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102話 西大陸へ

未だに賑わい続けるアートラン。


依頼が尽きないアートランにとって、とても喜ばしい事なのだが些細な問題も起きている。


★7冒険者に二つ名が付けられることは珍しいことではない。だがアクセルの二つ名の由来や、実力、現地での評判などを妬む者が現れ、ある事ない事を吹聴していたのだ。


しかしアクセルを良く知る者は、本人が気にしないだろうと騒ぎを大きくすることも無く、それどころか優秀なアートランのギルド職員達は、そんな者達を上手く依頼への関心に誘導し騒ぎを鎮圧していった。


それでも新たな騒ぎが起こるなどし、アクセル達には少々居心地が悪い場所になってしまった。


その為、資金も十分貯まったこともあり、再び旅を始めることにした。


「また旅に出るのは分かってたけど、こんな形でお別れするのは残念だね…」


アリーが以前アクセルが救い出した獣人の少女ペコを連れ、見送りに来てくれた別れ際、悲しそうにそう告げる。


「まぁ、嫌われることには慣れてるし、問題ないよ。それに俺達が居なくなれば騒ぐ奴らもいなくなっていくだろ」


こうして気分良くとはいかなかったがアートランを後にし人目がなくなる所までくるとソニアの背に乗り西大陸へと向かっていく。


「せ、先輩!今ドラゴンが……」


「気のせい、気のせい。気にしちゃダメだよ」


「……………」



▽▽▽



中央大陸の中央に位置するガラット国王都から西に進めば西大陸がいずれ見えてくるだろうと、空高く飛んでいる最中、アシュリットやさらに遠目でリーレストであろう場所も見つけ、思い出話などしていると海に出た。


そこからはたた真っ直ぐ進むが景色一面の海。


それでも超高速で移動などはせず、談笑しながらのんびりと移動する。


「そういえばマスター、ランタンの世界で短剣以外に何作ってたの?」


「ん?まだ完成してないけど見るか?」


そう言うアクセルに視線が集まり、ソニアも器用に首を曲げ顔を自身の背に向ける。


「まずはこれだな!」


そう告げアクセルがチュチュ袋から取り出したのは、人の頭程の大きさで全身が金属で造りられたドラゴンだ。


しかし精巧に再現はされておらず、丸みがありヌイグルミのように愛嬌がある姿をしているドラゴンだ。それが2体。


「「「可愛いーーーー」」」


女性陣からの評判は上々のようだ。


まだあると続けて取り出したのは、これまた愛嬌のあるゲンマドラコのような地竜だ。


「こっちも可愛いーー!」


「こいつらはさ、前、遺跡探索の時にいたゴーレムの金属から作って、またゴーレムにしようと思ってたんだけど、中々適合する核がなくてさ……今は置物みたいになってる」


「これ動くの!?!?スゴーイ!!」


「た、確かにこれが動き出せば心が癒されるな…」


しかしそれはかなり難しい話だった。


ゴーレムの核になるのは極1部の魔物の体内で精製される核を使用するのだが、魔物と分類される全ての者が核を精製する可能性を持ち、どの個体が実際に精製しているのかわからないのだ。


さらに本来であれば、その希少な核にあうゴーレムを作成するのだが、今回はゴーレムの身体を先に作っている。そのゴーレムも魔晶輝石により進化した素材をしているため、適合する核が存在するかも定かではないのだ。


「うーむ、確かに雲を掴むような話だな…」


「だよなぁ…だけどもし見つかったら夢があるよな!世界樹の枝で拠点に家建ててさ、それをコイツらに護って貰うんだ!!」


元々このゴーレム達を造っていた時はそこまで考えていなかったが、世界樹の枝を欲したアクセルはそれで自分達の家を建てたいと言い出したのだ。


当時拠点は場所を借りるだけで人の手を加えるべきではないと思っていたが、生命力溢れる世界樹の枝なら拠点に住む動物達も許して貰えるだろうと考えたのだ。


実物を手に入れ、気に入って貰えたらと前提はつくのだが。


そんな話で盛り上がっているとソニアから大陸が見えてきたと言われ、皆で前方に集中する。


中央大陸、北大陸と続き、西大陸に到着したのだ。


「また広そうな大陸だな!楽しみだけど気を引き締めていこう」


アクセルのその言葉に皆が頷き、さらに近寄っていくと海岸の近くに街らしき物が見えてきた。


その街から少し離れた場所にソニアは降り立ち、ソニアに礼を言いつつ皆も地面に降り立った。


「とりあえずあの街に行ってみるか?色々聞ければ良いんだけど」


こうして街へと向かうが、その途中、気になることがあった。


「どうした?」


「いや、魔物とか大型の動物がいないなと思ってさ…」


海岸から少し離れた場所に街があり、その周辺は開けた平原がある。そして周囲には森も広がっていて、アクセル達は森に降り立ったのだが、アクセルの言う通り大型の動物達がいないのだ。


「この周辺にいないだけとかじゃないのかな?」


「どうだろうな……それだと人の食べ物が足りなくなる気もするけど。まぁ、来たばっかりで分かるわけないか!」


兎も角といった感じで街に向かう事にした。

読んで頂きありがとうございます

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