250.ドキドキ! 水着でクイズ大会!
すいません……お待たせしました。
全然終わらなかったので、あきらめて今日に一気に終わらせることにしまして。
これをあげた後、また頑張りますので多分10時くらいにもう一度更新できるかと思います。
それで、お泊り+番組視聴回を終わらせられるかと。
ではどうぞ。
『皆さん、こんばんは。“シーク・ラヴ”兼ダンジョン探索士の志木花織です、精一杯に頑張りますのでよろしくお願いしますね』
『どうも! 皆のアイドル、チハちゃんこと桜田知刃矢です! 今日も可愛いチハちゃんを見て癒されてくださいね!』
『え、えーっと……飯野美洋です! 今日は飛鳥ちゃんがどうしても応援席にいたいということで私が出ることになりました、頑張ります!』
シーク・ラヴ代表として自己紹介した3人が一つの画面に映し出される。
他の出場アイドル達もそうだったが、彼女ら3人の水着姿は特に映えていた。
「うわぁぁ! リツヒ、ご主人! カオリお姉さん、凄く綺麗だね!」
「ですね! 花織御姉様、水着姿がとても似合っていて、素敵です!」
ルオと皇さんが手放しで褒めたたえるように。
確かに志木の水着姿は純粋に似合っていた。
大勢の出演者するアイドル達の中で一番だと言っていい。
水着自体はシンプルなビキニタイプ。
だが素材が超一級品だからだろう。
むしろそれがかえって、志木のスタイルや容姿の美しさ・綺麗さをより引き立てていた。
「……わっ、凄いね。SNSでも凄いつぶやきの数だよ!」
赤星が自分のスマホを見ながらそう口にする。
番組名にハッシュタグを付けたつぶやきらしい。
「へぇぇ……どれどれ……」
「あっ、新海君、これ」
「お、おう、サンキュ……」
自分のスマホで見ようと思ったら、赤星は当然のように自身のスマホを差し出してきた。
そんな簡単に、しかも異性に渡しても大丈夫なの?
まあ見るけど……。
「……御嬢様、これは伏兵案件では?」
「……ギリギリセーフ、ですかね。それより、御姉様や知刃矢様を見ましょう! あっ、美洋様、お胸が水着からこぼれそう!」
いや椎名さんも何を密告してんの。
どんだけさっきやられたの悔しかったんだよ。
呆れながら赤星が貸してくれたスマホに視線を落とす。
“ブフォォォォォ!! 志木ちゃんの水着姿!! 神々しすぎる!!”
“えっ花織ちゃん……天使? いや女神だったの? 俺は夢でも見ているのだろうか……そうか、天国はここにあったのか”
“スタイルの良さは勿論のこと、綺麗なおへそ、そして大きく手を振った時に見えた腋!! 俺は今日、花織様のおかげで腋フェチという新たな扉を開いたぜ!!”
“ふつくしい……目が浄化されるようだ……過去の俺よ、生放送見るんだからと言って録画を怠らなかったその選択、感謝する……”
「……凄いな」
番組名で検索したもののはずなのに、話題をかっさらっているのは殆ど志木、そしてシーク・ラヴだ。
他のアイドルも多数出ているはずなんだけどな……。
そう思って画面を一応スクロールしてみる。
“知刃矢ちゃん、キャワワ!! えっ、可愛い水着スタイルで投げキッスとか、そんなことしたら俺、彼氏候補に手挙げるよ!? 結婚を前提としたお付き合い申し込んじゃうよ!?”
“あれ、アイドルグループ対抗のバラエティー番組を見てたはずが、いつの間に画面が二つの雄大な山に乗っ取られ……違った、美洋ちゃんのギガントパイオツだった”
“応援席の白瀬ちゃんと逆井ちゃんも水着姿可愛すぎじゃね? 白瀬ちゃんはパーカー姿だけど、いつもの強気な感じとのギャップがあってGood! 逆井ちゃんは大胆な水着、面積薄で、エロティックな感じがしてこれもGood!!”
うーん……流石は現役でもトップクラスの人気を誇る、スーパーアイドルグループなだけはある。
「あっ、マスター、“Rays”も出てるっぽいよ、梓がいた」
「おう、そうか――」
リヴィルの言葉に顔を上げると、確かに応援席の所に梓がいた。
梓も白瀬と同様、水着の上にパーカーを羽織っているらしく、肌の露出は最低限に抑えられていた。
「だ、大丈夫かあの二人……」
異性・同性の別なくあらゆる人を惹き付けるような水着姿の志木。
あるいは休みの夜に家族で見るのは躊躇するほど、性的なことを連想してしまう素晴らしい二つの果実を備えた飯野さんなど。
見るべき人たちがいるのにも関わらず、俺は白瀬達が心配で心配で、そっちの方が目が離せなかった。
桜田は……まあいいんじゃね?
「ポロリ……絶対ポロリはするなよ……お前ら応援席なんだからな」
健全な青年男子であれば、普通こういう番組ではアイドルのポロリを願うものなのだろう。
だが俺は白瀬と梓に限っては、正反対のことを願わずにはいられなかったのだ。
パッド……男装バレ……っ!!
俺は何もできんぞ、最悪、身体能力で何とかカバーしろよ!!
赤星に礼を言ってスマホを返し、また画面を注視する。
場面が切り替わって、男性アイドル達の紹介に入った。
そこで出場するアイドル達が順に映し出される。
「……どうやら“Rays”は龍爪寺君、木田君、それに藤さんの3人のようですね」
……富士山?
椎名さんの言葉に一瞬、ハテナマークが乱立しそうになる。
が、直ぐに意味が分かった。
「ああ、“ふじさん”ってその“藤さん”……」
画面で龍爪寺が一応リーダーとして紹介されているものの。
明らかに知的な雰囲気を放っている男性が、俺には裏のリーダーみたいに見えた。
それこそシーク・ラヴでいう赤星みたいな存在なのかと考えたその男性。
彼の水着のパンツ、腰辺りに“藤冬夜”と名前が書かれたワッペンがついていた。
「えっと……椎名さん、藤さんって? 知り合いなんですか?」
俺が聞き辛いと思っていたことを、赤星が聞いてくれた。
椎名さんは誤魔化すこともなく普通に答えてくれる。
「一昨年……まだダンジョンがこの世界に出現する前、ですかね。彼が大学院生だった時に、皇グループの関連会社にインターンに来たことがあるんですよ」
「へぇぇ……」
「御嬢様も丁度見学に来ていた日でした。私も御嬢様にお仕えし始めた辺りだったので、殆どすれ違う程度でしたが、それでアイドルの方で再会して、偶然その話になりまして」
皇さんも苦笑するように椎名さんの話に同意する。
「あの頃、椎名ってば誰彼構わず凄い顔で睨んでたから。私、この前お会いした時“偶然目が合っただけで凄い形相で睨まれたからね。年下だろうが何だろうが、あれは怖かったよ……”って言われちゃった」
「そ、それは御嬢様をお守りするという使命に燃えていたので! ああいや、別に今はそうじゃないとか、そう言う意味でいったわけではなくて!!」
珍しく慌てふためいていた椎名さんに、温かな笑い声が起こる。
番組もアイドル達の紹介が終わり、早速対抗ゲームへと入って行ったのだった。
□◆□◆ □◆□◆ □◆□◆
『くっ……“1のD”を』
志木の苦しそうな声と共に。
プールサイドに設置された画面のパネルが一つ、青色に変化する。
逆に他のチームの陣地だった黄色が一つ消える。
青色は志木達シーク・ラヴのチームの色だ。
30あるパネルの内、青色は今ので3つ。
いくつもアイドルグループがいる中でなら、1/10は良い方なのだろう。
……本来なら。
「うぅぅ……御姉様達、かなり苦戦されてます」
「どうしてだろうね……カオリお姉さん達、クイズは結構解答しているのに」
皇さんとルオがハラハラと見守る中、俺は何とも言えない表情でいた。
「えっと……」
「いや、うん、まあ、ねぇ……」
反対に赤星とリヴィルは俺と同じく微妙な顔をしていた。
こうなっている原因にとても心当たりがあるのだが、でもそれを口にするのは躊躇われる、みたいな感じだ。
その原因の一つが何かと言うと――
『――えっと“さ・し・す・せ・そ”ですよね? 砂糖、塩……スイカ? うぅぅ、美洋さん、後お願いします!!』
『えぇぇ!? で、でも……うん! 私家庭科は得意だよ!! “す”はズバり“スパイス”!! “せ”はフードプロセッサーで粉々にしたパセリの“せ”!! “そ”は“ソイソース”、つまり“しょうゆ”だね!!』
ブブーッと不正解の音が響き渡る。
同時に折角、先程志木が獲得した“1-D”が無色に。
桜田と飯野さんの驚きの表情がアップで抜き取られた。
反対に志木はアイドルらしからぬ黒い笑顔で、アホ解答をたたき出した二人を見ている。
「あぁぁ! 惜しい、もうちょっとで正解でしたのに!!」
「だね! 今までも惜しいのばっかりだったし、次は行けるよ!」
「…………」
とても前向きな皇さんとルオに水を差すのも躊躇われ、無言でいることにする。
ま、まあ見ている分には面白いからいいんだろうけどね。
普段何事においても苦戦などしなさそうな志木が、チーム戦という縛りでクイズに苦しんでいる、なんて珍しいからな。
ただそこはそもそも志木自身も織り込み済みだっただろう。
仲間以外に足を引っ張られる方が、志木としては何倍、何十倍もイラっとするに違いない。
その証拠に、その典型例が今、丁度画面の中で起こっていたのだった。
感想の返し、少し滞ってしまってますが少しずつでも返していきますので。
もうしばらくお待ちください。




