249.手綱1
食事が終わると。
お釣りは出なかったが結構な量のスパイスの袋が出てきた。
なるほど。差額が全て香辛料に成った。
場所がアレなら高く売れるだろう。
何せ香辛料は殆どが薬だ。
砂糖とワインの往復で儲けるダケでは先が無い。早く重ガレオン船を…。いや、違うゲームだったな。
袋を担いで店を出る。
店の前で解散する。
ロリロリ鉢巻はこのまま町で必要なモノを買いに出かけるらしい。
ダーク&オシリスキーは一緒に買出しを行なうコトに成った様子だ。激しく言い争っている。
ミソッカス共は寮に戻るらしい、サンピン共は傅きながら付いていく…。
逃げる気マンマンだ。
俺とベスタは揃って冒険者ギルドへ向かった。
一階の寂れた酒場の奥の階段を上ると。
変わらぬ風景の冒険者ギルドだ、きっと背景の絵が足りないのだろう。
カウンターでカードを差し出し決済書類にサインを行なう。
うん、毒消し草は順調に集っているらしい。
ベスタも護衛者として登録を行なう。
コレでベスタも冒険者として箔が付くはずだ。
最後の書類に目を通しサインをする、
山猫団は俺の計画に乗ってくれるようだ。
全ては計画通り。
エンリケの店にベスタと向かう。
エンリケの店の暖簾(比喩的表現)を潜ると。
ブランが真っ先に出迎えた。
尻尾を盛大に振りながら無表情だ。
「お待ちしていましたご主人。さあ、種付けして下さい。」
「そうか。ブラン元気そうで何よりだが、ソレは用法が間違っているぞ?」
無表情で涎を流す狼。(パタパタパタ)
「あ、オットー様、いらっしゃいませ。」
「まあ、まあ。オットー様。納品の品が集っています。どうぞご検分を。」
母と娘が出てきた。
ベスタとイレーネの間に謎の放電が起きるが今は関係が無い。
母娘の歓迎に店の奥に進むと。
頼んだ全ての商品が揃っている。
おう、精算の季節です。
マウント富士に決算の文字が躍る。
キング貧乏神が付いていないので問題は無い。
地味に金貨が減る。
いや、コレは投資の為に銭が物に変わっただけだ。
未だ俺は本気を出していない。
金貨10枚が消える。
パンチョン樽一個分の蒸留酒を手に入れた!!あと、買い取った薬草。
「では準備は揃っているか?明日から行商の演習だ。コレより馬と馬車の預かりと仕入れを行なう。娘付いて来い。」
「はい、オットー様。お母さん行ってきます。」
「気をつけてねトリーニア。特に野犬に。」
「大丈夫ですご母堂様。狐避けは心得ています。」
「フフフフフ」
「ハハハハハ」
うん?まあ良いだろう。
「オットー様、変なにおいです。」
スンスンする狼娘。
香辛料の臭いだろう。
ブランもやがて商売人として行商に出るときが有るかもしれない。
狼を連れて行商が…。
なんだったかな?
確かリンゴが…。




