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記者より
以上が現在までに判明しているキャロライン・ルルイエの消息をめぐる記録である。
いずれも信憑性に欠け、良識ある読者ならば一笑に付すような事柄ばかりかもしれない。
特にキャロライン・ルルイエからのボトルメールについては、テレビで特集が組まれ、ネットで話題になる度に、事態と無関係な人々によって無数の偽物が海に投棄されてきたのは紛れもない事実である。
しかし本書最後のボトルメールの発見と時を同じくして、キャロライン・ルルイエが向かっているとされる日本において、兵庫県の海岸に大量のイワシの死骸が漂着し、神奈川の海では本来の生息域と異なる猛毒のヒョウモンダコが確認されるなどの異変が相次いでいるのもまた事実である。
そして今、筆者が眺める東京湾では、新年を祝う『2022』のネオン看板が海面に反射して輝いている。
written by Nyarlathotep
日本語訳 ヤミヲミルメ




