第50話 尾張の悪役令嬢様との思い出(33)
「うん、大丈夫……。竹千代君ありがとうね……」
成政はいつも、水かけ起こし役の俺のことを恨むような、冷たい目を返してくる訳でもなく満身の笑み……。
そう天子の笑みを浮かべながらいつも俺にお礼をくれるのだけれど。
尾張の悪役令さまは俺と成政が仲慎ましい様子をすれば、アイツはいつも嫉妬心を募らせ、不快な顔をしながら見詰め。
いつも成政の奴が起きて少しばかり間が開き、あいつの気が落ち着き安らぎ安定をすれば。
「……次は竹千代と成政のタイマン勝負初め~!」となる。
だから僕と成政の二人は「えっ!」と驚嘆をするけれど。
吉姉さまは、《《第六天の魔王》》──《《織田信長公》》だから、アイツはいつも、そんなことなど気にはしない。
「……二人共一敗しているのだから本気で戦わないと、夜は食事抜き。そしてアーシの身体洗いジャブジャブの刑と逆さ張りつけの刑。そして鞭打ちの刑だからね、わかった! 二人共?」
尾張の悪役令嬢さまは、この通りの超がつくほどの《《サディスト姫さま》》だから。《《あの頃》》、俺と成政が仲良く驚嘆しようが奴はいつも怪訝な表情で恐ろしい下知を告げる。
でッ、最後には俺へと『浮気心を募らせるからだ』とでも言わんばかりな顔をしながらニヤリと薄気味悪く妖艶に笑ってきた。




