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341.鎧と洗濯。

加工の終わった物を収納して。

図書室前に移動した。

C班、D班の講習だ。

中に入ると全員揃っている。

暫く見なかったが全員の顔が引き締まっている。

うむ、サボらず身体を鍛えていた様子だ。

座学とマグを使った魔力操作の基礎を行なった。

やはり、集中力が途切れる者が多い。

後半になるとかなりの者が操作できない状態になった。

魔力が切れたワケでは無いのだ。

コレだと大掛かりな魔力展開は難しいだろう。

あの、冒険者魔法使いはその様なコトは無かった。

成長を待つしかないのか…。

時間の問題だが卒業までに成長するであろうか?

ムリヤリ成長させるか…。

時間を…。有るな、精神と時の部屋が有るじゃないか。

カリン様が見ていない。

皆、巧く行かないのが解るのでマーモット達の表情は暗い。

「よし、時間だ。今日はココまで。君達の状況は解ったので次回からは狩りの出来る姿で集まるコト。武器も持って来い。真剣だ、無いなら貸し出す。」

「「はい!!」」


次までにコイツ等を修行させる場を用意しよう。


さて、寮の作業場に戻り。

バラバラのまま収納した剣を組み立てる。

次は俺の鎧だ。

ミスリルの10kgのインゴットを3つ出す。

デザインは決っている。

後は加工するだけだ。

デザイン画を出す。

すばらしい…。カッコ良さだ…。

あの世界の軍警察の装備らしい。

無線通信機の再現は難しい、だいいち話す相手が居ない。

暗視ゴーグルと一体化した防毒面。

フリッツヘルメットに肩のスパイク。

筋肉を強調した胴鎧。

そしてガントレットに小盾。

プロテクトギアーと言う装備だ…。

出渕穴は強度が下がるから苦渋の決断で止めた。

そのかわり、空気を送って冷却する紋章と魔石を使おう。

体温を一定にするための冷却の紋章もある。

紅いメガネは残念ながら、紫外線メガネに成るので蒼く光る。

蛇腹ホースが再現できないので防毒面の空気清浄装置も内蔵だ、全熱交換機も付ける、困った時は魔法で解決。

コレ、異世界の常識。

革でホースが再現できたら背中に空気瓶を付ける場所も確保して在る。

これで酸素の無い場所でも活動できる。

減圧装置が完成すればの話だが…。

完璧だ。

この鎧が完成した暁には…。

皆、カッコ良さにに平伏すだろう。

「クククク。」

サクサク作る。

飯の時間に成った。

形は出来たが未だ細かいハーネスや、バックルが付いていない。

まあ良い、先に飯を喰おう。

うきうき気分で食堂に向かう。

おう、俺が最後だ。

札をひっくり返して席に座る。

モミアゲロールパンが酷くイライラしている。

不機嫌MAXだ、隣りの鬼畜は澄ました顔で立っている。

「では、始めましょう。」

メインの皿をマルカが配る。

うん、すばらしい。

今日のメインは何だろう?

ほう、魚のムニエルだ。

大きな魚の半身にソースが掛かっている。

コレは旨そうだ。

「では、頂きましょう。豊穣の女神に感謝を。」

黙祷が終わり食事を始める。

皆無言だ、微かに食器の擦れる音が食堂を包む。

壁紙のメイドの列のマルカが何かうかない顔をしている。

まあ、良いだろう。


手早く食事を済ませ部屋に戻る。

鎧は完成していないが、身に着けるコトは出来る。

さあ、カッコイイ俺の鎧姿を…。



「…。」


うん、鏡に映る超カッコイイ。プロテクトギアー的な…。


「なにか…。太ったオッサンが暗黒卿(ダースベイ)のコスプレしているようにしか見えんな…。」

オカシイ。デザイン画ではあんなにカッコイイのに現物はダルマの変態だ…。

しかも、ラスボス感の無い中ボス程度の小者感。

ゲームの最初のボスだが後半はザコ扱いの敵キャラだ。

「マントを装備…。ダメだな。コートの方がマシだな。」

未塗装で地金のシルバーのままだ、固定用のバックルが付いていないので動くと外れる。

マスクのガラスは未だ入れていない。

大まかには…。

カッコ良さが激減している、何故だ…。

鏡の前でポーズを取る。

イカンな、剣だと本当に暗黒卿だ…。


「ただいま戻りました…。ヒッ!」

マルカが帰って来た。

何故か涙目だ。

マスクを取り話す。

「おかえり、マルカ。どうだ?俺の鎧だ。」

「あ、え?オットー様?」

「そうだ、未だ完成していないが俺の鎧を作っている。どうだ?カッコイイだろ?」

「え?カッコイイ?」

随分と否定的な表情だ。

「いや、まあ、怖そうで無いと敵に舐められる。そういう意味だ。」

「あ、はい、怖そうです。」

「うむ、そうだろう。黒く塗る心算だ。」

「え?黒ですか?」

「そうだ。」

何故かドン引きするマルカ。

まあ、良いだろう、こういう物は女とは感性が違う、完成したらミソッカス共にも見せよう。

きっと驚くだろう。

「あの、今日は早く上がれと言われたのですが…。」

「そうか。」

確かに風呂上りの様子だ。

Mr・R(ミスターロバート)が早速対処してくれたらしい。

「あの…。わたし。役に立たなくて…。」

涙ぐむ。マルカ。

「いや、そうでは無いぞ、コチラの思慮が足りずにベスタに私用を命じてしまった。短期に人を増やす様にMr・R(ミスターロバート)にお願いをしたのだ。」

「でも、わたし、お仕事が上手く出来なくて。」

下を向き涙を流すマルカ。

「大丈夫だ、別の者が行なう。本来仕事とは隣りで見て覚え、覚えた者の後ろに付いて指導して初めて出来る物だ。」

これが普通の師弟制度だ。

「でも…。やっておけと言われたコトが出来なくて、外されたんです。」

「む?ベスタがやっていたのか?」

「いえ、課外授業から帰ってきて初めての仕事です、シーツの洗濯です。」

「うん?そうか?」

シーツ等の洗濯は力仕事だ。

本来は子供に出来る仕事では無い。


”主人に成り代わりお詫び申し上げます。”


そうか、鬼畜メガネ。

と言うコトはあのモミアゲロールパンの仕業だな?

ベスタが居ないのをいいことにマルカに仕事押し付けて苛めやがったな。

アイツ、ヒロインの一人の癖して、ゲームの悪役令嬢みたいなことしやがって!!


キレちまったよ、屋上に来いよ…。


学園に屋上は無いが、必ず何かを支払ってもらう。

苛めを止めたMr・R(ミスターロバート)の顔は立てる必要がある。


「ああ、大丈夫だ、マルカ。この借りは必ず返そう。今は出きなくても何時かは必ず出来る様になるのだ。」

「はい、わかりました。」


泣き止んだマルカと共に、夜を更かした。


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