219.冒険者たち2
チーム山猫はこのまま冒険者ギルドに向かうらしい。
俺もギルドに用が在るので一緒に移動する。
「ではオットー様は冒険者なのですか?」
「ああ、残念ながら…。クラスなしだ。まあ、収集依頼の為の口座を作った様なモノだ。ギルド決済すれば店の注文払いもしやすい。」
勿論、強がりだ…。クラスなしは恥かしすぎる…。
「む、む、む、む、」
「やべぇ、クラスなし馬鹿にしてた。そういうやり方も有るのか…。」
「宮廷魔術師クラスが…。なしなんて…。」
「なるほど…。」
「まあ、普通は商業ギルドの方が便利かも知れんが。そんなに何度も利用するワケでは無い。手数料が安い。」
「だ、そうだ。モーサ、相手がクラスなしだからってケンカ売るなよ。オットー様クラスの魔法使いなら骨も残らないぞ?」
「ムロ!売るわけねぇだろ。やべぇ、見ただけで勝てねぇのはあたいでも解かる。」
何故か冒険者達の俺の評価がマッハで上昇中だ、正直こそばゆい。
「ははは、魔法使い殿はそういう意味で言っているのでは無いぞ、お嬢さん。要らないケンカを売るなというコトだ。」
「魔法使い殿…?」
「お嬢さん…?」
顔を見合わせる山猫団。
腹を抱えて笑い出す。
「申し訳ありません…。オットー様。おれ、魔法使いと言いましたが…。ホントに…。ダメダメなんです…。大きく言い過ぎました。謝罪します。」
「やべぇあたいがお嬢www。」
「魔法が使えるなら魔法使いだ。レディはレディで在ろうとするからレディなのだ。自他は関係は無い。自信を持て。」
そうだ、アラハンの女の子も居るのだ…。工口フのコトだが…。
「むう。流石、本モノの魔法使い殿。良い言葉だ。」
「申し訳ありません。オットー様。ウチのメンバーが失礼なコトを…。」
「いや、問題は無い。良いチームだ。何でもできる超人ではチームは出来ない。お互いの長所と短所を補うことでチームが一つの生命に成るのだ。」
あの。社長の様にスーパーマンだけを熱望するのは経営者として失格だ。
不満を外部にぶつけるダケの経営者は汚物で消毒すべきだ…。
有る物で戦うのが本物の経営者だ…。
無い物を探して集めるのが訓練された経営者だ…。
変なコンサルか自意識高い系の経済雑誌に惑わされるのはコリゴリだ…。
何故か言葉が止まる。
「ありがとうございます。良い言葉です。」
「む、学の有る人は違うのだ。」
「やべぇ、難しくてわかんねぇ。」
「オットー様。おれ、魔法使いとして頑張ります。」
ギルドの前に着いた。
辛気臭い酒場を抜け階段を上がる。
”やべぇ””む、足の運びが違う…””本物だ…。””宮廷だ…”
謎の雑音を無視してギルドで書類の精算を行なう。
山猫団も精算中だ…。書類のサインが増える。
「うむ~。」
書類の決済サインが終わったが。
新しい依頼を出すか迷う…。
学園の課外授業ではCクラスの冒険者一名か、Dクラスの冒険者二名以上付けなければいけないのだ…。
ベスタのレベルアップを怠っていた俺のミスだ…。
「うーむ。」
「オットー様コチラは終わりました。ありがとうございました。」
チーム山猫団のリーダ、アジルが声を掛けて来た。
「ああ済まんな。俺は未だ用事が有る。ココで判れよう。」
「また何か収集ですか?」
「いや、数日後…。学園出発の課外実習の護衛を募集だ。」
「アジル受けよう。」
「む、待つのだ。」
「やべぇ、ムロが焦ってる。」
「いやまて。俺達の力では難しいかもしれない。Dが俺とザーバだけだ…。」
「む。護衛任務はDが数名は欲しいのだ。」
「他のチームを誘って…。」
「ムロ。話を進めるな。」
「詳細は掲示しておく。チームでよく話し合って決めてくれ。まあ、俺も参加するし、配下の者がDだ。」
「申し訳ありませんオットー様。受けるコトに成ったらよろしくおねがいします。」
「うむ、解かった。君達に栄光があらん事を。」
山猫団と判れる。
結局依頼を出すことにした。
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馬車護衛依頼(魔法学園課外授業)
募集人数:チーム又は数名。(最低Dクラスの冒険者1名以上。)
食材支給
期間は7~12日(天候により変動する場合あり。)
出発日時:未定(数日以内)
集合地:魔法学園。校庭
依頼主:冒険者オットー(クラス:なし)
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まあこんな所だ。




