28.
「明日は、」
小さく冬乃は呟いた。
「明日は、何月何日、なのですか」
「そんなことも知らんのか」
芹沢の呆れた声が返る。
「未来から突然飛ばされてきたんですもの。知るわけないです」
冬乃は皆を見回し。
そして最後に沖田をまっすぐに、見つめた。
「教えてください。明日は、いつですか」
どうしようもなく、心に留まっていたものがある。
ずっと、
なぜ逢ったこともない昔の人にこれほどまでに惹かれ続けるのか、わからずに。
わからないまま漠然と、感じていたもの。
(・・・信じさせて)
こんなにも彼に惹かれ続けた、その訳が、その答えが。
ここにあると、
この奇跡にあると。これが成るべくして成ったものだと、
信じさせてほしい。
そう、ここで起こる全てに、意味があるならば。
それは冬乃を裏切らないはず。
明日は、きっと。
何かの日で・・・
「明日は、」
沖田が冬乃を見据えた。
「八月の、十八日です」
冬乃の手から湯呑が、滑り落ちるとこだった。
「・・・答えろよ。明日、何がある」
土方の促す声が、冬乃の耳に遠く届き。
・・・冬乃は茫然と目の前の沖田を見返した。
言葉を紡ごうとして、
口を噤み。
八、一八政変
(・・・よりによって)
いくらなんでも、そんな歴史的な事件を。
(ど、・・どう伝えればいいと、いうの??)




