109.魔石
食事が終わり村の中をブラブラしようと思ったら狼少女が付いてきた。
「どうした狼。」
「いいえ、べつに…。」
尻尾はパタパタしている。
困ったな、未だ村の広場は狼解体レース場だ。
見せられない。
この狼を寮で育てるのは問題だ。
噂になるだろう。
狼なら厩の横に犬小屋を作れば良いだろうと安易に考えていたが。
娘の姿に変身されると非常に問題がある。
裸の女を鎖に繋いで犬小屋に住まわせて居ると噂になったら俺の評価は地の底まで下がるだろう。
「狼、名前はあるのか?」
「なまえ?ありません。」
「では名前をつけよう…。」
考えるがタロとかジロとかラッシーしか出てこない。
狼娘の尻尾のパタパタが大きくなる。
「ブランカではどうだ?」
同じ狼のメスだ丁度良い。
「えー、ちょっと長いです。」
しゅーんとする尻尾。
「では、ブランとランカではどちら良い?」
「どんな意味ですか?」
「ブランカは白いという意味だ。ブランも白い、だな別の地方では草原の吹雪と言う意味だ。ランカは…。人のなまえ?」
「ブランが良いです。」(パタパタ)
「男の名前だぞ?女名がブランカだ。」
「え~。草原の吹雪がいい。」(しゅーん)
「まあ、いいだろう。ブランと呼ぼう。まあ、変わった名前だと思われるだけだ。」
「やったー、草原の吹雪ブラン。」(パタパタ)
表情は変わらないが尻尾で解かる。
えらくご機嫌な狼少女。
いや、そんな中二な二つ名必要か?
まあ何にせよ名前は決まった。
ブラブラと村を巡回して村長の家に戻る。
うさみみっ娘はもう既に旅支度が終わっている。
村長も居る。
「魔道士様。魔石の回収が終わりました。」
巾着を受け取る。
「ああ。済まない。」
数えず収納。
”魔石(小) ×96”
”巾着(魔石小214) ”
なるほど、コレならしばらく魔石には困らない。
いや、大きな魔石が欲しくなるか?
「ギルド書類に途中確認サインを頼む。」
「ハイ解かりました。」
村長のサインを貰う。
コレで帰れば任務達成だ。
「よし、娘、準備は良いか。そろそろ出発するぞ。」
「はい大丈夫です。」
「家族への挨拶は済ましたか?」
「はい、ソレも大丈夫です。」
村の門まで村長と母親が見送りに出た。
他の村人も居る。
「村長もし。村人が狼に噛まれたらこの毒消しの草を使え。傷口を清水で洗ってこの草を磨り潰して擦り込むのだ。恐らく森の中に生えているハズだ。」
予備の毒消しの草を村長に渡す。
「はい、解かりました。魔道士様ありがとうございます。」
「ラーニャ気をつけてね。」
「はい、お母さん。」
「行くぞ!!」
村が見えなくなるまで歩く。
ココラ辺で良いかな?
「娘、一気にココからギルド前に飛ぶ。」
「は?」
「ブラン、人が多いが気にするな、驚くなよ?」
「はいご主人。」
ポーンを使う。
あの見慣れた王都のギルド前だ。
「よし、娘。ブラン付いて来い。」
「え?え??えええ?」
「ご主人、人が一杯です。」
階段を登りギルドの受付へ行く。
3番窓口で依頼完了の窓口だ。
「依頼が完了した手続きを頼む。」
「はい、確認書類をお願いします。」
書類を読む受付嬢の眉間にシワが寄る。
「あの、サインは問題無いのですが…。日付が…。目的地の村を出たのが本日なのですが…。」
「そうだ、文字どうり飛んで来たのだ。急ぎの依頼だ、依頼人も納得している。」
依頼人の娘を示す。
「ええ、依頼の内容は問題なく完了しています。ただ…イロイロオカシカッタ…。」
「だ、そうだ。」
「後でお話を聞かせてもらえませんか?依頼時の状況について等…。」
なるほど、不自然な依頼は聞き取り調査があるのか…。
「恐らく魔法の話だな…。」
呟く俺。
娘は真っ青な顔になって首を振って否定する。
「全然問題ありませんでした!!速く完了していただき大変すばらしい冒険者様です。」
なんか、オークションの評価みたいな回答だが。
不自然は無いだろう。
何故か俺に疑惑の目を向ける受付嬢。
「あの、何か怖い目に合っていませんか?脅されているとか…。ギルドは力になりますよ…。」
「大丈夫です!!書類の提出が終わればもう関係がございません!!速く速く!!。」
まあ、草原で散々狼や熊に在っているんだ。
怖い目にはあっているだろう。
書類は受理されて銀貨2枚を受け取った。
随分と銭を使ってしまったが、多分魔石を買うより安く手に入った。
ギルド前でうさみみっ娘と解散する。
初任務は成功した。
クライアントの満足度も高そうだ。
「ご主人お腹が空きました。」
もうじき昼飯だ。
ブランが尻尾をパタパタしている。
コイツの処遇をどうしよう?
先ず人のルールを教えなければ…。
何処かに…。
「よし!ついて来い。」
エンリケの店に着いた。
「お邪魔する。」
「いらっしゃいオットー様。と、そちらの方は?」
イレーネが店番をしている。
「ああ、すまないそのコトで相談がある…。娘は?」
「娘は納品に行っています。昼過ぎには戻ります。昼食はもう御済ですか?」
そうか、それは都合が良いな。
「いや、未だだ。」
「では何かご用意します。奥へどうぞ…。」
イレーネの後姿を見る、もうしんぼうたまりません。
「ご主人、あのメスはご主人の物なのですか?首輪がありませんが?」
「ああ、そうだな、そんな様なモノだ…。」
思わず手が伸びる。
もう我慢できん。
「あっ。ヤメテクダサイ!この娘が見ています!!」
その割りに本気で抵抗しないイレーネ。
「へー、人ってそうやるんだ。」
たっぷり食べた。




