表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
68/372

67.


 (そういえば、)

 初めてここで夕餉を食べたときと比べて、また人数が格段に増えている。冬乃が向こうに戻っていた間に新たに入隊した人達がいるのだろう。


 こんなにたくさん人が居ては、前川邸の隊士部屋は足の踏み場もないのではないか。


 (使用人女部屋、夜は空いてるんじゃなんかもったいない・・)

 とはいえ、お孝が朝に来て使うので冬乃がどうこう言えることでもないのだが。



 (それにしても、沖田様はどこで寝てるんだろう?)


 十日前にここに来た時から変わっていないかぎり、沖田達はまだ八木家を使っていることは確かだ。

 伝承では離れを使っていたようだが、小さい建物だったとも聞いている。それでも少しは居心地のいい部屋を確保できているのだろうか。



 どちらにしても、屯所をここの前川邸および八木家から、広大な西本願寺の一角へ移すのは、ずっと先の話なので、暫く大変な混雑状態が続きそうである。



 だが、西本願寺移転───

 それまでには池田屋事変と、禁門の変、


 (・・・そして、その時までに、今はここに居る人の何人かは亡くなってしまう)


 今、ここでにこやかに話をしている山南も、また。




 (もぉ、考えるのやめなってば・・!)


 ガンッ

 とおもわず勢いづけて膳へ叩き置いた椀が、音を立てた。


 どうしたのかとこちらを見る沖田達に、すみませんと謝りの表情を向けて、冬乃は胸の痛みに震えそうになる手を握り締めた。



 あるのは。


 (この時代に来て、)


 良かった事だけじゃ、無い。



 (これからたくさんの、人の命と向き合わなくちゃならない)

 耐えていけるように、がんばらなくては、



 そしていつかは────沖田の命とさえ。

 向き合う時が来る。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ