ブレストの街
ブレストの街が遠くに見えてから更に30分かかって、やっとブレストの街に着いた。
「こんにちは。カードはありますか?」
「こんにちは、お願いします」
門番さんに黄色のギルドカードを提示したらすごく驚かれた。
「凄いな、そんなに小さいのにC級冒険者なのか。獣魔も確認したから通っていいぞ。ようこそ、ブレストの街へ」
「すみません、初めてなのですが、冒険者ギルドはどこにありますか? 後お勧めの宿があれば聞きたいのですが」
「冒険者ギルドはここの通りをまっすぐ行くと大きな十字路があるから、十字路を渡った右側にあるぞ。宿はブラン亭がお勧めかな。ご飯も美味しいし部屋も綺麗だそうだ。ブラン亭は冒険者ギルドと同じ通りにあるぞ」
「教えて頂きありがとうございます。行ってみますね」
「気を付けてな」
ブレストの街へ入ると、ティリスの街よりも王都に近いからか、活気に溢れていた。
ひぃろとベリーが踏まれそうなので頑張って抱き抱える。
「わぁ、すごい人だねぇ」
『人がいっぱいくま』
『いっぱいだぴょん』
頑張って抱っこしているけれど、落としちゃいそう。斜め掛けバッグは中にほとんど物が入っていないから、どっちかだったら入れるかな。
「ひぃろかベリーのどっちかバッグに入れないかな?」
『じゃぁ、私が入るぴょん』
「ありがとう、2人をずっと抱っこはちょっと難しくって」
『ぼくも後で交代するくま』
「うん、ひぃろもありがとうね」
『ありがとうぴょん』
ティリスの街は、人通りもそこまで多くなかったから、2人がぽよんぽよんしていても安心だったけれど、ここブレストの街は人が多くて難しい。
『どうしたくま?』
「ん? 2人が危なくないようにするにはどうしたらいいかなと思って。バッグを大きくして2人を入れる事も考えたんだけど、それだと私が寂しいし…」
『バッグ大きくしなくて大丈夫くまよ?』
「え? どうして?」
そういうとひぃろは、みるみる手の平サイズに小さくなった。そして私の肩の上にぽよんぽよん登っていく。
「えぇぇーー!」
『これでどうくま?』
「ひぃろ…そんな事出来たの!?」
『だってぼくはスライムくま。形も大きさも変えられるのくま』
「知らなかったよ。大きさも変えられるだなんてびっくりだったよ~。じゃぁ、ベリーも出来るって事?」
『出来ると思うくま』
私はバッグを開けるとベリーはお昼寝していた。
「ふふ、お昼寝してるから後で確認しようね」
まさか小さくなれるだなんて全然知らなかった。でもこれでこの先も安心。ずっと一緒にいるから一人で歩き回るの寂しくてどうしようかと思っていたから……。
(しかし、小さいひぃろもとても可愛い)
手の平サイズのまるっともふっとしたくまなんて可愛すぎる。肩に乗っているから思わず頬ずりしちゃう。
「ひぃろ、いつも可愛いけど小さいのもとっても可愛いね」
ひぃろもすりすりしてくれるのがとても嬉しい。ラブラブしていたら冒険者ギルドについた。でも、今日はお昼を食べてから宿に向かう事にする。冒険者ギルドの近くに、屋台が出ている広場があったので、そこでお昼にする。
ここの広場にはテーブルもあってのんびり食べられそうだ。
『美味しそうな良い香りくま。お腹空いたくま』
「うん、お昼ご飯食べようね。何がいいかな。ベリーは起きたかなぁ」
というと、バッグが少し震えたから起きているみたい。そっとバッグを開けてみるとベリーもこちらを見ていた。お昼ご飯に反応したね、ベリー。
「ベリー、お昼にするから出ておいで。2人とも何が食べたいかな?」
『ぼくはあそこの串肉食べたいくま』
『私もそれがいいぴょん。後、あそこの果物ジュース飲みたいぴょん』
「それはいいね。じゃぁ、串肉とジュース買おうね。3本ずつでいいのかな?」
『くまっ!』
『ぴょん!』
(いつも同じな気がする。二人とも串肉好きだね、美味しいから気持ちは分かるけれど)
「こんにちは。串肉7本お願いします」
「はい、どうぞ。熱いから気を付けてね」
お金を払い受け取る。テーブルに運んでひぃろ達に待っていて貰って、スープとジュースも買ってきた。
みんなで揃って挨拶をして食べ始める。
『美味しいくま。ここの串肉もとっても美味しいくま』
『美味しいぴょん。ハルそのスープもちょっと欲しいぴょん』
スープを2人に分けて出してあげた。
「はい、どうぞ。ひぃろはいる?」
『ありがとうくま』
「ここの串肉はちょっとスパイシーで美味しいね。スープもかぼちゃが入っているから甘くて美味しいね」
のんびり食べて色々な屋台を見ていたら、ドーナツのような、揚げたようなパンを売っているお店があった。美味しそうだから後で買ってみようかな。果物を売っているお店もあった。お祭りみたいでなんだか楽しい。
「そうだ、ベリー。ベリーも小さくなれるの?」
『ん? なれるぴょん。それがどうしたぴょん?』
「うん、小さくなってくれたら、私の肩の上とかポケットに居られるから、お話しながら歩けるかなと思って。さっきベリーがバッグに入ってくれた後、ひぃろが小さくなれるの教えてくれたから歩きやすくなったし、お話もしながら歩けて嬉しかったんだ」
『ひぃろ、どれくらいになったぴょん?』
『ぼくはこのくらいでハルの肩の上に登ってたくま』
『私もやるぴょん』
2人が両方の肩に登って来た。可愛すぎる……2人に頬ずりすると2人も返してくれた。
「2人ともどうかな?」
『ぼくはこれが良いくま。遠くまで見れて楽しいくま』
『私もこれにするぴょん。ハルと一緒嬉しいぴょん』
「じゃぁ、街の中を歩く時はこれでお願いするね。一緒に色々見て回ろうね」
お片付けをしてさっきのドーナツっぽい物を買いに行く。
「こんにちは、これは何ですか?」
「こんにちは、これはパン生地を焼いてシロップに漬けたものだよ」
「美味しそう。3個ください」
お金を支払いパンを受け取る。
「ありがとうございました」
「ありがとうございます、とっても美味しそうです」
『ハル、今食べるぴょん?』
「ううん、今はご飯を食べたばっかりだから、おやつにしようと思って。まずは宿に向かって、今日はのんびりしよう」
『分かったぴょん』
『分かったくま』
お勧めの宿はブラン亭だったよね。冒険者ギルドと同じ通りにあるって言っていたから、そちらに向かっていく。
「ブラン亭はギルドと同じ通りだって言っていたからこっちだね」
『どこだろうくま~』
冒険者ギルドから7件先にブラン亭があった。宿のドアを開けて空いているか聞いてみる。
「こんにちは。泊まりたいのですが空いていますか?」
「こんにちは。1人部屋で良いかしら?」
「えっと、2匹スライムの獣魔がいるのですが、一緒で大丈夫ですか?」
「えぇ、スライムだったら一緒に泊まって貰えるわ。ここに名前を書いてもらっていいかしら」
私とひぃろとベリーの名前を書いて渡す。
「ハルちゃんっていうのね、私はフレアよ、よろしくね。何泊の予定かしら?」
「ハルです、よろしくお願いします。一応5泊でお願いします」
手続きをして貰い、鍵を受け取る。
「お部屋は2階の一番奥のお部屋を使ってくださいね」
「はい、ありがとうございます」
無事に宿が取れて良かった。旅の疲れもあるから、今日はのんびりして明日冒険者ギルドへ行こう。
お部屋でのんびりしてから、さっきかったシロップに漬けたパンをおやつに食べる。お茶はさっぱりと水出しアイスティーにする。
「2人とも、お茶にしようか」
『するぴょん!』
『するくまー!』
おやつとお茶を準備して食べ始める。
『お、美味しいぴょん!』
『ふわぁ、あまくってふわふわしてて美味しいくま。ぼくこれ好きくま』
「甘さがしつこくなくて、ふわふわのパン生地も美味しいね。紅茶との相性も良いし、私もこれ好きだな」
食べた後は、3人でのんびりともふもふしたりむぎゅむぎゅしたり遊んで、お夕飯を少し早めに食べに行く。今日は疲れているから早めに寝てゆっくり休もう。
食堂へは、2人はいつもの大きさでぽよんぽよん跳ねて行った。
今日のお夕飯はオーク肉のトマト煮込みだった。ハーブの良い香りがしてとても美味しそうだ。
『美味しいくま。トマトで煮込んでいるからさっぱりしているけど、ハーブの良い香りもして美味しいのくま』
『トマトとハーブでさっぱり美味しいぴょん』
「本当に美味しいね。パンとも良く合うね」
宿のご飯は本当に美味しくて、お勧めしてくれた門番さんに感謝した。
みんなで仲良く食べた後は、お部屋に戻りクリーンを掛けた。今日はもうこのまま寝てしまおう。ひぃろとベリーをむぎゅーっと抱っこして横になる。明日は冒険者ギルドに行こう。
旅の途中もテントで寝ているけれど、疲れが溜まっていたみたいですぐに眠ってしまった。
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今日はやっとブレストの街に着きました。
明日は冒険者ギルドへ行きます。そこでティリスの街にいたアルスさんが魔物に囲まれているという情報が!ハル達は救助へ向かいます




