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10.あの肌――あの日見た織部の肌色を、俺はまだ忘れてない。――ってか忘れられないって!!

※以下、またお話には関係ない作者の言葉が続きます。興味のある方だけご覧になってください。それ以外の方はどうぞ、サッとスクロールしてお話へとお入りください。



主人公的作品「ほ、歩谷健介!! 折角、折角仲間になれたと思ったのに!!」


歩谷健介「勘違いすんな。俺は……テメェを利用してやったんだよ――フフッ、おかげで評価してくれた人は28人に増えた!!」


主人公的作品「で、でも!! ランキング9位に上がったのは、ブックマークしてくれた人の力も――そう!! もっと上を目指してほしいって人の気持ちも――」


歩谷健介「俺のことより!! ……テメェのことを、心配しやがれ。265件のブックマーク、へへ。そうさ、コイツ等も、利用してやったのさ!! おかげで、九席にまで上り詰めた!!」


主人公的作品「でも!! でも!!」


歩谷健介「行け!! ここは俺が抑える!! ――第9席まで駆けあがったんだ、唯じゃ死なねえよ」


主人公的作品「……うぅっ、クソッ!! 絶対死ぬなよ!!」 ダダッ――


十星書の中の裏組織幹部A「……ちっ、先にいかれたか」

十星書の中の裏組織幹部B「ここに残ったということは、死ぬ覚悟はできてるんだろうな?」

十星書の中の裏組織幹部C「さっさとこいつを倒して、奴を追うぞ!!」


歩谷健介「行かせるか!! あいつは、この先なろうのローファンタジーの未来を担う奴だ!! そいつの邪魔は、何があっても、この俺がさせない!!」


十星書の中の裏組織幹部、纏め役D「……殺れ」


歩谷健介「第9席――歩谷健介、一世一代の死に戦!! 参る!!」


その後、主人公的作品は何度も振り返る。

しかし、歩谷健介が追いついてくることはなかった。



――こんな展開は流石にないですね!!



評価してくださった方も、ブックマークしてくださった方も!!

わざわざ時間を割いて読んでくださった方も、本当にありがとうございます!!


そして、今後主人公的作品がピンチになったとき、死んだと思っていた仲間が駆け付ける展開へと分岐するには。

歩谷健介が立ち上がるためのご声援が必要です。

是非更なるご評価、ブックマーク、そして応援をよろしくお願いいたします!!



……2話連続で長々とどうでもいいことをゴメンなさい。

嬉しくて舞い上がってました。


では、どうぞ。


「――あの、ご主人様、ありがとうございます」



 帰り道。

 少し日が暮れ始めている。


 あの後、とりあえず説得した。

 帰ったらちゃんとオーダーメイドは見積もり・注文してみるから。


 だから今は既製品を買おう、と。

 大手通販サイトを見てみたら、一応『サキュバス』で検索すると。

 

 サイズの融通は利かせられないが、それらしいものを買える。

 そしてそれはいやらしさというかエロさみたいなのも、ある程度抑えられているのだ。

 


「いや、別にそれくらいなら、な」


 俺は両手に多くの袋を抱えながら。

 少し気恥ずかしさに、つい手を口元に持っていった。




“サキュバス”という個性が、ラティアを形作る要素なのに、我慢を強いたのだ。

 ラティアは納得してくれたが、流石にちょっと申し訳なさもあった。

 なので、先日のダンジョン攻略のご褒美的な意味もあって贈り物をしたのだ。


「……一生、大事にします」


 ラティアは手の中にあるそれらを。

 まるで宝石でも扱っているようにそっと持っていた。


「一生は大袈裟だって」



 いつもは俺の言葉を聞き入れてくれるのに。



「いいえ!! 本当に、ずっと、ずっと……大事にするんです」


 これだけは頑なに聞いてくれなかった。

 ラティアは、贈り物に、慈しむような視線を向けている。



 そんなに大切にしてくれるのは嬉しいんだが。




「……えっと、でも、付けるのは、家だけに、してくれよ?」



 俺の言葉を受け、ラティアの表情が歪む。

 


「……どうして、ですか?」


「どうしてって……」



 俺はラティアの目を見れない。

 だって、それ――













 ――首輪とベルトですもん。  









「……ベルトも、腰にするんじゃないんだろ?」



 首輪とは別の。

 

 ラティアの手の中にある4つのベルトを見る。

 大きさの異なるものが2つを2セット。



 ラティアはさも当然とばかりに頷いた。





「――はい!! 首以外にも、ご主人様に所有していただいている証として……」




 両の二の腕付近。

 そして太腿辺りを目で示した。




「……OK。やっぱり家だけでな」


「そんな~!?」




 そんなん外でやられたら余計目立つだろ!!

 ただでさえラティアは目を引く外見をしてるんだから。








 







「ふぅぅぅ……じゃあ、これ。収納、自分でできるか?」


 主にラティア用の衣服が入った袋を渡す。


「はい!!」


 2階にある客間の一つが、今のラティアの部屋だ。

 ラティアは嬉しそうにパタパタと音を立てて上がっていった。



「さて――……ん?」



 何とはなしに、スマホを見る。

 そして目的なしにいじっていると、目を引く部分が。




 本当に、特に意味があったわけではないが、検索サイトの検索履歴が目に入ったのだ。


 そこには――







『サキュバス 過激 服装』や『サキュバス エッチ 大胆』など。 

 この後も似た内容の検索が続く。



「…………」


 俺はそれを見て、何とも言えない気分になる。

 更に見てみると――



『サキュバス ムラムラ 誘う』


『サキュバス 襲われる 衣装』


『襲ってもらう どうしたら? エッチな衣装』


『大胆 女性 引かれる?』



「あ、ここでちょっと正気に戻った……」


 ラティア……何を調べてんだあの子は。

 ちょっとプライバシーを覗いてしまったようで罪悪感があるが。


 でも本当、人のスマホだよ、これ?

 本当、思春期の男子が消し忘れたPCの検索履歴かよ。



『首輪 所有される 嬉しい』


『ベルト 二の腕太腿 嬉しい』







「――あかん」


 これ以上はやめておこう。

 俺は今日一日の検索履歴を削除した。


 

 俺が女性ものの下着とか服とかを買っている間に。

 本当に、ラティアは何を調べてたんだよ……。




□◆□◆ □◆□◆ □◆□◆  


 次の日の夜。



『――ダメです!!』



 画面越し。

 織部は一も二もなくそう答えた。



 昨日のうちに。

 以前から頼まれていたものをようやく送ることができ。

 

 ダンジョンのことや逆井のこと。

 色々と話すことがあるといい添えてメール機能で伝えた。


 すると、通信を繋げた瞬間、開口一番にこれだ。



「……いや、色々話すことがあってだな――」


『ですからダメです!! ぜぇぇぇっっったい、ダメです!!』


 織部は、先日俺が買った、明るめのジャケット服を着て。

 控えめな色のフリルスカートを、ニーソックスを、履いて。

 

 ……恐らく、その下も俺が買ったのを履いて。


 盛大に拒否っているのである。



「……俺が何を話すか、分かって言ってるか?」


 送ったことに対する感謝の言葉でもなく。

 否定から入られると流石に戸惑いを隠せない。



梨愛(りあ)に私のことを話すってことですよね?』


「……ああ」


 まだ話すこと前提ではないが。

 どうすべきか、本人に相談して、決めようという趣旨だったのに。

 

 織部本人は取り付く島もない。


『話したら絶対ダメですからね!? フリじゃありませんからね!?』


 ここまでの拒否反応は珍しい。


「……何か、理由でも?」


 俺がそういうと、織部は顔を真っ赤にして捲し立てた。




『ま、また!! また新海君は私の口からそういうことを言わせるんですか!!』



 え?

 まったく心当たりがないんだが。

 そう伝えるが。



『嘘です!! その目は絶対に嘘の目です!!』


「いや、そういわれても、織部の口から言ってもらわないと、俺分からないんだけど」


『……梨愛に知らせたら、どうやったって私と新海君の出会いの部分に話が行くじゃないですか』 


 すねたような表情で、プイっと横を向いた。


「……そりゃ、そうだろう」


『……そしたら、私の変身能力にまで、話が行きます』


「……まあ、な」


 そりゃ行くだろう。


『もう!! 言いますよ、言えばいいんでしょう!? 私の痴態を新海君に見られたってところを、どうしたって話さないといけないじゃないですか!!』


「……え、それだけ?」


 自分の親友に、自分が生きていることを話すのを躊躇う理由。

 ……マジ?


 俺の態度を見て、織部は更に顔を真っ赤にする。


『それだけとはなんですか!? それを知られたら、私達の協力関係にまで話が及びます!! じゃあ私が新海君に、自分の着たり履いたりするショーツやソックス、服まで教えてることも知られるんですよ!?』


「……いや、そりゃしゃあなくないか?」


『何故ですか!? そこから、新海君の手を介して購入、送られたこととか!!』


 織部の暴走は止まらない。


『新海君が、嗅いだり舐めたりした後のかな、とか私が想像して、その衣服を着たり脱いだりして恥ずかしがってることも!! 全部知られて――ハッ!?』 



 早口だった織部が、いきなり何かに気づいたようにして驚愕する。

 そして口をあわあわさせる。


『に、新海君……やっぱり、私にそういうことを、言わせてからかっていましたね!?』


「いやいやいや!! 今のは完全に自爆だから!! 俺何もしてないから!!」


『ああ……最悪だ……』


 織部も何となくは自滅してしまったことを理解しているのか。

 頭を抱えた後、ブツブツと呟き出す。


『これは夢だ……夢に違いないんです……男の子に自分の恥ずかしい妄想内容を全部知られるとか……』


「おーい、織部ぇぇ……戻ってこ~い」


 織部は光の失われた瞳で、膝を抱えていた。


『新海君の目が言ってるんです……“織部は痴女なだけでなく、妄想癖も凄いなんて、学校では清楚なフリして猫かぶってたんだな、性欲持て余してるんじゃないか。そういう大人な道具も送ろうか”って』


「いや、それは考えすぎだ――って……」


 ダメだ……全然聞いてない。


 俺はこのままじゃDPも無駄になるし。

 織部自身も後で正気に戻ったときにそれを申し訳なく思うだろうと考え。


「……一旦切るぞ」


『どうせ私は変態ですよ……夜な夜な新海君の大きな手を想像――』




 ブツッ―― 







「……やばい、最後の、何言ってたか気になる終わり方になった」 






 もうちょっと、継続していればよかったかもしれない。





□◆□◆ □◆□◆ □◆□◆  


 時間を空け、もう一度通信すると。

  

『……すいません、取り乱しました』


 織部はいつも通りに戻っていた。


「……ああ」



 


 

 冷静になった織部と話し合い。

 逆井には、織部のことはしばらく黙っていることにした。


 今こっちの世界で、織部や俺を除いて。


 初めてダンジョンが攻略されたこと。  

 その渦中に、新設された資格の候補生になった逆井もいること。


 それらを話した上での決定だ。



「じゃあ、逆井に話す時期については、織部に任せるよ」


『はい、梨愛のこと、よろしくお願いします』




 それで一応、今日話すべきことは終わった。

 さて、他に何かあるかなと考えだした時。



『――そういえば、新海君、ちゃんと定期的に薬草やポーションはとってますか?』



 織部は今思い出したように、唐突にそう口にした。



「ん? ――ああ、ポーションは忘れることもあるが、薬草はキチンと」


『へ~、感心ですね! どれくらいの頻度で? やっぱり“2日に1枚”くらいですか?』



 ……え?



「おいおい、織部、言い間違えてるぞ?」


 俺が指摘してやると、織部は『え!?』と恥ずかしそうに手を口に当てた。


『す、すいません!! 無意識にどこか間違えたみたいで――どう言ってました?』


「薬草の食べる頻度。“2時間に1枚”って聞くところで、お前“2日に1枚”って」


 俺がしょうがないな、と思いながらそういうと、織部は――


『……へ? えっと……合ってますけど』


 ポカーンとする。

 それを見て、俺もポカーン。





「――……ははっ、おいおい、織部も俺をからかってるんだろ」


 苦笑いしながらそう言ってやる。 

 だが負けじと織部も。


『……フフッ、もう騙されませんよ? 新海君こそ、また私をからかって!!』


「いやいや、織部こそ!!」


『いいえ、新海君こそ!!』


 お互い、いやーな汗をかいてきた。


「…………」


『…………』


 沈黙。

 そして――






『――えっ!? 新海君、“2時間に1枚”と聞かれたと思ったって、一体どんな頻度で薬草を口にしてたんですか!?』


「――いや、織部こそ!! “常に絶やさず”って言ってたじゃねえか!! なのに“2日に1枚”って“常に”の用法間違えてるだろ!!」


 どちらも何か盛大にマズイ勘違いをしていたことになる。

 ただこの場合、より冷や汗をかいてるのは俺の方だった。



「いや、えっと、今もちゃんと“1時間に1枚”欠かさず食べてるけど。寝てる時間は無理だから、起きたらその分、一気に3枚とか4枚を、2,3時間連続で……」


 俺が段々尻すぼみにそう告げると、それに伴って織部の顔色がサーっと青くなる。

 それこそ、薬草の青苦い色みたいに……。 

 






『――に、新海君!! 体、体は大丈夫なんですか!?』



 画面に飛びつくようにして、織部は真っ先に俺の体の心配をした。

 ……そのことが真っ先に思いやられるほど、俺はかなりマズイことをしていたらしい。

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