115.久しぶりに、こういう時間も、いいな……。
※また、久しぶりに掲示板を使った表現があります。
苦手な方は……すいません、飛ばして、主人公たちの会話だけを読んでください。
「いや~、やっぱり凄いな、アイツら」
「だね~。カオリお姉さんとリアお姉さん、“もはや大物感を隠さなくなってる”とか言われてるし」
シーク・ラヴを話題にした掲示板では、彼女らの話が活発になされていた。
つい先ほど、ダンジョン攻略過程を収めた新たな動画が公開されたのだ。
俺がストーキング――もとい、見守りについていった、あのダンジョンの。
それで、ルオの言うように中でも、逆井と志木への言及は凄いことになっていた。
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112:以下、名無しにかわりまして探索士がお送りします
何だよ……志木ちゃんも、逆井ちゃんも、ドシッと構えすぎだろ(震え声)
113:以下、名無しにかわりまして探索士がお送りします
もはや大物感を隠さなくなってる
……もうこの二人だけでよくね?
114:以下、名無しにかわりまして探索士がお送りします
芋虫モンスターを殴り殺す律氷ちゃんを見ても、表情を変えない花織様……いい
115:以下、名無しにかわりまして探索士がお送りします
赤星さんと皇さん、それに知刃矢ちゃんの3人だけでも戦力として十分脅威
なのに……後ろにはまだ魔王と側近が
この芋虫モンスター側から見た絶望感よ
116:以下、名無しにかわりまして探索士がお送りします
≫112
えっと、“志木ちゃん”呼びに違和感持つの……俺だけ?
117:以下、名無しにかわりまして探索士がお送りします
俺、生まれて初めて芋虫に対して同情した……
118:以下、名無しにかわりまして探索士がお送りします
≫116
俺も思った
“花織様”と呼ばない素人がまだいたのかよ
≫115
“花織様”を“魔王”呼びとは……いい度胸だ
お前は俺達に喧嘩を売った!
魔王軍の一員を敵に回したこと、後悔させてやる!!
119:以下、名無しにかわりまして探索士がお送りします
それにしても探索士の制服……エロいなぁぁ
このデザイン考えた奴天才かよ
120:以下、名無しにかわりまして探索士がお送りします
≫116
か、かおりん……(ボソッ)
121:以下、名無しにかわりまして探索士がお送りします
俺……花織様にあんな視線向けられるなら……
――芋虫でもいい、かも!
122:以下、名無しにかわりまして探索士がお送りします
※114と121は特殊な訓練を受けております
一般の方は絶対にマネしないでください
123:以下、名無しにかわりまして探索士がお送りします
逆井ちゃん、明るくて盛り上げ役にも関わらずさ
かなりメンバーからも信頼されてる感じ、俺かなり好きだわ
124:以下、名無しにかわりまして探索士がお送りします
≫120
実際、花織様を“かおりん”なんて気軽に呼べてる時点で、逆井ちゃんの希少性が分かるよな……
それを花織様も許してる……というかむしろ気に入ってそうなまであるし
≫118
言ってる!
自分で魔王軍の配下だって言っちゃってる!
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画面をスクロールしながら、一般の反応を眺めていく。
ルオも同じように、笑いを交えたやり取りを楽しんでいた。
ただ……。
「えっと、その、ルオ?」
「? 何、ご主人?」
可愛らしく小首を傾げて、振り返った。
笑顔を浮かべウキウキする様子は、今この瞬間を全身で楽しんでいることが分かる。
……そのことが伝わってきて、何だかこっちも嬉しくなるくらいだ。
うん、それは、いいんだけど……ね。
「――膝の上から、降りたり、しない?」
あまり期待せずにそう尋ねてみると……。
ルオは自分の知らない言語で話しかけられたみたいな反応をする。
「?……うん! ここにいるよ?――ご主人、早く続き見よ!」
さいですか……。
まあそうだろうとは思ったけど。
でもさ、こう、さ……。
ルオは自覚ないだろうけど。
ルオも相当に魅力的な女の子なわけですよ。
そんなルオに、膝上に座られたら……分かるでしょ?
さらにルオは人一倍元気な子だから、頻りにモゾモゾと動くし、ちょっとマズいところがこすれて……。
今日はラティアとリヴィルが家にいないから、二人きりなわけで。
つまり、逃げられそうにない。
何とかボロが出なければいいが……。
「分かった分かった……」
急かすルオを宥めるように、スマホを再びルオの前に構え、スクロールしていく。
ルオが俺の膝に座っているから、俺はルオの頭に顎を乗せるようにして覗き込む形だ。
……本当、女の子ってなんでこんな髪、いい匂いするんだろうね……。
「へぇぇ……ハヤテお姉さんも、色々と書かれてるんだね」
「確かにな……赤星も結構人気あるっぽいし」
ルオが言うように、しばらく進むと話題が変わり。
話の中心は赤星へと移っていた。
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301:以下、名無しにかわりまして探索士がお送りします
赤星ちゃん流石の動きだよな……高校の県大会で新記録出しただけある
302:以下、名無しにかわりまして探索士がお送りします
ダガーで刺していく姿に無駄が感じられない……こやつ、出来る!
303:以下、名無しにかわりまして探索士がお送りします
それにしても探索士の制服……エロいなぁぁ
このデザイン考えた奴天才かよ
304:以下、名無しにかわりまして探索士がお送りします
確か陸上やってたんだっけ?
探索士なる前
何かで一流になるくらい極めた人って、他の分野でも開花する可能性が高いって
ばっちゃが言ってた
305:以下、名無しにかわりまして探索士がお送りします
スタイルもいいし、クールな感じがまたいい
……誰か、陸上時代のユニフォーム姿の写真持ってませんか?
306:以下、名無しにかわりまして探索士がお送りします
≫303
あれ!?
さっきも同じ奴いなかった!?
探索士制服フェチの人!
307:以下、名無しにかわりまして探索士がお送りします
これ、勿論本人の戦闘センスの良さもあるんだろうけど
動画内での颯ちゃん、かなりメインで戦闘してるんだね
実は影の実力者的存在?
308:以下、名無しにかわりまして探索士がお送りします
普段は飄々としているようで、律氷ちゃんとか、六花さんとか
その辺へのフォローもさりげなくしているところが凄い
いや、戦闘面って意味でもだけど、仲間想いなところがちゃんと見えるってか
そんな感じ……分かる?
309:以下、名無しにかわりまして探索士がお送りします
実際、運動神経もいいし、頭も相当切れるよ、彼女
中学時代クラスメイトだったんだけどさ
私はそこらの石ころレベルの存在でしかなかっただろうに
その機転のおかげで助けてもらったし
皆……トイレって、大事だよ?
310:以下、名無しにかわりまして探索士がお送りします
≫308
大丈夫、分かる
ってか、そういうカッコいい、クールな感じなのに、情に厚そうなギャップがいい!
颯ちゃん……彼氏とかいるのかな?
いたら、多分またまたギャップがありそう!
311:以下、名無しにかわりまして探索士がお送りします
≫308
通じてるぞ!
でも、家では逆にぐで~ってしてそう!
可愛い人形とか飾ってたり、部屋をピンクで統一してたり
そんなギャップがあってもいいと思うんだ……
≫309
そうだな……うん、大事だ
漏らしちゃう、そんな君にも、きっと良い人見つかるさ
312:以下、名無しにかわりまして探索士がお送りします
赤星さん、いいよね
もう魔王と配下の2人から向けられてる信頼感凄いもん
多分、魔王様の懐刀的な存在なんだろうな
313:以下、名無しにかわりまして探索士がお送りします
≫311
妄想乙!
これだから童貞は困る
314:以下、名無しにかわりまして探索士がお送りします
≫311
漏らしてねぇーし!
だから、機転のおかげで助かったんだって!
漏らす寸前で!
≫312
こらっ、花織様を魔王だなんて、なんと恐れ多いことを!
その名で呼んではいけません、消されますよ!
315:以下、名無しにかわりまして探索士がお送りします
314が誘導尋問に引っかかっていることも
そして“志木ちゃん”だとは言ってないのに、自分で“魔王”=“志木ちゃん”だと理解していることも
言わない方がいいんだろうな……(遠い目)
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「……ははっ、志木は名前を呼んではいけない人かよ」
それにしても、赤星はギャップ萌えが良いらしい。
うーん……確かにそう言う面もあるし、人のことを良く見てるな、とは思う。
「でも流石に部屋をピンク一色はないだろう……ルオはどう思う?」
「うーん……ボクはアリだと思うけど……」
ルオがまだ先を言おうとした時。
それが遮られるような形で、丁度スマホの画面が変わった。
ビビったが……何だ、電話か。
「……逆井か?」
「あ、ならラティアお姉ちゃんとリヴィルお姉ちゃんも、着いたのかな?」
「そうかもな……」
それを確かめるためにも。
俺は鳴り続ける着信に応答すべく、通話ボタンを押した。
今日はちょっと気分が乗ったので、いつもやらないことをと思って、再び取り入れてみました。
2回目だからか、1回目よりは苦労・苦痛は少なかったです。
ただやっぱり、連続したり、頻繁にやるものではないですね、色んな意味で。




