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第44話 尾張の悪役令嬢様との思い出(27)
そして前田利家は変顔のまま地面を枕にヒクヒクと身体を痙攣させつつ横たわり、いつも堕ちているから。
「ああ、犬が寝ちゃった……」
吉姉さまは自分の飼い犬を見て残念、無念の声を嘆くように漏らすと、地面を枕に横たわる犬千代の背を椅子代わりにして座る。
そう、まさに! 《《日の本の覇王》》らしい! 《《傍若無人》》振りを俺達に見せながら。
さて、次は誰と誰を争わせようか? と。
アイツはいつもニヤリと妖艶に微笑みながら嬉しい、美味しそうに、俺達を見詰めていた気がする。
◇◇◇
「──よし! 次は内蔵助、お前がいけ~!」
相変わらず地面に転がる、前田利家の背を椅子にしながら《《尾張の悪役令嬢さま》》は次は誰と誰を争わせるかを物見……。物色……。
もうそれこそ? ニヤニヤといつも嬉しそうに見詰めていたよ。
あの頃の俺達はできるだけ、仲間内で一応は争いたくはない。
だからできるだけ、幼い俺達は『ニヤニヤ』と嬉しそうに、俺達を物色する吉姉さまと目を合わせないようにしつつ、自分たちの視線をあちらこちらに飛ばしていても、織田信長は尾張の悪役令嬢さまだから。




