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337話 犯人候補は……

「……ふむ」


 魔力の残滓を徹底的に調べた結果、ここで転移系の魔法が使われたことが判明した。

 その使用者がリットを連れ去ったのだろう。


 ここまでは理解できる。

 至極当然の流れだ。


 ただ、理解できないこともある。


「リットちゃんが連れ去られた、ってのは確定っぽいっすけど……」

「犯人は、どうやってここまで来たのかな?」


 それが謎だ。


 フラウハイム王国は穏やかで優しい場所。

 外から見たらそんな風に見えるかもしれないが、それは昔のこと。


 帝国との問題が起きて。

 ヘイムダル法国との問題が起きて。

 そして、ベルカの問題は継続中。


 もっと守りを強化しなくてはいけない。

 王国の穏やかな空気を大きく変えてはいけないが、しかし、なにも知らないまま無抵抗な状況を晒すわけにはいかない。


 故に、密かに軍拡を進めた。

 警備も強化した。

 ヒカリやセラフィーにもアドバイスを求めて、俺も自分の知識を総動員して完璧と言える警備網を敷いた。


 それなのに犯人は突破した?

 ほとんど痕跡を残すことなく。

 俺やヒカリに察知されることもなく?


 そのようなことが可能なのだろうか?


「うーん……犯人はあのアルム君の監視網を潜り抜けた、ってことだよね? そんなことが可能なのかな?」

「自分は、そんなことができる自信は欠片もないっす……」

「二人の妙な評価はさておき……ふむ?」


 最近……というか、そこそこ前からか?

 俺の自己評価が妙なことになっていて。

 俺の持つ能力が世間一般とかけ離れていることもある程度は理解した。


 その俺が自信を持って構築した警備網を突破する相手がいた?

 しかも、まったく気づかれることなく、ほとんど痕跡を残さずに?


 そのようなことができる相手なんて……


「……いた」


 いる。

 一人……いるじゃないか。


「アルム君?」

「アニキ?」

「……確定かどうか、それはまだわかりませんが」


 とある人の名前を口にする。


「エリン」


 ブリジット王女とは違う意味で大事な人で。

 そして、絶対に忘れることのない名前。


「エリン・アステニア」

「それって……」

「アニキのお姉さん、っすよね?」

「ああ」


 先のベルカに関する騒動について、ブリジット王女には全てを報告済だ。

 ヒカリ達にも顛末はまとめて報告している。


 ただ、より詳細な部分は話していない。

 その詳細な部分というのは……姉の力についてだ。


「ブリジット王女やヒカリは、俺のことをおかしな執事と言いますが……」

「おかしいよね」

「おかしいっすね」

「……最近、それなりに自覚してきましたので」


 話を元に戻す。


「ただ、俺の姉のエリン・アステニア……姉さんは、俺以上の規格外です」


軽いトラブルで一回、更新を休みます。詳細は活動報告にて。

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