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82.
(沖田様たちは拷問してそういうの吐かせたんだよね、やっぱ・・)
閉じきられた蔵の中から漏れてきた春井達の呻き声も、蔵から出てきたとき沖田から感じた微かな血の臭いも、鮮明に覚えている。
『あの、・・二人は、生きてますよね・・?』
冬乃のその問いに見返してきた沖田の眼が、そのとき微笑ったようにみえた。
『生きてますよ。先程、六角獄へ引き渡してきました』
そして、
『礼を言います。貴女のおかげで、二人の尻尾を掴んだ』
正確には、貴女の武術のおかげでね
そう言い足した沖田は、返事に詰まった冬乃を問いただすことはせず帰っていった。
但し、「明日詳しく話してもらう」と残して。




