表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/172

Memory20

AIに絵を描かせるやつが流行っているみたいですが、許可なく絵師さんの絵をAIに学習させるのはやめましょう。

多分法に触れます。

法に触れなくても、人として他人の絵を勝手に使うというのはどうかと思うので、学習させる時は絵師さんに許可をとりましょう。


と、こんなところで言っても仕方ないとは思いますが。




「なるほどね……爆弾に関しては、特に問題なく撤去できそうだよ」


八重の家で焼肉パーティをした翌日。

クロは八重と共に保健室にて教師にしてシロの保護者である双山魔衣のもとへやってきていた。

八重いはく、「クロの爆弾については彼女に処理してもらうのが一番安全」だそうだ。


「じゃあ……もう爆弾を取り除けるってこと?」


八重が食い気味に問う。

彼女の冷静な姿からは想像もできないかもしれないが、彼女は彼女なりにクロの身を案じているのだ。


「そうだね。今すぐにでも取り除いても何の問題もないよ。爆弾の問題については解決できるね。ただその前に聞いておきたいことがある」


「聞いておきたいこと……?」


なんだろう、とクロは思う。

もしかしたら爆弾を取り除いた後に騙し討ちでもすると思われているのだろうか。

裏切りが怖いから事情聴取をしたいとか。

そんな風に適当に頭を回しておくクロだったが、魔衣の様子を見るに、どうやら裏切りを危惧しているわけでもなさそうだ。


「君の中で、一番古い記憶について聞きたい」


「一番古い記憶……ですか?」


「そうだね。赤ん坊の頃の記憶があるならそれでもいいけど、できれば赤ん坊の頃の記憶以外で、一番古い記憶を言って欲しいかな」


一瞬前世のことを言っているのかとも思ったが、いくら彼女が謎に満ちているとはいえ、クロの前世について知っているはずはないだろう。

それこそ心の中でも読まないとわからないことだ。


もしかしたら夜寝てる時に、寝言でシロに前世の記憶について話していて、そこから知られた可能性も捨てきれないが、そうだったとしたらシロにそのことについて追求されているだろう。


まあ、考えても仕方がない。とりあえずクロは素直に自分の中の一番古い記憶について話すことにした。


「一番古い記憶は……確か、シロと一緒に、生活感のない部屋にいたあの時かな……」


「その時の年齢は?」


「確か……3、4……いや、5歳くらい?」


「それ以前の記憶はないんだね?」


「まあ、多分………」


一応前世の記憶なるものがあるはずなのだが、はっきり言って覚えていない。

覚えているのは前世の性別と今世の性別が違うということだけだ。


どうしてそんな質問をするのか、と先程まで疑問に思っていたクロだったが、年齢を聞いた辺りからなんとなく何故聞いたのかクロなりに結論は出た。


おそらく、その時期に誘拐された子供などを洗い、クロ及びシロの身元を特定するつもりなのだろう。


そんな風に思うクロだったが、そんなことができるならシロが組織から逃げ出してきた時点でそうしているということには気づかなかった。


「結論から言うと………君の寿命はよくて後2年、もしかしたら今年中に尽きるかもしれない」


「は……?」


予想だにしていなかった発言に、クロは思わず取り乱す。

隣で話を聞いていた八重も、いつもの冷静な姿はどこへやら、顔は蒼然としており、見るからに動揺しているのが見てとれた。


「君は多分、真白を基にして造られたクローン人間だろう。そしておそらく、造られたその瞬間から、真白の年齢に合わせるように、無理矢理体を成長させられたんだと私は推測している」


0歳から5歳への急成長に、体がついていけなかったんだと、魔衣が言う。


元々、魔法少女のクローン人間を造るということ自体に無理があったのだ。

偶然が重なり合ってたまたま誕生したのがクロとユカリという存在だ。


そんなクローン人間が、果たしてシロが生まれたその瞬間に造られるなんて事があるのだろうか?


ありえないだろう。


組織はシロが生まれたその瞬間から、魔法少女のクローン人間を造るために、何度もクローンを製造してきたのだ。


そして、何度もそのクローンを『処理』してきた。


その繰り返しの中で生まれたのが、クロだったのだ。


「そんな………」


八重が取り乱し、呟く。

彼女の中では、ここでクロの爆弾を取り除いて、一緒に魔法少女として戦い、組織を潰してハッピーエンド、という未来予想図があったのだ。


それが今、粉々に砕かれた。

否、厳密にはその未来を達成することは可能だろう。

ただ、その先にクロの姿はない。

組織を潰した後の、クロの未来は存在しないのだ。


「な、何か方法は…!」


八重が訴えかける。

彼女としては、なんとしてもクロのことを助けたい、そう思っているのだ。


「まあ、国の医療機関に任せれば何とかなるだろうけど、彼女の戸籍は曖昧なものだし、私もこれ以上の戸籍の偽造は難しい。もし仮にこの状態で彼女を医療機関に預ければ、間違いなく貴重な実験サンプルとして、散々使い潰された後に、処分されるだろう」


しかし、事実上の余命宣告をされたクロは、最初こそ取り乱したものの、その後の対応はつとめて冷静だった。


「そうですか。とりあえず、爆弾の取り除きだけ、お願いしてもいいですか? 体の中に異物が入っているのは、気持ちが悪いので」


クロは、大人だった。

自分の置かれた状況を素早く飲み込み、そして理解したのだ。

ここで喚いても仕方がない、嘆いたところで何かが変わるわけでもない、と。


元々シロのために投げ捨てようとした命だ。

何なら、それ以前に自分は一度死んでいる。


(大丈夫………ちゃんと………死ねる…………大丈夫…………)


クロは自身に暗示をかけるかのように、永遠と心の中で大丈夫だと唱え続けた。



☆★ ☆★ ☆★ ☆★ ☆★



『門の開発室』と書かれた扉の先にある部屋にて、幹部の男、アスモデウスと、同じく幹部の女、パリカーが何かの開発に手を進めていた。


「あっ!」


「パリカー、どうかしたのか?」


「う〜ん。まあいっか。多分、君のお気に入りの魔法少女ちゃんの爆弾、取り除かれちゃったっぽいよ」


実は、クロの爆弾について管理していたのはパリカーだったのだ。

そのため、もしも爆弾が破壊、ないし撤去されるようなことがあれば、彼女の元へ連絡が行くように設定されている。


「そうか。いや、別に気に入ってるわけではない」


そう言っているアスモデウスの顔には、明らかに安堵の色が浮かんでいるのが伺える。

本当に不器用な男だなぁとパリカーはそう思いながらアスモデウスと会話を続ける。


「でも、まずいんじゃない? あの爆弾、生命維持装置としても機能してたでしょ。そろそろ組織の方に連れ戻しとかないと、その子の命が危ないかもよ?」


クロが何故今まで何の問題もなく活動できていたのかだが、それにはクロの中に埋め込まれた爆弾が生命維持装置を兼ねていたことが関係している。


「ああ、それに関しては問題ない。最低でも、夏季休暇くらいは持つ。連れ戻すのは、夏季休暇が終わってからでいいだろう」


(ああ、夏休みってやつ、楽しんで欲しいんだね〜。まるでその子の父親みたいだね、アスモデウス)


そう思うパリカーだったが、口には出さない。

出したら多分、不機嫌になる。


「それにしても、爆弾を取り除くくらいの技術があれば、あの爆弾を生命維持装置と兼任してあるってことぐらい気付けると思うんだけど、何で爆弾とっちゃったんだろう? もしかしたら、向こうも生命維持装置を持っていたり……?」


そう疑問をこぼすが、アスモデウスからの反応はない。

多分、アスモデウスのことを父親みたいだと思った事がバレたのだ。


(心でも読んでるのかっての)


別に口に出してはいないが、2人はそれなりに長い付き合いだ。

考えていることが何となくわかる関係性ではある。


そして、アスモデウスが不機嫌になったことに勘づいたパリカーは、会話を途中で切り上げ、研究へと没頭し始めた。


本当に不器用で面倒臭い男だなと、心の底からパリカーはそう思うのであった。




☆★ ☆★ ☆★ ☆★ ☆★




「第三回!恋愛会議!!! イェーイ!!!!」


「イェェェェェェェェェェイ!!!!!!」


「お前らテンション高すぎないか……?」


昨日の第二回恋愛会議から何があったというのか、真白、辰樹の2人のテンションは異様に高かった。


「イェェェェェェェェェェイじゃない!! 結局、今日もクロに話しかけれてなかったじゃない!」


「い、いやぁ………」


「あれ? そうでもないのか?」


朝太は真白の情緒の不安定さに困惑する。

それでも三者全員、この会議に不満を持つ者はいない。


しかし、真白達が呑気に会議をしている今、クロの精神がズタボロになっていっていることを、3人は知る由もなかった。

(時系列整理)


14年前 櫻、茜、八重、来夏、真白、生まれる。



12年前 千夏、束、生まれる。



10年前 黒沢雪の兄が謎の怪人によって殺害される。



9年前 クロ爆誕。



7年前 組織が怪人の制作を開始。




2年前 真白、組織を裏切る。ユカリ誕生。


------------


2033/5/28


櫻達6人の魔法少女、クロと邂逅。



5/29


櫻、茜、八重、束、真白、作戦会議。


来夏vsクロ クロの勝利。



5/30


クロ、先日の戦闘の疲れでダウン。


櫻、八重、束、ゴーレム型怪人と戦闘。



6/2


真白&茜、クロと出会う。茜ブチギレ。



6/3


クロ、真保市立翔上中学校の二年三組に転入。風元康(初登場)、双山魔衣(初登場)と出会う。

実はクロ、この時すでに広島辰樹と伊井朝太と会話を交わしている。


放課後、クロ、八重と束に出会う。


クロvs八重 八重の勝利。


クロ、組織に帰った後、ユカリと出会う。



6/4


クロ、ユカリと模擬戦を行い、敗北。



6/11


真白、クロに迫るも逃げられる。

他の魔法少女にクロの転入についてを話す。


クロ、ユカリを守ることを決意。


曇らせ愉悦系女幹部ことルサールカ登場。



6/12


クロ、真白達による騙し討ちにあうも、八重の協力により逃亡。


クロvs束&茜 クロの勝利。


Dr.白川初登場。



6/13


クロ、ユカリと模擬戦。その後、アパート暮らしになることをユカリから告げられる。


真白、八重に相談。



6/14


クロ、アパートへ。隣人、黒沢雪に、八重の母蒼井冬子初登場。八重の家にお邪魔するも、八重に爆弾のことを知られていることが明らかに。


束、茜に散麗との過去を打ち明ける。


朝霧来夏の妹、朝霧千夏(初登場)、Dr.白川及び組織と接触し、協力関係に。



6/15


クロ、八重と仲良く一緒に登校。


幹部の1人、ゴブリン初登場。

ルサールカ、ゴブリンと遊ぶ。アスモデウス、振り回される。


千夏、Dr.白川に魔法少女のサンプルが欲しいと頼まれ、引き受ける。



7/1


広島辰樹、伊井朝太初登場。

クロ、辰樹に勉強を教える。


真白、辰樹がクロのことが好きだということを知り、協力を約束。


櫻、八重を心配して声をかける。



7/2


第一回恋愛会議。



7/3


朝霧来夏vs朝霧千夏 来夏が勝利。


クロ、八重と一緒に帰宅し、焼肉パーティ。虹山照虎初登場。

黒沢雪、兄の話をする。クロ、雪に怒鳴る。


末田ミツル(初登場)、身獲散麗を尾行し、束に捕まるも、櫻と茜によって救出。


ボクっ娘女幹部、パリカー初登場。


ヒヨリ&カゲロウ(初登場)、組織に殴り込み、千夏と戦闘し、圧勝。

その後ユカリによって敗北。


真白、それぞれシリアスムードを迎える中、呑気に第二回恋愛会議を開く。



7/4


クロ、爆弾を取り除くも、余命宣告を受ける。


パリカー、ツンデレアスモデウスを楽しむ。


またしても何も知らない真白さん、第三回恋愛会議を開く。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
学習させて、制作したものを利益目的だとダメなんでしたっけ?
[良い点] アスモデウス憎めんやつだ。
[気になる点] aiイラストの件、学習までは法に触れずに好き勝手にできるから面倒なんですよね…学習させて生成させたものの扱い方は法で制限されてますが、まあ整備が足りてないよな…と思います。 [一言] …
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ