本戦5対5決闘 決勝後の反応 前編
80:名無しの魔導士 ID:hC6ftLh
なんだこのハリネズミ!?
81:名無しの弓術士 ID:KtdSQSx
アルテミスの矢を全身に受けた……
ソラールです……
82:名無しの騎士 ID:NZ89rPM
ソールチームは純タンクがいないから、
前衛の誰が受けても変わんないっちゃそうなんだけど……
83:名無しの重戦士 ID:2XnEb6C
ひどい集中攻撃
84:名無しの軽戦士 ID:p3SLFTw
しゃーなし、エースの宿命じゃい
85:名無しの神官 ID:Pfbc6f4
それはそうなんだけど、
回復し続けるルアの身にもなれって!
86:名無しの武闘家 ID:j47TcBx
回復したら矢が落ちるはずじゃあ……?
87:名無しの弓術士 ID:NGADzt6
説明しよう!
回復時に体から落ちる矢ってのは、実は一本なんだ
この時、回復量は関係ないぞ! 大回復でも小回復でも一本だ!
継続回復でも一発動につき一本! 例外はない!
そんで刺さった矢は時間経過でも取れるんだけど、
回復一回で一本ポロリ
時間経過でも一本ポロン
でも、それを超えて矢が刺さりまくると……?
88:名無しの騎士 ID:WwGXaKK
こんなふうに
討伐寸前のレイドボスみてーな状態になると
89:名無しの弓術士 ID:NGADzt6
いえーす
90:名無しの神官 ID:Sa6yZTx
ソラールはレイドボスだった……?
91:名無しの神官 ID:7hDYfiB
一般プレイヤーから見たら似たようなもん
92:名無しの弓術士 ID:Df29jEZ
倒れないもんなぁ
93:名無しの重戦士 ID:SVXXjeh
ソレイユやシャムスはちょいちょい
戦闘不能になるのにね
94:名無しの魔導士 ID:AkKMTy9
まー、ルアが
ソラールの回復を最優先にしているってのもあるケド
95:名無しの騎士 ID:H8HyQyM
純粋に強くて速くて技術も高いからな……あとうるさい
互角なのってアルベルトくらい?
96:名無しの弓術士 ID:zdaTxYj
いや、試合見ているんじゃねえの?
今まさに弦月がソラールと互角の戦いをしているけど
97:名無しの騎士 ID:ACVBZSt
本当にね
若干パワー負けしている以外は互角だなぁ
98:名無しの軽戦士 ID:6TwZ5pt
リーチとパワーの差を短弓で埋める立ち回り
イイネ!
99:名無しの騎士 ID:H8HyQyM
あれ、でも回復ってどうしてんの?
弓単だと押し込まれたら負け確じゃね?
弦月もそのうち回復差でソラールに負けないか?
100:名無しの武闘家 ID:UGd8VQw
決勝まで一切アルテミスの試合を観なかった人かな?
継承スキルで回復するから平気だよ
101:名無しの武闘家 ID:ehGYj2j
ヒーリングアローとかいうやつっすね
初見ではフクダンチョーがFFしてる! とか思ったわ
102:名無しの武闘家 ID:f3pgB6b
フクダンチョーの命中率で回復矢って大丈夫なのか?
「なに見てんのわっち?」
長い狙撃銃を担いだ秀平が声をかけてくる。
俺は画面を見たまま、重たい機関銃を引き寄せつつ応じた。
「昨日の決勝戦の実況スレ。TBの」
座り直すと、鉄骨で組まれた階段が高い音を反響させた。
金属類に囲まれているせいか、心なしか体がひんやりする。
「ほほう、あれは確かに熱戦だった。でもさぁ」
言いつつ、秀平も手元にモニターを表示させようとする。
……ここはサバゲー用のフィールド――ではなく。
VRのFPSゲームの中である。
グループ戦の開始を目前にした今、なぜ秀平と共に別ゲーへ赴いているかというと。
「試合が始まるぞ!」
背中をバンと叩かれ、思わずゲーム内ブラウザを閉じる。
顔を上げると、軍服、防弾メット、サングラスに銃弾を咥えた健治が、袖をまくった太い腕を下ろすところだった。
「痛いぞ健治」
このゲームを春休み中に一回は一緒に遊ぼうというのが、前々からの約束だった。
ゲームのタイトルは「ワンショット・キル」で、ちょっと古めのVRギアでもプレイ可能な動作の軽さが売りだ。以前、少しだけやったFPSゲーとは別である。
レーザー銃のようなSF要素なし、ドローンなし、リモコンミサイルなんかもなし、地雷もなしと、かなりシンプルめなFPSとなっている。
欠点としてはチート対策が遅めで、有名なものだとアサルトライフルの先から手榴弾を乱射してきたり、ナイフで次元斬をしてきたり狙撃してきたりと、運が悪いと荒れたマッチングになるとかならないとか。
で、そんなゲームを割と長くやっている健治であるが。
「健治ではない! 軍曹と呼べ!」
「軍、曹……?」
ゲームに没入――言い換えると、役になりきっておられる。
鬼軍曹という言葉が一般用語になっているように、新平教練といえば軍曹。
軍曹といえば厳しい教練というのがお約束のイメージだ。
二等兵の自分としては、経験者である健治に従うのは、まったくもって吝かではないのだが。
「あのさ、サージェント健治。お前の階級、大佐って書いてあるけど」
頭の上に表示された階級には、星がたくさん付いている。
どう見ても軍曹の階級にしては豪華すぎるマークに、ついつい小隊リストを開いてステータスを確認してしまった。
……おもいっきり『大佐』って書いてあったわ。どこが軍曹だ。
「ゲームあるあるだねえ。大佐で一歩兵ってなんだよぉ!」
俺たちの会話を聞いて、秀平もそうツッコミを入れる。
ちなみにこのゲームの会話、小隊員以外の周囲に聞こえることはない。
だから先程から全員、本名呼びだ。
健治もそれでいいと言っていたので、その通りにしている。
「このゲームの最高階級、上限だな。他ゲーだが、大将で歩兵っていうのもあるぞ!」
「どういうことだよ……」
「すぐに滅ぶよね、そんな軍隊を抱えた国……」
最前線に出てくる大将とは……?
士気だけは上がりそうだが。
もし戦死したら指揮系統が大混乱するな。
「でさあ、健治大佐。このゲーム、中々マッチングしないんだが?」
気合注入に背中まで叩かれたので、すぐに戦いが始まるかと思いきや。
『間もなくマッチング』の表示になってから、割と時間が経っている。
健治もこの表示を見て声をかけたんだと思うのだが。
「平日昼間だからな……夜はもうちょっとサクサクだぞ?」
「わっちと俺が、健治の階級と離れすぎているのも悪いんじゃないの? こういうのって、チームの平均ランクでマッチングとかでしょ?」
ありそうな話だ。
健治も普段は夜間プレイ、ソロ参戦なようで勝手が違うらしい。
まあ、ちょっとマッチングが長いくらいで責めたりする人間はこの中にはいない。
半分は雑談するために集まっているようなところもあるしな。
……と、そんなこんなでぐだぐだと雑談を続けていると、ようやくマッチング。
「よーし、各員配置につけ!」
健治の号令で狙撃手の秀平は建物の上に。
重装備・支援兵科の俺は健治に帯同して、一緒に移動していく。
軽機関銃、重てえ。
軽と名前に付いているが元となっているガトリング砲に比べて軽なだけである。
ついでに他の装備も重い。歩くとガシャガシャと音が鳴る。
軽装歩兵な健治や秀平に比べると、全身装甲服みたいな感じだ。
俺はなにもセオリーがわからないので、健治の指示頼りに動くしかない。
――そして試合が始まった。
3対3マッチング、チームで合計15キルを取ったほうが勝ちの殲滅戦というルールだ。
「わはははは! このシュウ・ヘイヘの狙撃から逃げられるもんか!」
色々なゲームをやっているからだろうか?
早々に索敵を成功させ、敵を発見した秀平が先制攻撃。
威力はやや低いが、連射できる狙撃銃が火を放つ。
一発、二発、三発……ヒット音はせず、全て壁か地面に着弾した音が聞こえてくる。
「おおぃ、シュウ・ヘイヘ! 一発も当たっていないんだけど!? キルスコア0!」
位置がバレるので視線は送らないが、めっちゃ首を傾げている様子が見ないでもわかる。
「あれぇ?」とか言っているだろ、絶対。
ゲームごとに当て勘は違うので仕方ない……のかもしれない。
そして敵が狙撃距離から交戦距離へと接近。
ひとまず健治の指示でハイド――体を出さないよう建物の陰に入る。
相手はショットガン、アサルトライフル、そして俺と同じ分隊支援火器を持った者が一名。
敵の短機関銃が大量の弾を吐き出し、遮蔽に使っている壁の近くにあった木箱を粉砕した。
「あいつのことは気にするな、亘! 撃て! 撃てーっ!」
「お、おう」
背を押され、遮蔽から半身を出して撃ちはじめる。
支援兵科は体力が多めに設定されている。
ただしFPSらしくヘッドショットを受けると即アウトなので、適度に頭を振ったり、左右に移動しながら腰だめに構えた軽機関銃を撃ちまくる。
うおおおお、すごい振動と反動と音だ。
相変わらず重いし。腕が痺れそう。そしてまったく敵に弾が当たらない。
それでも牽制程度にはなっていると信じて撃ちまくる。
なお、後方から飛んでいる秀平の弾も全然命中していない。
「突撃ぃぃぃやぁ!」
俺のライフが尽きそうになる直前、敵小隊の横まで接近した健治が一気に切り崩す。
ヘッドショット、ヘッドショット、ナイフキル……。
あっという間に敵を全滅させ、健治が銃を天に向けて掲げた。
た、大佐殿!




