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第11話 剣の再誕

俺の、最初のターゲットは、

あの、忌々しい、

『粗悪な鉄の剣』だ。

いや、

あれを、剣と呼ぶことすら、

俺の、プライドが、許さない。

ただの、「鉄の棒」だ。


俺は、まず、

自作の、小さな溶鉱炉に、

火を入れる。

燃料は、

魔力を帯びた、特殊な木炭。

そして、

ふいごには、

火に強い、サラマンダーの皮を使い、

炉の、奥には、

『火蜥蜴の鱗』を、埋め込んである。

この鱗は、

熱を、一点に集中させる、

特殊な、性質を持っている。

これにより、

この、小さな炉でも、

大都市の、

巨大な溶鉱炉に、匹敵するほどの、

超高温を、

生み出すことが、可能だ。


俺は、

ギルドで買ってきた、

鉄のインゴットを、

炉の中に、投入する。

真っ赤に、熱せられた鉄を、

鑑定眼で、スキャンし、

その、内部構造を、

分子レベルで、把握する。


(…やはり、不純物が多い)

(このまま、鍛えても、

脆い、剣にしかならない)


俺は、

溶けた鉄に、

これも、ギルドで手に入れた、

特殊な、鉱石の粉末を、

少量、振りかけた。

すると、

鉄の中の、不純物が、

化学反応を起こし、

『スラグ』と呼ばれる、

不純物の塊となって、

表面に、浮かび上がってくる。

俺は、それを、

丁寧に取り除いていく。

この工程を、

何度も、何度も、繰り返す。


やがて、

鉄は、

不純物を、ほとんど含まない、

眩いほどの、

純粋な輝きを、放ち始めた。


「よし、ここからだ」


俺は、

その、精錬された鉄の塊を、

金床の上に、置き、

ハンマーを、振り下ろす。


カンッ!

キィン!

カンッ!


工房の中に、

リズミカルで、

心地よい音が、響き渡る。

俺は、

ただ、闇雲に、

叩いているわけじゃない。

スキル【万物再編】が、

俺の、脳内に、

日本刀の、

『折り返し鍛錬』の、

完璧な、設計図を、

描き出してくれている。


熱し、

叩いて、伸ばし、

そして、折り返す。

この、気の遠くなるような、

作業を、繰り返すことで、

鋼の、内部に、

何千、何万もの、

微細な層が、生まれ、

驚異的な、

強度と、しなやかさが、

宿っていく。


俺の、動きに、

一切の、無駄はない。

ハンマーを、振り下ろす角度、

叩く力、

その、全てが、

スキルによって、

完璧に、コントロールされていた。


最後に、

刀身の形を、整え、

焼き入れの、工程に入る。

水槽に、満たされているのは、

ただの、水じゃない。

粘性の高い、

特殊な、魔物由来の油を、

ブレンドした、

秘伝の、『焼き入れ油』だ。

これにより、

鋼は、

急激な、温度変化に、耐え、

刃の部分は、硬く、

そして、

芯の部分は、しなやかに、

焼き固まる。


ジュウウウウウウッ!!


工房に、

激しい、水蒸気が、立ち込める。

煙が、晴れた時。

俺の手の中には、

一本の、

見違えるほど、

美しく、生まれ変わった、

剣が、握られていた。


仕上げに、

自作の、研磨石で、

刃を、丁寧に研ぎ、

柄には、

滑り止めの、革を巻き、

完璧な、バランスに、調整する。


全ての、工程が、

完了した、その瞬間。

剣は、

まるで、

命が、宿ったかのように、

キィン、と、

高く、澄んだ音を、立てた。


デデーン!


・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆


【職人の魂を宿す剣・改】


Rank:C


分類: 片手剣


解説:

粗悪な鉄の剣を、職人イツキがその技術と魂の全てを注ぎ込み、再誕させた業物。

素材のポテンシャルを極限まで引き出し、伝説の鍛冶師が手がけた一振りにも匹敵する性能を誇る。


付与効果:


斬れ味(中)

耐久性(中)

軽量化(中)

魔力伝導性(小)

・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆


「……ふぅ」

(これなら、文句ないだろう)


俺は、

完成した、剣を、

軽く、一振りしてみる。

ブォン、と、

空気を、切り裂く音が、

その、あまりの鋭さを、

物語っていた。

重心のバランスも、完璧だ。

これなら、

ステラのような、

非力な少女でも、

楽に、使いこなせるはず。


俺は、

生まれ変わった剣を、

壁に、立てかけ、

満足げに、頷いた。


さて、

次は、

あの、ガラクタ同然の、

革鎧の、番だ。



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