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歴史に残る悪女になるぞ  作者: 大木戸 いずみ


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705/710

705

 私は目を大きく見開いてデューク様を見つめた。

 ……びっくりしたわ。

「いいか?」

「は、はい」

 私は戸惑いながらも首を縦に振る。

 デューク様は建物の扉を閉める。最後に外をチラッと見ると、ミアはもう既に患者たちにストレッチをさせていた。

 なんか慣れてるわね、ミア。

「なんでしょう?」

 私はデューク様へと視線を移す。

 すると、突然デューク様は私の体を引き寄せた。

 ……え、何が起きたの。

 ‥………私、今、デューク様の腕の中にいる?

デューク様の鼓動が聞こえる。

気付けば、私はデューク様に力強く抱きしめられていた。

「……次、アリシアと会えるのがパーティー当日になるかもしれない。アリシアを満たしておく」

 …………なにこの甘い展開は。

 私はどうすればいいか分からず、固まってしまう。

 顔だけでなく、体中が熱い。緊張で心臓が爆発してしまいそうだが、デューク様の温もりに包まれながら私は幸せを感じていた。

 なんだか心が溶けてしまいそうだわ。

「アリシア様~!」

 ミアの声が外から聞こえてきて、私は勢いでデューク様から体を離した。

 もう行かないと!

 私は赤くなっている頬を手でおさえながら、デューク様を見る。

 デューク様は満足気に笑みを浮かべていた。

「俺に負けるなよ」

 デューク様の言葉が心に響く。

 パーティーまでにデューク様は平民の心を掴み、私は貴族の心を掴む。それに対してのセリフだろう。

 デューク様はそれだけ言うと、扉を開けて先に建物から出て行った。

 私は必死に熱を帯びた顔を冷まそうと努力する。

 いつもデューク様の方が余裕をもっている。それがなんか悔しいわ。

「デューク様、アリシア様は?」

「掃除の最終チェックをしている」

 ミアの言葉にデューク様はそう返しているのが聞こえた。

 私のために嘘をついてくれたのだろう。

 ……とりあえず心を落ち着けるのよ、私。

 深呼吸をゆっくりと行い、気を引き締めて、建物の外へと足を進めた。

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― 新着の感想 ―
すみません、些細なことなんですが、デューク様が「充電」とおっしゃっているのは、この世界に電気の概念があって、日常に家電製品が溶け込んでいるからなのでしょうか?
2025/10/19 17:05 (略)ポポストア
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