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49.


 「生死に・・?」

 

 土方が訝しげに呟き。

 

 「誰だ。俺たち三人のうちの誰かだというのか」

 

 「違います!」

 

 咄嗟に答えた冬乃の前、

 

 「よっしゃあ!」

 

 (え?)

 

 突然、原田の素っ頓狂な声が響いて、冬乃は驚いて顔をあげた。

 

 「あと暫くは、とりあえず俺ら生きてるわけだ!今日と明日は何も無えってえと、まあ明日までは確実に生きてるんだろ?!」

 

 唖然としている冬乃に原田は嬉々として。

 

 「じゃあ今日は巡察でどれだけ暴れても俺、生きてるってわけだな!そうだろ!な?な?」

 

 (そ、そうですが。)

 

 うろたえて言葉なく頷いた冬乃の前。

 

 「おっし、いっちょ俺様の勇気ある行動を、皆の野郎にいつも以上に見せ付けてやろうじゃねえか!どうせいくら暴れても死なねえんじゃな!」

 

 とガッツポーズを決めた。

 

 「おい原田。」

 

 土方が呆れたように声をあげ。

 

 「おめえ、この女が未来から来たって本気で信じてるんじゃねえだろうな?」

 

 「まあねえ!」

 

 と、おもいっきり胸を張って答えた原田に、

 

 「ああそうかい」

 

 土方がお手上げとばかりに手をふり。

 

 「とにかく言えないってんじゃ、こんな役に立たねえ未来予報者は、ようするに信じてやる価値無しってこった。」

 

 (む)

 冬乃は思わず眉間に皺を寄せた。

 

 聞かれたことを答えていないので確かに文句を言われても仕方ないが。

 だけど、

 

 (無理なものは。無理)

 

 冬乃はそれでも。人の命の行く末など口にできそうになくて。

 

 「とりあえず総司、八木さんとこにもう一度頼みにいけ」

 


 (・・・え?)

 

 てっきり役に立たないからやっぱり追い出そうとでも言うかと思ったのだが。

 意外にも土方が率先して八木家との交渉を沖田に促したことに、

 冬乃は驚きを隠せないまま、そんな土方のくるりと向けられた背を見つめた。

 

 蔵の外へと出てゆく土方に、

 

 「そんじゃ、な。また夕餉の席で会おうぜ、嬢ちゃん」

 

 原田も続き。

 

 そういえばいつから冬乃の名は嬢ちゃんになったのか。

 

 (ま、いいけど・・)

 

 「総司」

 

 不意に土方が蔵の入り口で振り返った。

 

 「ちょっと来い」

 

 「・・・」

 

 沖田がこちらを見やった。

 

 まるで、ここで待っているようにと暗に示すような眼を冬乃に向けて、沖田は土方の待つ蔵の外へと出て行った。

 

 (何だろう・・・?)

 

 首をかしげながらも。この世界への滞在を許された冬乃は、楽観的に、沖田の出てゆく背を見つめていた。





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