347.最終修羅場嫁
工口フの魔窟から出て図書室に向かう。
「…。」
「…。」
後ろを歩く教授達は笑顔だが無言だ。
図書室のドアを開けると司書たんがカウンターに座っていた。
お昼は未だの様子だ。
「あら、オットー様と…。」
途端に不穏な雰囲気に包まれる図書室。
我々意外にこの部屋に誰も居ない。
「あの…。」
席を立つエレノア。
「紹介しよう、件の決闘での婚約者のエレノアだ。エレノア、コチラは我が妻のイネスとフランだ。」
「む、未だ妻じゃない…し。」
「はい、オットー様の女のイネス・ペレグリと申します。この学園の教授をしています。」
優雅に頭を下げるイネス。
笑顔が怖い。
「むー。私は…。フアナ・フランチェスカ=ロジーナ。オットー君の妻じゃないけど…。子供が欲しいだけ。」
「フラン。」
「な、何よ。イネス。」
「しっかりして。」
「う、解ったわよ、オットー君の妻です!」
拗ねるフラン。腕を組んでいる。
「はい、と言う訳で私たちはオットー様の妻です。エレノアさん。」
「あ、あの、フアナ様、コレは?どうゆうことでしょうか。オットー様?」
うむ、怒った顔も良いな。
「うむ、妻達を集めて将来のコトを相談しようと集まってもらった。」
「むむむむむむ~!!」(ポカポカポカポカ)
怒ったエレノアが両手の拳で俺の胸を叩く。
はっはっはっ、痛いなエレノア。
実際は痛くないので気にしない。
落ち着くまで叩かせて抱きしめる。
「すまんな、エレノア。」
「オットー君。私のコト嫌い?」
「いいや、そんなコトは無い。好きだぞ。大好きだ。」
「あら?私もオットー様のコトは大好きです。」
「む、あたしも。」
「ああ、皆大好きだ。」
比べる事は出来ないが皆、それぞれの好きは有る。
身を寄せてきた魔女達を抱きしめる。
両手にいっぱいの花だ。
手放すワケには行かない。
「全員俺の女だ。」
「わかりました、オットー様。」
うな垂れるエレノア。
「はい、オットー様。」
「む、あ、あたしはあたしのものだから。で、でも男はオットー君だけ。」
魔女達も何かを捨てた様子だ。
「うむ、済まない。俺の我侭で辛い思いをするかもしれない。」
「エレノアさん。よろしくおねがいしますね。妻の一人としてお願いします。私は以前に夫と死に別れていますので。第一夫人は貴女にお譲りします。フランはああですから。」
「え?あの。イネスさん。」
微笑むイネス。
憤るフラン。
「む!あたしだって…。だ、第一がぃぃけど…。でも…。」
「あら?そうなのかしら?フラン、エレノアさんと話をして決めて下さいね?」
「むー!!あたし!第一夫人だから!でも、貴女も一緒でも良いわ。我慢してあげる。」
「はい、申し訳ありませんフアナ様。」
「フ・ラ・ン!わたしその名前嫌いなの。呼ばないで、呼び捨てで良いわ。か、家族なんですもの…。」
怒りながら何故か照れるフラン。
「はい、フラン、私もエレノアとおよび下さい。」
「では、私もイネスでお願いします。」
「はい、イネス。」
よし、良い雰囲気になった。
「うむ、実は妻達に顔合わせを行なう必要が有った。現在はそれぞれの職が在るが、将来的に身重になったり、俺の子を育てるための住居を求める必要がある。俺は再来年は軍人としての務めに出る心算だ。其の時の住居だ。」
「はい。」
「あ、ありがとうございます。」
「え?別に要らないわよ?」
「いやいや、未だ用意は出来ないが来年早々には住処を確保したい。その為に計画を建てたいので希望が有れば聞きたい。」
「はい、そうですね。教員寮から出なくてはいけませんから、でもオットー様のスクロールで直にでも引越しできます。」
「郷里の父と母に話してみないと…。私も寮住まいなので。」
「別に、良いわよ?家に住んだら?」
「フラン、真面目に考えてくれ。俺は君達がよい環境で生活できる方法を探っているのだ。」
「わたし、父から貰った屋敷に住んでるの、母が死んで母に就いていた者も、もう随分と歳だから…。部屋も空いてるわ。」
「いや、ソレは…。」
嫁の実家でマスヲさん?
「ハッ!マルカちゃんも来るのよね!!ベスタさんも。」
「いや、彼女等は俺が学園を出たら解放します。」
「え~、マルカちゃんも一緒に住みたい~。」
「いやいや、”ヒモ”では無いのですから。」
「む~。あ、イネス、エレノア。子供が生まれたら一緒に育てましょう?」
「はい、そうですね。”HIM…”?」
「え、あ、はい。」
「ふっふっふ~ん。」
赤らめるエレノアに得意そうな顔のフラン。
あ、嫁を人質に取りやがった!!
「良いわよ、オットー、アンタの我侭に乗ってあげる。でも、家に帰ってきてね?」
「解りました、家には帰ります。」
ドコの家とは言ってない。
しかし、言質を取ったフランは上機嫌だ。
”ふっふ~ん家族家族。”
”ああ、コレで夢にまで見た家庭が…。”
”よろしいのでしょうか?””もう、ばっちこい。”
うむ、皆、脳内未来予想図に酔っている。
一人は確実に脳内麻薬の所為だが。
「あの…。オットー様一つご質問が。」
手を上げるエレノア。
うむ。揺れる。
「何だ?」
「オットー様の御歳は幾つなのですか?」
なるほど、ソレは気になるだろう。
「あ。わたしも知りたい。」
「別に私はオットー様が幾つでも…。」
息を吸い込み答える。
「数えで15だ…。」
胸を張っての答えだ。
だってわんぱく坊やだからな?
タンパクを出しているが。
「え?」
「あたしより…。いや、弟より下?」
皆、両手で指折り数えている。
両手で足りないだろう。
「うそ…、百以上…。」
ついに両手を顔に当てて絶望の表情だ。
「何か問題が在るか?」
「問題ありません。オットー様。」
うん、エレノアは吹っ切れたらしい。
いや、もう何でも来いなのだろう。
「うっ、で、でも。若いツバメを…。うーん。うーん。」
「うそ…。100も…。いえ、110も離れた男の子を…。」
なるほど、歳を取るほど破壊力は計り知れないのか…。
イネスとフランを抱きしめる。
「何か問題は在るか?」
「べ、別にわたしは…。気にしないわ。」
「あの、あの、オットー様。私の様な者で宜しいのでしょうか?」
顔を伏せるフランに、絶望の顔色のイネス。
抱きしめながらケツを揉む。
さり気無く丹田を密着して廻す。
さあ出ろ脳内麻薬。
「そうか。フラン、幸せな家庭を築こう。イネス!」
「はい!!」
「俺は全然問題無い。少しでも長く一緒に居られるな。」
「は、はひっ。一緒にいましゅ。」
工口フに変身したので顔が耳まで赤い。
「ああそうだな、俺が死ぬまで手放さんぞ?覚悟しておけ。」
「あ…。はぃ…。かくごしまっしゅ。」
うむ、流石、工口フだ。くっコロした工口フの終末はお約束だ。
神よ。俺に触手を!!
充分に感触を堪能した後に離れる。
GUIには”冥府ポイントが足りません。”
の表示が出ていた。
おのれ邪神、生えてるのか。
意味不明の邪神ポイントを解析する必要がある様だ。
しかそ其の前に、伝える事が在る。
「所で明日の昼の御予定は宜しいでしょうか?」
「うん?何か?授業も特に無いけど…。」
「はい、有りません。」
「代休を使えば…。」
「そうですか…。父上が俺の妻達と会ってみたいと申しまして。今、王都に居るのです。急な話ですが明日の昼食をご一緒にどうか?と。」
「へ?」
「あの…。」
「オットー様、ソレは宜しいですが。父上?とは?」
「はい、我がハイデッカー家当主です。」
「え?ハイデッカー卿?」
「ちょっと!義父に初めて会うのにこんな急に!」
「待ってください私も準備が。」
「どうでしょうか?明日の昼前、迎えの馬車が来るのですが?」
「明日!え?髪結いの…、予約が…どうしましょう?」
「私、ドレスが今…着れない。」
「エレノア!イネス!家に髪結いも、裁縫も出来る者が居るけど…。手伝わないと間に合わないから!!オットー君!!」
「はい」
「今日の所は許してあげる。でも…。」
息を吸い込む、タメが長い。
「はい、なんでしょう?」
ハモる嫁達。
「「「こう言う事はもっと早く言って!」」ね」
(´・ω・`)祝、毎日、投稿1年。
(#◎皿◎´)こんなアホな話に付き合って頂きありがとう御座いました。




