表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

306/333

305話 ドッペルゲンガー?

 シロ王女が見たという、ブリジット王女の偽物。

 シロ王女は、あれは絶対にブリジット王女だった、という主張を崩さない。


 普通なら、シロ王女の勘違いで済ませるのだろうが……


 ただ、先日、俺が抱いた違和感もある。


 妙な胸騒ぎを覚えた俺は、まず、城の人達に話を聞くことにした。



「ブリジット王女ですか? はい、見かけましたよ。城内を散歩しておられるみたいでした」


「ブリジット王女? そういや、厨房に来たな。なにか食べるわけでもなく、にこにこと俺等を見守っていて……いつの間にかいなくなっていたな。なんだったんだ、あれ?」


「ブリジット王女なら、城下町にいましたね。いつもの視察と思っていましたが……」



 ……と、話を聞いてみると、あちらこちらで目撃情報が多発した。


 その全てをいきなり否定することはできず、ブリジット王女に確認したのだけど……

 ブリジット王女は、全てを否定。

 その時、その場所で、そのような行動はしていない、とのこと。


 本人の知らないところで。

 本人の記憶のないところで。

 ブリジット王女が目撃される。


 ……違和感が膨らんでいく。


「ふむ」


 城の中庭に移動した。


 先日の夜。

 俺は、ここでブリジット王女らしき姿を見かけたが……

 もしかしたら、あれも……?


「……ヒカリ」

「はいっす!」


 忠犬よろしく、シュタッとヒカリが現れた。


 常に側に控えているみたいだけど……

 まるで、東方のニンジャみたいだな。


「断定はできないが、ブリジット王女の偽物が出没している可能性が高い。もしかしたら、他国の間者かもしれない」

「探し出して、捕まえるっすか?」

「いや……」


 ブリジット王女の偽物がいると仮定しよう。


 今のところ、彼女はなにもしていない。

 シロ王女のプリンを勝手に食べたものの、それくらい。

 他、悪事と思われる悪事はまったく働いていない。


 偽物の目的がわからない。


 他国の間者だとしたら、こうも簡単に正体がバレるような行動は取らないだろう。

 人前に姿を見せたり、シロ王女のプリンを勝手に食べたり。

 間者というには、あまりにも間抜けすぎる。


 国内を引っ掻き回して混乱させることが目的かもしれないが……

 やはり、納得いかない。


 フラウハイムを混乱に陥れようとするのなら、もっとうまいやり方が色々とあるはずだ。

 ただ姿を見せるだけなんて、稚拙にもほどがある。


「まずは、偽物がいるという確信を得たい。そのための情報を集めてくれ」

「はいっす」

「それから、特定した後は、偽物の監視を。しばらく泳がせて、目的を探りたい。ただし、他者に害を及ぼそうとした場合は、速やかに制圧。あるいは、連絡を」

「はいっす」


 ヒカリに任せれば問題ないだろう。

 元最強の暗殺者だ。

 こういう仕事は向いているはず。


「ところでアニキ」

「うん?」

「ブリジット王女の偽物がいるとして、何者なんすかね? 聞いただけっすけど、めっちゃ似てるみたいじゃないっすか」

「普通に考えるのなら、他国の間者なのだろうが……」

「行動がでたらめっすね」

「ああ。だから、目的が知りたい」

「んー……特に目的がないとしたら、どうするっすか?」

「なんだって?」


 その可能性はまったく考えていなかった。


 ヒカリの言葉に、ついついキョトンとしてしまう。


「それはどういう意味だ?」

「敵意も悪意もなくて。かといって善意もなくて。なんかこう、ただ、その場に現れて周囲をひっかきまわしている、というか」

「それは……ただの愉快犯ということか?」

「はいっす」

「そんなこと……目的は?」

「だから、愉快犯だから目的なんてないっすよ。ただ、その場のノリというか、楽しければオッケー、みたいな。そんなもんじゃないっすか?」

「……それもそうか」


 愉快犯というものに、どうにも共感できないため、考えることがわからない。


 楽しいから。

 ノリで。


 そんな理由でふざけたことをする連中は、なにを考えているのだろうか?

 ……なにも考えていないのか。


「あるいは」


 ヒカリは、わりと真面目な表情で言う。


「愉快犯でもないとしたら、オカルトの類かもしれないっす」

「オカルト?」

「ドッペルゲンガー……とか」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
◇◆◇ 新作はじめました ◇◆◇
『追放された回復役、なぜか最前線で拳を振るいます』

――口の悪さで追放されたヒーラー。
でも実は、拳ひとつで魔物を吹き飛ばす最強だった!?

ざまぁ・スカッと・無双好きの方にオススメです!

https://book1.adouzi.eu.org/n8290ko/
― 新着の感想 ―
ブリジット王女の疲れた〜とかの思い(魔法)が生み出した第2人格の影みたいなものだったりして……怖いな〜怖いな〜カタ:(ˊ◦ω◦ˋ):カタ
ドッペルだと?二人が出くわしたらヤバいよヤバいよ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ