九話 到着
今回出てくるのが王国と王都の名前になります。絶対に揺らぎません! きっと!
―――竜車はゆっくりと停車した。ガヤガヤと外からは人々の声や、人々の往来の雑踏の音が聞こえてくる。
車窓の窓から外を覗けばそこには、多種多様な種族の亜人種や人が沢山居た。
オリアの街など霞むほどに。
「……ここが」
そしてその更に奥、どこまでも続いているのかと思ってしまうほどの巨大な壁が聳り立っていた。
悠然と人々のことを睥睨するが如く、約三十メートルはありそうな壁は壮大だった。
「王都―――!!」
葛葉達は竜車の長旅の末、ようやっと王都に着いたのだった。
竜車が再び動き出し大正門を潜り抜け王との大通りを走る。竜車の窓から離れられない葛葉の目には、また更に驚愕のものが入ってきた。
大通りであり、竜車や馬車が快適に通れるほど幅が広く、転々とその大通りを通れる歩道橋が設けられていた。
竜車がかなりの速度を出しても事故の可能性は微塵もない。幅広く車線というか、中央分離帯のようなものが設けられているため、対向車の心配がないのだ。
だがそれよりも何よりも、竜車がかなりの速度を出しても近づいているという感覚がないほどに、反対側の防壁は遠っかった。
そして次に目が引かれるのは、嘔吐の中心に位置する巨大な城。なかなか距離があると思われるのに、仰ぎ見てしまうほどに大きかった。
「あれが」
葛葉が息を漏らしてると、コホンと緋月が咳払いした。そしてパンパンと手を叩き目線を集めた。
「ここイジス王国の王都フォートレス。半径175キロちょいの面積を誇るこの世界の人の生活圏では、世界一の大都市だよ。でそんな都市の真ん中に鎮座するのが、あの王城」
車窓から見える巨大な城。
緋月はその巨城に指を指して、
「これからそこに向かいまーす」
とニコッと笑顔で言うのだった。
葛葉や律はゴクリと固唾を飲み込み緊張を露わにした。反対に鬼丸は余裕そうに腕を頭の後ろで組み寝ていて、五十鈴も落ち着いていた。
「何から何まで規格外だから、あんまり離れちゃダメだからね? ボクにピッタシついて来ないと迷子になっちゃうからねー」
案内役は緋月さんなのかと葛葉は思いつつ、緊張と同時に胸の高鳴りに、これからの展開がどうなるのか楽しみにするのだった―――。
「―――と、言ったけども! 今日はここで一旦休憩〜。旅の疲れを癒すんだぁ〜」
胸の高鳴りと緊張は消え失せ、代わりにポカーンと葛葉は呆気にとられていた。
連れて来られたのは王城ではなく、豪華な宿。
現在葛葉達は王城には直行せずに、王城の近くの居住区の『貴族区』の宿屋の前に寄り道となった。
「……時間ないんじゃ?」
「え? あ、あー。うん、ま、んー、まぁそうなんだけどね。ここは融通きかせて貰ったんだ。みんな疲れてるだろうし、一日くらいね」
いつの間にかそんなことをしていたのか、というかあらかじめそうしていたのか、緋月は下を出してテヘペロッとあざとくウィンクした。
「とりあえず行こっか」
「そうじゃな〜」
そんなには緋月に対して皆ノーコメントでズカズカと宿屋の中へ向かって行ってしまった。
一人取り残された緋月は振り返ってじーっと、扱いの酷い葛葉達をハイライトのない目で見つめるのだった。
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