応急処置を終えたら
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Wild Arms 2 - Dungeon Exploring 1
MD215年 10/31 18:04
「……ふぅ」
非常灯が赤い光で照らす室内。
山坂は額の汗を拭うと、診療台の上で寝息を立てている女性をちらりと見た。
穏やかな顔で寝ている彼女を見て、山坂は内心ホッとした。
何せ……。
<お疲れさまでした、処置は全体の30%完了となります>
彼女に対する治療はまだ三割も終わっていないのだ。
山坂は頭上を見上げ、その原因であるものを見た。
正確には、原因によって灯らなくなった蛍光灯をだが。
「とりあえずは終わったが……これ以上は電源を復旧させないとダメだな」
<賢明な判断に思われます、人類の救助は管理者規約第一条三項に該当する項目で──>
「あぁ五月蠅い五月蠅い、言われなくても暗記してる」
山坂お手製のAIの言葉を鬱陶しそうに止めると、診療台で眠る女性──アリス──から背を向けた。
そして手近な椅子を手繰り寄せると、埃が舞うのも厭わず勢い良く腰を下ろした。
「げほっ、ごほっ! しまった! くそが!」
<ご自身の因果であるものと予測されます>
「うるせぇ! ったく単なるサポートAIの癖にそんなにお喋りなのは誰の影響だ?」
<分析中…………この分析には長い時間を要します>
「ったく、冗談も通じないと来た。 戻ったら一回リセットだな」
忌々しい顔をしながら、山坂は右足の太ももを二度程手で叩く。
すると、太ももの中から浮き上がるように小さな銀色の鍵が現れる。
彼はそれを掴むと鍵の切っ先を自らの足元へ向け、根本にあるボタンを押した。
「ポチっとな!」
伝統の掛け声と共に鍵の先端が一瞬光り、それが収まった頃には地面に赤い筒が現れていた。
山坂は左手をその筒に向けると、指先が猛烈な勢いで伸びてそれを持ち上げた。
「うーむ……自分で作った機能だがまじできもいな」
しみじみとそう思いながら、山坂は指先を戻すと筒の蓋を開けた。
中には袋詰めにされた食料が入っていた。
所謂宇宙食に近い、乾燥した物ではあったが。
「はぁ……少し休憩するか」
袋を取り出し、中身を見つめながら袋を開ける。
乾燥していても食欲をそそる匂いを堪能しながら、山坂は一口大のそれを口へ放り込んだ
放り込んだ途端、山坂の顔が変わった。
「すっぺぇっ……!!」
口を窄めながら、悲鳴を上げようとして山坂は慌てて口を抑えた。
アリスが目に入った為だ。
「…………ふん」
目を細め、先ほど自らを助けようと動いた彼女のことを考える。
何故そうしたのか、山坂にはよくわからなかった。
無論、人間という生き物が他人を助けるという理由の為に動くことがあるのは彼も理解している。
だがそれは無償でという事は殆どない、人間は何かしら自らの利益の為に生きているのだ。
<休憩時間を超過、これ以上の休憩は作戦行動に支障を来す恐れが──>
物思いに耽り、気が付いたらシトリーからの警告が山坂の眼前に現れていた。
警告の右上に書かれた時間は、先ほど筒を取り出した時から既に十五分も経過していた。
「俺が他人の事でこんなに時間を無駄にするとは……」
筒の中に残った乾燥食を急いで取り出し、一気に飲み込むと山坂は立ち上がり……咽た。
「げはぁっ!」
<慌てるな、無理な行動、死への近道>
「お前は絶対帰ったら設定を初期化してやる!」
煽るように山坂を嗜めるAIに切れながら、山坂は医務室を後にした。
念の為、防護シールドを入り口に張っておく事にもした。
<随分あの女性を気にされますね>
「あ?」
<非効率的です、彼女は……>
「機械が憶測か? 確たる証拠はねぇ、お前は道案内だけしてればいいんだよ」
医務室から出て、彼は非常灯が照らす通路をゆっくりと歩いていた。
その道中、道案内のビーコンをスーツ内部に浮かび上がらせながらシトリーは山坂にそう問いかけた。
だが彼はそれを一蹴すると、黙々と歩き続ける。
<了解、第四層へ通じるエレベーターはこの角を右に曲がった地点です>
「第四層か、シトリーお前はさっきのスライムについてどう思う?」
<私に思考能力が無いのはご存知かと思われますが?>
「揚げ足を取るのはやめろ」
<失礼いたしました、私の分析についてお聞きしたいのですね?>
エレベーターの前まで到着すると、山坂は呼び出しボタンを押しながらこのAIが行った分析について聞き始めた。
<率直に申し上げますとデータが不足しています>
「役立たずめ」
<ですので推測が入ります、あれは恐らく貴方様が作成した物に手が加えられていると思われます>
「成程、その憶測の元になったデータは?」
<はい、この基地の幹部と思われる人物の日報が残っておりました>
チーンという音と共に、エレベーターが到着し山坂は中に乗り込む。
エレベーターの内部は色褪せ、蛍光灯もチカチカとその光を点滅させていた。
「ここだけ経年劣化が凄まじいな」
<日報を確認しますか?>
「後で良い、読んでる途中で四層に着いたのに気づかず待ち伏せ食らって死ぬなんてのは間抜けのやることだからな」
<了解、それでは施設内の情報捜査に戻ります>
エレベーターは低い唸り声の様な音を響かせながら降りていき、第四層に到着した。
「…………」
山坂は無言で銃を構えると、脇に身を寄せながらゆっくりと開いていく扉から見える外界を確認した。
まず、彼の視界に飛び込んできたのは今までと変わらない長い通路だった。
その通路も上の階と同じく非常灯が点いており、ここも電源が落ちていることは明白だった。
「ここもか、別電源を確保してないと実験中に何かあった時にやばいだろ……」
ゆっくりと息を吐くと、山坂は物陰から姿を出し通路へと躍り出た。
警戒しながら歩いていると、ふと床に汚れが広がっていることに気づいた。
「ったく、カビかぁ? こんな黒く……」
そこまで言って彼は気づいた。
これはカビ等では無い、ということに。
「血痕か」
汚れの近くまで寄ると、しゃがみ込む。
山坂が着けているスーツ、その目の部分が緑色に光りその汚れをスキャンする。
「九百五十年位前、か」
何となく、その数字に違和感を覚える。
「…………?」
だがその違和感も血痕が通路の奥へと続いていることを発見した時、すぐに忘却された。
今、山坂が居るところは広範囲に血痕が広がっておりその奥には点々と足跡の形をした血痕が続いていた。
どうやら誰かが致命傷を負いながらもここまで辿り着き……そして息絶えたらしい事が見て取れた。
「奥で、何かあったか」
山坂は立ち上がると、その足跡が元居た場所へと歩みを進め始めていた。
彼が今目指している地点、発電室へのビーコンもまた……地面に残った足跡と同じ方向を指し示していたからだ。
「行きたくねえなぁ……」
そう愚痴る彼は、この道がどこに繋がっているのか何となく理解していた。
この第四層……実験棟は主に実験にのみ使われるがその最奥にはとある設備が存在していた。
発電室。
<しかし行くしかありません>
「分かってる、とは言え千年近く放置された龍脈とそれを使った発電炉に寄るのは正直勘弁してほしい」
山坂は辟易とした顔で言った。
龍脈、魔族が生きる為に日常的に摂取している霊力を生み出す空間の歪み。
霊力はそこから放出され続けるエネルギーである。
そして……人類は霊力への適性が無いもの以外はそれに触れ続けることで魔族化する。
山坂にはその適性は無いが、それでも彼にとっては近寄りたくない場であった。
「ま、だからこそ施設の最奥に作って基本誰も立ち入らない様になってるんだが」
等と物思いに耽る内に、彼は大型の扉の前に辿り着いた。
扉はかなりの大きさを有しており、大型トラック一台分が容易に通れる。
そんな大きさだった。
「足跡は……扉で途切れてるな」
地面の足跡を追っていた山坂は、行き止まりである扉によって足跡が途切れていることを確認する。
彼は扉の右側、根本付近にある血で汚れたコンソールまで近づきそれを操作した。
「開けゴマってな、千年ぶりの主のご帰還だぞっと」
消え入りそうな画面の光を灯しながら、コンソールにOPENの単語が点灯する。
点灯と同時、サイレンが鳴り響きながら扉は真横にゆっくりと開かれていく。
だが扉は何とか人一人分が通れるような広さまで扉は広がると、そこでゆっくりと動きを停止する。
「ちっ、ぽんこつが!」
山坂は扉に蹴りを入れると、窮屈そうに体を隙間に滑り込ませ奥の実験室へと入り込み……。
「さー、千年ぶりの職場はどうなってますか…………ね……」
それを見た。
この基地の結末を。
くっそ眠いので初投稿です
ロシア人12歳の発育が良すぎて驚いた…おっぱ…おっぱげた!
生命原型細胞、ショ=ゴス/Shot=gos,Prototype cell of life 青黒緑
伝説のクリーチャー
このクリーチャーが戦場に出るに際し、あなたはこのクリーチャーを戦場に居るクリーチャーのコピーとして場に出しても良い。
緑黒 クリーチャーを一体生贄に捧げる:伝説であるという事を除いたこのクリーチャーのコピートークンを一体場に生成する。
4/4
「これで……ようやく彼女を産み出すことが出来る」
──開発者、失敗前の言葉




