145.親鳥、雛鳥
さて、今日から実験体、いや、魔法使いの卵がやってくる。
俺の目的は無精卵、有精卵関係なく魔法使いの卵達を孵化させてやり。
どんな手段を使っても戦力にすることだ。
まさに”卒啄”の精神だ、なに、たかが44人。
今日来るのはそのうちの11人だけだ。
用紙をそろえて準備する、44人の考査表だ。
俺のレポートの大事な実験データだからな。
どんなヤツラか楽しみだ。
図書室なのにドアがノックされる。
「マルカです。」
「おう、入れ。」
ドアが開きマルカとエミリーの後ろに少年少女達が続いて入ってくる。
おう、11人いる。
椅子に座らせる。
「よし、では用紙を配る。番号が振ってあるが、その番号を各自忘れるな。名前と生年月日、性別、種族を書け、両親の種族と魔法が使えるか?もだ。」
混血が進むと希に先祖返りする者が居るので他種族との婚姻は禁忌とされる地域は多い。
しかし、王都や大きな町、辺境ではそんな事言ってられないので。
混血も少なからず居る。
分類別けの重要な基礎データーだ。
「書き終わったら用紙を回収する。」
紙が集ったのでクリップボードに挟む。
用紙の中身を確認した。
「この講習会では全て番号で呼ぶ。自分の番号を忘れるなよ?」
「「「はい」」」
11の前に一つづつ銅のマグと低級ポーションの小瓶を置く。
何故か皆、緊張しているマーモット達。
目の前に置かれたモノに目が放せない様子だ。
収納から水の入った陶器の水差しを出す。
別に魔法で水を作っても問題ないが。
やはり、新しいワインは新しい樽に入れるべきだ。
一つづつ低級ポーションと水が注がれ、最後にハーブの種が一つまみ。
「全員、両手のひらでマグを支えながら持て。」
全員が戸惑いながら同じ動作をする。
なお。司書ちゃんとロリロリはオリエンタルロリが電池で司書ちゃんが攻撃だ。
タイマーゴーレムで順次交代のハズだ。
「両手にあるマグの中には魔力がある。感じる者は手を上げろ。」
半分以上…。いや、4人手を上げない。
こまったなあ…。考査表に結果を書き込む。
「暖かいと感じたモノは手を下ろせ。」
4人が手を下ろした。
なんでこんなに火属性大人気?
「手を下ろせ、冷たいと思うモノ。手を上げよ。」
2人、手を上げる。
ダークエルフの少年が首を傾げている。
「6番、何だと感じた?」
「あの、暗いと感じました。」
「そうか、わかった。」
考査表に書き込む。
ふむん、コイツは貴重なサンプルだ。
手を上げなかった残り4人の背に立ち一人づつパターンを探る。
1人魔力の無い者が居る。
10番の金髪ショートの少女だ。
コイツは補助装置が無いと魔法使いには成れない。
考査表を見ると両親とも魔法使いらしい。
「10番、兄弟は居るか?」
「はい、兄と弟、妹が居ます。」
「そうか。魔法は使えるのか?」
「はい、兄と弟は使えます。妹は未だ小さいので判かりません。」
「了解した。」
考査表に書き込む。
やはり遺伝だが希に特性の無い者が生まれる様子だ。
「全員、両手のひらでマグを持て、魔力が解かるハズだ。」
「「「はい」」」
全員答えるが、4人が首を傾げている。
「中の種は只の目印だ。回転させろ。」
「「「「はい」」」」
やはり4人のコップの中は回らない。
1人ずつ肩に手を置いて魔力を廻していく。
10番だけ飛ばす。
金髪ショートは涙目になっている。
危なげだが10人のコップの中が廻るようになった。
「では、右に回った人は左に、左に回った人は左に回転方向を変えてみろ。回転、停止、反転。素早く出来る様に反復練習。」
「「「「はい」」」」
「さて10番。」
「はい…。」
「マグの中身を半分だけ飲め。」
「はい…。」
マグの中身を飲む金髪ショート。
「お前の中にマグの中身と同じ魔力が宿っている、何か感じるか?」
「はい、暖かいです。」
感じるコトは出来るらしい。
マグの中に低級ポーションを追加する。
「よし廻せ。」
肩に手を置いて10番の魔力を見る。
「はい回ります…。動かなくなってしまいました。」
「そうか…。」
考査表に書きながら考える。
意外に多いな司書ちゃんタイプ。
11人の中で1人だから未だ不明だ。
ひょっとしたら44人の中で数人は居ると思った方が良いのかもしれない。
両親が魔法使いなら子も魔法使いのハズだ。
入学時の試験官はそういう先入観が有るのか?
魔力供給装置の重要性が上がったな…。
前回はその場でテキトーに考えたが、今回は真面目に考えて作った回転方の紙を一枚ずつ前に置く。
あまり替わり映えしない所だが重要だ。
「各自、紙に書かれた複雑な動きを練習せよ。出来たら挙手。10番はゆっくりやれ。」
「「「「はい」」」」
うん、皆返事は良いな。
真剣にやっている。
10番の肩に手を置きパターンを合わせる。
いきなりマグの中が動き出したので驚く10番。
「あっ」
「そうだ、ゆっくり確実に練習しろ。」
「はい!」
やはり魔力を感じたり制御することは出来るのか…。
まあ、ポーションが効かない人間が居るとは聞いた事がない。
マルカは特殊なパターンだったので自分で気が付くのが遅かった。
この10番は特殊なパターンではない。
練習させて外部から魔力を供給できれば魔法使いだ。
しかしソレにはパターンを対象者に合わせて調整しなければならない。
しばらくは電池役が必要だ…。
「できました!!」
ダークエルフの6番だ。ダークエルフのパターンは人間よりエルフに近い。
「よし、6番やって見せよ。」
「はい!」
元気な少年。
一通りやって見せたが、少し魔力のコントロールに怪しいところが有る。
「ゆっくりやって見せよ。」
「は、はい!!」
苦手な回転方向がある様子だ。
紙のソレを示して言う。
「コレを練習せよ。」
「は、はい!わかりました。」
その後も手を上げる者が出てきた。
確認しながら、苦手な回転を指摘する。
5人を超えたな…。
「出来たものは、どの回転パターンから素早く別のパターンに動かせるように練習せよ。停止、逆回転も素早くやれ。」
「「「はい」」」
さてと手を上げなかった4人は…。
1人は自力で何とか成りそうだ。危なげなく課題をこなしている。
10番がマグの中が動かなくて涙目だ。
仕方ないので10番の肩に手を置き、電池役をしながら他の2人に指導する。
この2人は恐らく単純に魔力の動かし方を解かっていないか、只何となく使っている様子だ。
気分が良ければ勢いで魔法が発動するタイプだ。
他の者からは魔法使いに見えるだろう。
そんな魔法使いでは使い物に成らない。
肩に手を置き正しいパターンを通してやる。
いきなり思ったとおりに動いたのを見てビックリする。
8番。丸顔の…。未だ少年だ。(オットー数えの15歳)
「魔力は勢いダケでは発動しない、慎重にやれ。」
「ハイ!!」
「9番、8番と席を交代、11番、4番と席を換われ。」
「「はい!!」」
荷物を持って席を交代する少年少女。
2番、5番、6番は次に進める。
1番、7番、9番、11番は練習時間さえあれば何とか成るだろう。
3番の赤毛の少女は自力で何とか成るが、後ろで見ていないと詰まった時に前に進めないだろう。
さてと10番と8番、4番は問題児だ。
特に10番は司書ちゃんパターンだ。
コレは個別に指導が必要だ、全員揃わないと解からないが習得レベルに応じて曜日を再編成する必要があるか?
まあ、来週までに考えよう。
考査表に結果を書き込む。
時間まで練習を行い、最後にマグの中身を飲み干させ。
マグを回収して解散させた。




