第69話 尾張の悪役令嬢様との思い出(52)
「吉姉さま、痛い! 痛い! 痛いよ! 辞めて!」と。
「──恒興や犬千代も辞めろよ! 辞めろー! たかが吉姉さまの家臣や小姓の分際で三河の当主の僕に対してお前等はいい加減にしろよ! 調子に乗るなー!」
幼い俺はいつも絶叫を上げながら、恒興や犬千代の奴へと荒々しく不満を告げつつ辞めろ! と吠えに! 吠えまくっていたよ。
しかしだ! 恒興と犬千代の奴はいつもこんな感じで言い返してきた!
「はぁ~、煩い、生意気だぞ! 竹千代! 年下の分際で! クソ生意気な! ぶっ殺してやる!」
「──何が三河の当主だー! 竹千代ー! もう三河は今川の領地でー! 没落しているじゃないかー! そしてお前自身は織田家の人質で、俺達、 姫さまの親衛隊以下の下僕、おもちゃの立場じゃないかー! なのに、何を調子に乗っているクソガキ! 竹千代の分際で! 生意気なー!」と。
まあ、あれだよ……。
《《あの頃》》の俺は、織田家の人質の身分だから、俺がいくら奴等に荒々しく不満を告げ、諫め、辞めるようにと告げても、《《尾張の悪役令嬢さま》》の取り巻き達……。
そう池田恒興や前田利家達に俺は長竹槍で叩かれ、足で蹴られ、足踏みされるだけの日々だった。
だから俺はいつも自分の奥歯を噛みしめつつ、今に見ていろ! 俺は竹千代! 将来は徳川家康になり、漁夫の利を得て《《天下布武》》を俺が達成! 俺は《《源家康》》になり! 《《征夷大将軍》》になる男なのだから覚悟していろ!
貴様等! 特に恒興! お前の首はまた俺がとってやるからな!




