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152話 未開の地

―ダンジョン61階層―


階段を降った足場以外、そこには透き通るような海が広がっている。


ここからさらに下層へ進むには必ず海の中に入る必要がある。


足場へ全員が降り立つと、ステラが魔法を施す。


これは人魚国の女王アクア直伝の水中で活動が出来るようになる魔法だ。


「ここから見るだけでも凄い数の魔物だな」


「マスター、僕に考えがあるんだ」


ステラがそう提案し、皆がそれに耳を傾ける。

その後、飛び込むように海へと入った。


即座に向かってくる魔物達は仲間に任せ、アクセルは魔力を拡散、即座に地形を把握し階段を見つけると、ステラに合図を送る。


それを受け、ステラは階段のある方へ自身達を包み込むように筒状に氷を造り出し、階段まで直通の通路を造り上げた。


「ステラ、あまり無理はするなよ?」


「何度も壊され無かったら大丈夫。余力をちゃんと残して海を越えれるよ」


階段まで続く筒状の通路を進む途中、巨大な魚の魔物が大口をあけ通路諸共飲み込もうと迫るが、ミラの電撃がそれを難なく凌ぐ。


「これ以上の魔物がくると私の魔法だけでは厳しいな」


「さっさと抜けるか」


ミラの電撃は魔物にだけ効果があらわれるよう、かなり範囲を絞っている。


先程以上の魔物になると出力を上げねばならず、海の中にいる状態で電撃を使用すると皆が感電してしまうのだ。


同じ方法で魔物や資源などには目もくれず、ただ海を抜けることを優先し、どんどんと下層へと降っていく。


そして辿り着いた70階層。

階層主がいる階層だ。


「あれが何か分からないな……どんな行動するか検討もつかないぞ」


遠目に捉えた階層主の姿は巨大な目玉のような物体で、その目玉の周囲には水とは違う何かが漂っている。


「俺が仕掛ける。援護は任せた」


その言葉を聞き、皆が頷くとアクセルが武器を構え一気に距離を詰める。


そして目玉に斬り掛かかろうとした瞬間、その手を止め、水を蹴り再び距離をとる。


「スライムだ。目玉のまわりにブヨブヨがある。あれには触るな」


その言葉と同時に階層主のスライムが、アクセルを包み込むように粘液を広げ襲いかかってくる。


それぞれが、バラバラに距離をとり、まずステラが仕掛ける。


粘液内に取り込もうとしたスライムは、それが空振りに終わり元の状態に戻っている。

そこを狙い、ステラがスライム全体を氷漬けにする。


瞬時に凍ったスライムの目玉にミラの槍の形をした雷が突き刺さり、ソニアの風の刃が真っ二つに切り裂いた後、アクセルの衝撃弾がスライムを吹き飛ばす。


まさに海の藻屑となったスライムだが、未だに皆の表情は険しい。


「まだ魔力が消えてない。何かくるぞ」


アクセルのその言葉の直後、藻屑となっていたスライムが再び寄せ集まり、元の状態へと戻る。


さらにその後。スライムは分裂し全く同じスライムが2体立ちはだかる。


「厄介だな……ステラ、もう一度頼む」


再びステラにより2体同時にスライムは凍らされ、ミラの雷の槍が2体の目玉を穿つ。


そしてソニアとアクセルによってそれぞれが吹き飛ばされた。


それでもスライムは何事なかったかのように2体、共に元の状態へと戻ってしまう。


「…………同時か!」


先程はとどめの一撃を放ったアクセルとソニアに僅かなズレがあった。

そしてスライムは分裂することなく2体へと戻ったことから、同時に仕留めなくてはいけないのだと悟る。



それから2体のスライムは同時にとどめの一撃を受け、3体に分裂し、その後やっとの思いで魔石へと変わった。


「ふぅ……………みんな怪我はないよな?」


「あぁ」「うん」「はい」


「しかし………厄介なやつだ」


海底へと沈んでいっている3つの魔石を見ながら、感想が零れる。


「あれ回収しとくか。俺が行ってくる」


ここにくるまで魔物とは戦闘をしなかった為、分からなかったが、階層主であるスライムが落とした魔石は随分と小さな物となっている。


「おも!!……凝縮された感じか?まぁ、加工する奴からしたら大きいより、こっちの方が都合も良いか」


回収を済ませ、少し休憩挟み下層へと降る。


「次は雪原か」


階段を降りながら景色を見渡すと辺り一面の雪原だ。

だが、それだけではなく、空から絶えず何かが降り注いでおり、風も強く視界はかなり悪い。

加えて、階段を降り地面よく見てみると、積もった雪の下には地面が凍りつき、小さく鋭い棘が無数に生えている。


「これより先には進んでいく欲しく無いのだろうな。はっきりとその意思が伝わってくる」


「あぁ、それに地面も所々が薄い氷だ。うっかり踏み入れて割れたら………無事ではないだろうな」


「空から降ってくるのも雪じゃなくて雹だよ。かなり大きい」


「ここも私の出番ですね!一気に駆け抜けましょう」


ソニアがドラゴンとなり、皆を抱えて空を飛ぶ。


ソニア自身の背中には高熱の炎を纏い雹を防ぎ、皆を抱えた腕には再生の炎と風で皆を護りながら、アクセルの指示に従い下層へと降っていく。


そして80階層に辿り着いた。

読んで頂きありがとうございます。

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