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246.メッキ

朝だ。

ベスタがシーツを片付けマルカが俺の髪を梳いている。

昨日はお楽しみでしたね。

いや、それほど激戦では無かったので問題はない。

櫛に付いた戦友を取りくず入れに入れるマルカ…。

か、回数が少ない、まだ大丈夫だ。

何時もの洗濯済みの鍛錬用の動き易い服に袖を通すとベスタと中庭へ向かう。

ミソッカス共が集合し始めた、一緒に準備運動を始める。

「皆に伝えておくことがある。明日から俺は課外授業だ、しばらく学園を離れる朝の鍛練には参加しない。放課後の図書室もだ。」

「そうか。オットーしばらく会えないのか?」

マルコが訊ねてきた。

「大体、数日から10日程度の予定だ。」

「まあ、俺達で鍛練は進めておくよ。」

「そうだな、確かに毎日受身の練習しないと不安になるな。」

柔道一直線の乳タイプ。

「オットーは最近はサロンにも顔を出してないからね。」

「すまんなアレックス、コレが終われば随分と手が開く。準備で余裕が無かったからな。」

「まあ、良いよ土産話を期待している。」

「そうだな…。そんなに大したことには成らない。ハズだ…。期待していてくれ。」

「オットーと居ると退屈しないね。」

「そうだな弟よ。」

「オットーが戻ってきたら、本格的にトーナメントに向けての鍛練だな。」

「そうだな…、カール。あまり無茶をするなよ。ジョンもな。」

「なんのコトだ?オットー。」

「そうだ、家宝が有れば大丈夫だ。」

大丈夫では無さそうな乳タイプ兄弟。

とりあえずアレックスをボコって朝錬を終えた。

解散する時、”昼をエールしよう校門で会おう”と言い分かれた。

校門前に集合だ。


部屋に戻ると。

マルカは制服。ベスタはメイド服。

俺は青隠者姿に変身する。

そうだ、俺は学校サボる!


というわけで寮の作業場にやって来た。

明日の参加者に配るアイテムを作る。

カールとジョンに渡したドックタグ型のキーホルダーだ。

材質は銅で良いだろう。

銅のインゴットを一個取り出し、1kgづつに分け。

さらに一個を20gづつに分ける。

銅板を1個作り形を整え、紋章を深めに掘り込む。

木の板の上で粘土を魔法で練って板に延ばす。

判子の要領で粘土板に押し付け凸型を作る。

魔法で乾燥させて固めてへこみに銅片を並べて

一気に加熱する。

めざせ!1100度

おお、銅が溶けた!!

後は冷めるまで待とう。

次は、手から水を出すのが…。面倒だ。

一日100L以上も出さなければ成らなくなる。

寸胴鍋を取り出しサイズを測る。フタは木だ。

1kgの銅板を取り出して5個に分けその内二個を蓋に加工する。

円形の銅板に以前錬金術の課題で作った無限水差しの紋章を掘り込む。

水を出す量が多いので魔石を3個取り付ける。

曲面の多い水差しより広くて平面なので簡単だ。

フェイルセーフ機能が後付になったので動作が不安だ。

よし、コレで鍋に蓋をしているだけで寸胴鍋に水が満水だ。

冷めた粘土版を木槌で壊して一個づつ取り出し点検清掃、紋章を修整する。

コレで問題ない。

仕上げは小型のるつぼにゴミ屋街で買った錫100%のゴミを魔法で加熱して溶かす。

コレに潜らせて錫メッキを行なう。

熱くて面倒だ。

半田メッキに近い作業だ。

「くそっ、電気めっきなら一発で出来るのに。」

薬品を作る施設が無い。

廃液を処理する方法が無い。

塗装に手間とお金が掛かるのは向うの世界でも同じだ。

こんなに手間なら大人しく真鍮か金で造った方が楽だ。

「いっその事ステンレスで…。ダメだ。加工する手間が掛かる。くそう。NCフライス盤が欲しい。」

放電加工機でも良い、ダメだ、なまじあの世界のチート工作機の性能を知っているとこの手作業が馬鹿馬鹿しくなる。

メッキが終わり洗浄しているとベスタが冒険者姿で呼びに来た。

そうか…。もう昼か。

手早く片付け校門に向かおう。

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