレッシングが使われていて更に美味しくなっていた。
食べた後は、宿を出て、冒険者ギルドへ向かう。冒険者ギルドのドアを開けて依頼票を見に行こうと思ったけれど、すごい人だ。
それでも、依頼を見に行こうと思ったら、フードの中からタルトに止められた。
『ハル、一度リルさんの所に行ってぱん!』
「う、うん。分かったよ」
タルトがこう言う時は危険な時だもんね。依頼票を見に行かずに、リルさんに挨拶しにいく。
「リルさん、おはようございます」
「ハルちゃん達、おはよう。依頼を受けるのかしら?」
「受けようと思ったら凄い人だったので、先にリルさんに挨拶に来ちゃいました」
「ふふ、ありがとう。じゃぁ、お勧めの依頼で良ければこっちで出来るわよ?」
あの人混みに入らなくて良いのはとても助かるので、リルさんにお願いした。タルトが危険を知らせてくれて、ちょっとドキッとしたから少し落ち着きたいしね。
「これはどうかしら。東の森で、飛ぶかぼちゃの採取があるの」
「と、飛ぶかぼちゃですか?? どんなのだろう? ひぃろ達は知っている?」
『知ってるくま。飛ぶかぼちゃは、飛んでるかぼちゃくま!』
『かぼちゃが飛ぶのぴょん!』
「う、うん……」
えっへん! って感じで教えてくれるけれど、2人ともそのままだよ? よく分からないけれど、タルトもダメと言わないから大丈夫なんだろう。行ってみようか。
「え~っと、よく分からないけれど、それでお願いします」
「ふふ、楽しい依頼よ? それに飛ぶかぼちゃは美味しいのよ~」
「あっ、それは……」
『美味しいくま?!』
『美味しいぴょん!』
『行くぱん!』
「やる気モードに……」
「ハルちゃん、ごめんなさいね」
「いえいえ、楽しそうな依頼ありがとうございます。行ってきますね」
「えぇ、気を付けて行ってらっしゃい」
美味しいかぼちゃが手に入るならまぁ、良いかな。何よりみんな楽しそうだし。しかし、飛ぶかぼちゃってどんなのか気になるね。
東門を出て森の奥へ向かう。門を出て落ち着いたので、3人はぽよんぽよん飛び跳ねて進んでいる。相変わらずの後ろ姿に、癒されながら進む。
「ねぇ、ひぃろ。飛ぶかぼちゃってどこら辺に出るのかな?」
『う~ん、もう少し先くま』
「そうなんだ。じゃぁ、お願いね」
明日のお料理会でもかぼちゃを使えるかもしれないね。かぼちゃ料理は何が美味しいかなぁ。ひき肉と合わせてそぼろ煮もいいね、後はかぼちゃコロッケも食べたいなぁ。
そんな事を考えながら歩いていると、ひぃろが立ち止まった。
『ハル、オークが2匹いたくま』
「よし、倒そう!」
『お肉ぴょん!』
『お肉ぱん~! がんばってぱん!』
みんなにシールドを掛けて、ベリーには強めの雷を纏わせる
「ベリー、びりびりする? 準備はしたけど、どうする?」
『ハル、ありがとうぴょん! もちろんやるぴょん!』
どっしーん! びりびりびりっ!!
オーク肉美味しいから積極的に狩っちゃうぞー! といいつつ何もする間もなくひぃろとベリーが倒した。
ぽんっとお肉と討伐記録カードがドロップされたので、アイテムボックスに仕舞っておく。
「オークもいるなんて、来て良かったね。少し休憩するかな?」
『くまっ! クッキー食べたいくま』
『ぴょん! アイスティーがいいぴょん』
『ぱん! フィナンシェ食べたいぱん』
「ふふ、リクエスト言ってくれてありがとう。じゃぁ、少し待っててね」
土魔法で椅子とテーブルを作って、みんなにクリーンを掛けて乗せてあげる。それからお皿に乗せて、アイスティーを入れる。全員分準備が出来たらのんびりお茶タイムだ。
「歩いて来たから、アイスティーがさっぱりと美味しいね」
『このクッキーとフィナンシェも美味しいくま~』
『アイスティーとも合って美味しいぴょん』
『どれも美味しいぱん~』
みんなでお茶をした後は、お片付けをしてまた飛ぶかぼちゃを探しに行く。ひぃろが言うにはもう少しで着くみたい。楽しみだなぁ。
『着いたくま~。ハル、あれが飛ぶかぼちゃくま!』
「えぇぇぇぇ! ほ、本当にかぼちゃが飛んでる! って大きくない?!」
見た目かぼちゃに羽が生えていて、パタパタふわふわ浮いている。蔓もないし、どうやって育ってるのか不思議だ。
でも、大きい……直径1メートルくらいのかぼちゃ……大きいよ。どうやって収穫するんだろう。
「ねぇ、これはどうやって収穫? 採取? したらいいのかな?」
『ぴょんぴょん飛んで近づいて捕まえるくま! でもぴょんぴょんしないと潰されるくま』
「えぇぇ!? ま、またそんな危険なの?!」
『ぴょんぴょん飛ぶだけだから簡単だぴょん!』
『ぼくでも行けそうぱん』
「うぅぅ……と、とりあえずやってみる!」
ぴょんぴょん……よし、もうすぐ捕まえられる! スカッ! ゴロン
「きゃー! し、シールドっ!」
転んだ所にかぼちゃが上から落ちてきた。
『ハル、大丈夫くま?!』
ひぃろがぴょんぴょん跳んで来て、かぼちゃを捕まえてくれたので、ぽふんとかぼちゃに変わったので助かった。
『大丈夫ぴょん? ヒールだぴょん!』
『ハル、大丈夫ぱん?』
「あ、ありがとう」
うぅ……まさか避けられた上に転ぶだなんて……やっぱり無理だった。
周りを見たら、タルトも上手に飛ぶかぼちゃを捕まえている。さすがはスライムだ、跳ねるの上手だよね。
「みんな、ごめんね……私には無理だったみたい」
『任せるくま!』
『任せるぴょん!』
『ぼくにも任せてぱん!』
「みんな、ありがとう!」
ちょっとしょんぼりしたけど、みんなが頼りになるし優しいし、うちの子達は最高です。みんなはぴょんぴょん飛び跳ねて飛ぶかぼちゃに乗っかるとぽふんっ!とかぼちゃがドロップされた。またこれも魔物なのね。
私は自分が出来る事をやろう。少し離れた所に、椅子とテーブルと作業台を土魔法で作る。コンロを置いて、お昼ご飯を作る事にする。
さっき私の上に乗っていたかぼちゃを料理しちゃうんだから! かぼちゃになっていたら負けないもんっ!
と変なテンションになったけど、かぼちゃ料理を作って待ってよう。
ご飯もかぼちゃコロッケも、衣をつける所までは錬金で作っちゃう。かぼちゃサラダは今日はこってりにしちゃおう。かぼちゃを茹でて、茹でている間に、前に作ったオークベーコンを一口大に切って焼く。
かぼちゃが柔らかくなったら、潰して塩胡椒をして味を馴染ませたら焼いたオークベーコンも混ぜる。これで、燻製の香りも付いてこってりかぼちゃサラダの出来上がり~。
さて、飛ぶかぼちゃはどうなったかなとひぃろ達を見てみると……。
「うわぁ……かぼちゃの山だ」
すごい頑張ってくれたみたいで、本当にかぼちゃが山積みだった。
「ひぃろ達すごい沢山頑張ってくれたんだね、ありがとう」
『ハル、いっぱい楽しかったくま~』
『いっぱいぴょんぴょん楽しかったぴょん』
『ぼくもいっぱい楽しかったぱん~』
うん、みんな楽しかったみたいだけど、でもいつもぴょんぴょんしてるけどね。
「そっか、沢山ありがとうね。みんなが楽しくて良かったよ。さ、疲れただろうからご飯にしようか」
『ご飯くまー』
『ご飯だぴょん』
『お腹空いたぱん~』
大量のかぼちゃはアイテムボックスに仕舞ってから、みんなにクリーンを掛けて椅子に座らせてあげる。
「今日はみんなが頑張ってくれたから、かぼちゃのコロッケとかぼちゃサラダとご飯だよ」
みんなそれぞれにお皿に取り分けて目の前に置いてあげる。
「さ、食べよう。アイスティーもどうぞ」
みんなでいただきますをして食べ始める。かぼちゃコロッケ美味しいなぁ。それにかぼちゃサラダもこってりと美味しい。ベーコンの旨味がすごい。
『ハル、全部美味しいくま~』
『このかぼちゃサラダもベーコンの旨味も凄くて美味しいぴょん』
『ぼくもこのかぼちゃサラダ美味しくて好きぱん』
「この後はどうしようか?」
『もう少し先にまだいるみたいくま』
『行くぴょん!』
『行くぱん!』
「えぇ!? まだぴょんぴょん出来るの?」
『楽しいぱん!』
「楽しかったんだね。じゃぁ、もう少しかぼちゃを集めてから帰ろうか。無理はしないようにね」
『分かったくま』
『分かったぴょん』
『分かったぱん』
タルトも初めて参加出来て楽しかったみたいだ。すでにアイテムボックスに大量のかぼちゃがあるけれど、時間停止だからまぁ、いいか。楽しそうだからもう少しかぼちゃを集める事にした。
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明日も飛ぶかぼちゃの採取にみんなぴょんぴょん頑張ります。
楽しく読んで頂けたら嬉しいです。




