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36.




 ざわついた音、遠くで姦しい人の声が、冬乃を眠りから引き戻した。

 

 「ん・・」

 体が重く、ひどくだるい。

 

 布団にすっぽりくるまったまま冬乃は覚醒していく頭の隅で、ここが何処だったかをじわじわと思い出す。

 

 (そうだ、ここは壬生・・・)

 もう皆、起きてるかな・・?

 

 起き上がろうと布団をよけた時、おでこに不意に手が置かれた。

 

 (為三郎?)

 

 にしては、大きい手・・・

 


 「大丈夫?」

 

 手が離されるとともに冬乃の視界が広がってゆく。

 

 目に飛び込んできたのは、白衣に聴診器をつけた、まだ若い男だった。

 

 (・・・・?)

 一瞬、目に映った姿の意味がわからず、冬乃は言葉が出なかった。

 

 「どこか苦しいところ、痛むところは?」

 

 「・・・」

 

 ぼんやりと首をふりながら、冬乃は周りを見渡す。

 

 部屋の片隅の椅子には冬乃の剣道具や着てきた私服、バッグなどの荷物が置かれてあり。

 

 (?)

 

 ふと、かちゃりと音がして、向こう側の扉が開かれた。

 


 「冬乃・・!?」

 



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