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327話 早朝の潜入任務

「……あふぅ」


 隣のヒカリが小さなあくびをこぼした。

 それから、しょぼしょぼの目を擦る。


「大丈夫か?」

「……ぶっちゃけ、眠いっす」

「任務に支障をきたすようなら……」

「あ、それは大丈夫っす。んー……むん!」


 妙なかけ声。

 すると、ヒカリはいつもの元気なヒカリに戻った。


 彼女は、元世界最強の暗殺者。

 気合でセルフコントロールをするくらい、なんてことはないのだろう。


「これから、ルーレットバンバン卿の屋敷の調査っすね?」

「ルーベンベルグ卿だ」

「なんで早朝っすか? たぶん、メイドや執事は起きている人がいるっすよ」

「ただ、寝ている兵士は多い」


 深夜ならば使用人は寝ているが、逆に見張りの兵士が起きている。

 早朝はそれが逆転する。


 それに、狙われるのは夜。

 朝や昼は安全。

 そんな思い込みの裏を突くという狙いもある。


「俺は情報を探ることに専念する。ヒカリはサポートを頼む」

「らじゃー!」

「いくぞ」


 塀を飛び越えて。

 俺とヒカリは、ルーベンベルグ卿の屋敷に潜入を開始した。




――――――――――




 まだ陽が登り始めたばかりの早朝。

 それでも、いくらかの使用人はすでに起きていて、それぞれの仕事を始めている。


 ただ、逆に見張りの兵士は自分の役目を終えたと判断して、奥に引っ込む。


 無論、全ての兵士が消えたわけではない。

 交代として新しい兵士が現れる。

 ただ、深夜ほどの厳重警戒ではなくて、数は少ない。

 兵士の緊張感も少なく、やはりこの時間を選んだことは正解だったようだ。


「どこから調べるっすか?」

「そうだな……ヒカリは、どこが怪しいと思う?」

「自分っすか?」

「まずは、ヒカリの勘に頼ってもいいと思ってな」

「自分よりアニキの勘の方が冴えていると思うっすけど……えっと、そこの倉庫なんてどうっすか?」

「行ってみよう」


 本館の裏手。

 中庭を抜けた先に、倉庫らしき建物が見えた。


 こんなわかりやすいところに、なにかしら人に見られてはいけないものを隠しているとは思えないが……

 とはいえ、今は手がかりゼロ。

 ヒカリの勘を信じて探ってみるのも悪くはない。


「中に人は……」

「いないっすね」


 俺とヒカリで気配を探り、誰もいないという意見で一致。

 安心して鍵を開けて中に入る。


「……ハズレか?」


 中は広く、しかし、物は少ない。

 それと、最近、人が立ち入った様子はない。

 掃除をされていないのがその証拠だ。


「うー……自分の勘、鈍くなったっすかねぇ……」

「もう少し調べてみよう」


 ヒカリとて、全ての怪しい物事を見抜くことができるわけではない。

 元暗殺者といっても探偵ではないから、不向きもある。


 ただ、特異な育ちから得た勘は一級品だ。

 そのヒカリが怪しいと思うのなら、まずはそれを信じてみたいと思う。


「うん?」


 足音を殺して倉庫内を歩く。

 そうしているせいか、ギシッ、と床が軋む音がやけに大きく響いた。


「アニキ、今の……」


 ヒカリも気づいたようだ。


 この倉庫はルーベンベルグ卿のもの。

 長らく放置されているように見えるものの、しかし、簡単に壊れるような作りをしていないはず。


 それなのに床が軋むということは……


「……さすがヒカリだな」


 軋んだ部分の床をよく調べると、隠し扉を発見した。

PCトラブルの影響で、次の一回、更新を休みます。

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