表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
改訂版 妹と歩く、異世界探訪記  作者: 東郷 珠(サークル珠道)
第六章 それぞれの決着

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

154/506

第百五十三話 反フィアーナ同盟

「フィアーナの言葉に従うのか?」

「従ったふりだけすれば良い」

「協議会の様子を見ただろう。神が考えるのは、所詮は自己の保身だけだ。世界の事など、誰も真剣に考えてはいない」

「そんな状況を変えようとしたのは、我らが同胞グレイラスだったというのに」

「グレイラスの意思は、我等が継ぐのだ」

「我等も数を増やした。フィアーナとて、我等の意見を無視は出来まい」

「いいや。先の協議会でも変わらぬ。フィアーナは独断で戦争の介入を決定した」

「このままフィアーナの独裁を許してはおけん」

「だが、どうする。どの様にフィアーナと対抗する? 我等は旗印を失ったのだぞ」

「それならば、ロメリアを担ぎ出せば良い。奴ならば、丁度いい神輿になってくれる」


 フィアーナの命が下り神々の協議会が終わった後に、数十柱の神は天空の地から離れた場所に集まっていた。

 当初は、グレイラスに唆された十数柱のみだった。彼等は、原初の神々の在り方や三法に不満を持った、新興の神と呼ばれる若い世代の神である。

 そんな彼等は次第に数を増やし、今や一大勢力と呼んでも差し支えない程に拡大していった。


 しかし彼等の意見は、協議会にて聞き入られる事は無かった。それは、フィアーナが神々の世界において、未だ権威を持っている証でもあろう。

 ただ、これから台頭しようと考える若い神にとって、その存在は目の上のたん瘤でもあろう。

 

「ロメリアを担ぎ出すといっても、どうするのだ? 既にロメリアの神格は剥奪の対象となっている」

「そうだ。庇えば、我等にもその矛先が向く」

「それは、我に考えが有る」

「なんだ? 言ってみろ」


 考えが有ると語る神に、注目が集まる。そして、その神は胸を張りながら、得意げに口を開く。


「我はグレイラスから聞いた事が有る」

「何をだ? 同胞は何を語ったのだ?」

「ロメリアがドラグスメリアも同時侵攻しているとな」

「何!」

「ドラグスメリアだと!」

「それは本当なのか?」

「しかし、どの様な方法でだ?」

「あの土地には、エンシェントドラゴンがいるのだぞ! 神に最も近く、神獣とまで呼ばれた守護者だ」

「我々とて、そう簡単に手が出せぬ」

「我々だけではない。原初の者達とて同じではないか」

「仮に、エンシェントドラゴンをどうにかした所で、ミュールが黙っておるまい」

「待て、話しは最後まで聞け! 良いか? 神の戦争介入はおかしいと思わんのか?」

「それは……」

「戦争を止めるだけなら、エンシェントドラゴンにやらせれば良い」

「確かに、そうだ」

「それとだ。最近の協議会にはミュールが参加していない」

「それも、おかしいな。ドラグスメリアから離れられない理由でも出来たか?」


 若い神々は一気に騒ぎ出す。それもそのはず。混沌勢がここまで自由に動き回れたのも、悪感情を集める事が出来たのも、欲望のままに生きる人間の大陸だからであろう。

 

 アンドロケイン大陸で、グレイラスは亜人を洗脳し戦争を嗾けた。しかし、それが通用したのは一部の亜人だけである。神の権能を持ってしても、アンドロケイン大陸中に戦争を広げる事は出来なかった。


 ましてや、己の誇りをかけて戦いあっている魔獣には、グレイラスの権能は及びもしないだろう。


 それに、四体存在するエンシェントドラゴンは、神の使いで世界の守護を任されている。それ程の存在だ。如何に若い神々が、フィアーナを筆頭とした原初の神々に不満を持とうとも、彼の神獣と真正面から事を構える気にはならない。

 しかも、そのエンシェントドラゴンは、ドラグスメリアを根城としている。

 

 だから、誰もロメリアが『ドラグスメリアを侵攻している』とは考えなかった。


「問題は、ラフィスフィア大陸だけに留まらないのだ」

「と、言うと?」

「既に一部とは言え同胞は、アンドロケイン大陸に戦争の火種を撒いた」

「あぁ、そうだな」

「ラフィスフィア大陸が存亡の危機に有る状況で、守護獣が動かない」

「それがロメリアの仕業だと言うのか?」

「そうだ。ロメリアは分霊体を用いて、エンシェントドラゴンを手中に収めようとしている」

「なんと!」

「思わなかったか? 如何に大地母神の子であったとして、同胞やアルキエル、それにメイロードまで。三柱も打倒したのだぞ!」

「しかも、異界の地ではロメリアを追い詰めたと聞いた。それも、おかしな話だ。有り得ん!」

「そうだ。仮にロメリアが己の神格を分けて、力が弱まっていたとしたら?」

「混血程度なら、ロメリアをやれるかもしれん。という事か?」

「そうだ。ロメリアの力は半減している。それが異界の地で、無様を晒した理由だ。本来であれば、混血如きに遅れは取らんだろう」

「確かに……な」


 ペスカと冬也がグレイラスに勝利出来たのは、シグルドによって弱らされていたからである。そして、冬也がアルキエルに勝利出来たのは、彼が地上に影響が出ない様に極限まで神気を抑えていたから。


 加えてメイロードである。彼女は、神気のほとんどをロメリアの復活に使っていた。実際の所、ペスカと冬也は真の意味で神とは対等に戦えてない。


 それ故なのだろう、ペスカと冬也を侮っているのは。


 ペスカは英雄の力を経て覚醒し、頂きに辿り着こうとしている。冬也の力は、浄化の力を得て神に届こうとしてるのを彼等は知らない。


「だから、我々はロメリアに助力する。それも秘密裏にな」

「秘密裏にといっても、どの様にする?」

「先ずは、アンドロケインに撒かれた火種を大きくする。これで、ラアルフィーネが動き辛くなる」

「それは良い考えだ」

「そして、ドラグスメリアで行われている、ロメリアの作戦に参加する。これで、ミュールの動きも更に抑制出来よう」

「おぉ、直ぐにやるべきだ!」

「しかし、本命のロメリアが神々によって討伐されるのは時間の問題だ」

「そうだ、そちらはどう対応するのだ?」

「ロメリアは原初の神々によって討伐されるのは、決定事項だ。それには我々も参加しなければならない」

「否! それでは、我々はまた旗印を失う事になる」

「いや。参加せねば、それこそ我々の破綻を意味するぞ!」

「だからだ。その前に、分霊体と本体の神格を交換するのだ」

「保険を掛けるという事か?」

「そうだ。事前に接触してな。実際の討伐戦では、我々はただ事態を見守るだけでいい」 


 辺りに拍手が巻き起こる。それだけ、その作戦が魅力的に見えたのだろう。そして自分達が、原初の神々に取って代わる光景を夢想したのであろう。

 大きな拍手を得て自信を持ったのか、その神は言葉を続ける。


「我は、ここに宣言する! 我等は反フィアーナ同盟! 同胞諸君! 原初の神々を打ち滅ぼすまで、我等は止まらない! 我等は歩み続ける! そして世界に新な秩序を!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ