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第27話 尾張の悪役令嬢様との思い出(10)
それにさ、《《あの場》》にいた織田信長の丁稚衆の中で俺が一番幼かったのだから。
【鬼武蔵】の奴が俺のことを異性の対象とすることの方が可笑しいとは思わないかい? と俺が嘆き、愚痴、不満を漏らしても仕方がない。
だって先ほども俺が説明をした通りで、一度切れ怒りだした【鬼武蔵】の理性は、そう簡単には戻らない。
「あっ、ははは~。竹千代~、死ね! 死ね!」と。
「竹千代は岡崎だからよぇ~、よぇ~。そして本当に情けねぇ~」
【鬼武蔵】はいつも俺のことを侮るだけではなく、俺の領地や今川家の重税で苦しんでいる岡崎衆の家臣達……。
そして町民や村民達まで侮り、愚弄するから。
殿である俺は悔しくて、悔しく仕方がなかった……。
だから《《あの頃》》の俺はいつも涙を流しつつ奥歯を噛み締めながら。
【鬼武蔵】待っていろよ! 俺が元服したら貴様の首を必ず獲ってやるから楽しみにしていろよ。
あっ、はははははははははははは! と強がりしていた記憶があるが。




