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キャロライン・ルルイエの消息  作者: ヤミヲミルメ
失われたフィルム
59/72

シャーマーメイズの中の一人へのインタビュー

※降霊会の会場にて。


「誰だい、アンタは!? アタシは死んだはずだよ!?

 なのに何でこんなところにいきなり呼び出されなくっちゃならないんだい!?」


Q――いつ死んだのか。


「シャーマーメイズの任務中だよ。

 一九三〇年の一〇月の……何日だったかは忘れちまったよ」


Q――どこで死んだのか。


「アメリカの、マサチューセッツ州の端っこ。荒野を通る線路の近くだ。


Q――どのような任務だったのか。


「ルイーザ・ルルイエがフェブラリー・タウンから出てくるのを待っていたんだよ」


Q――フェブラリー・タウンがどのような場所かをあなたは知っているのか。


「こっちも歴史のある組織なんでね。クトゥルフ様に敵対する奴らのことぐらい一通り調べてあるさ」



Q――ルイーザ・ルルイエとは何者か。


「クトゥルフ様の触手の先端。

 クトゥルフ様の魂のカケラにして、クトゥルフ様の肉体の眠るルルイエの封印を解く鍵さ」


Q――ルイーザ・ルルイエはパトリシア・ルルイエではないのか。


「肉体はパトリシア。魂は違うよ」


Q――ならば何故、パトリシアとして振る舞うのか。


「パトリシアの脳細胞に残った記憶のせいで、クトゥルフ様はご自分をパトリシアだと勘違いなさっておられるんだ」


Q――パトリシアの魂はどうなったのか。


「さてね。考えたこともなかったね。

 ルルイエの辺りを今もさまよってるんじゃないのかい?」


Q――パトリシアの魂が、クトゥルフの魂と入れ替わりにクトゥルフの中に入っている可能性は。


「ないね。大いなる種族とか名乗ってる虹色のグニャグニャじゃあるまいし、魂の入れ替えかたなんて、人間どもにはわかりゃしないさ」



Q――あなたは、自分が死んだときのことを覚えているか。


「途中までならね。

 ……あのときすでにシャーマーメイズのメンバーは四人しか残っていなかった。

 六人はルルイエの絵を完成させるために自ら生け贄になったわけだが、イギリスで一人、インスマウスでさらに一人失うとは、誰も予想していなかったよ。

 ん? 絵を描いた時期? ああ。アタシらの寿命は人間どもとは違うんだよ。


 アタシらは二人一組になって交代でフェブラリー・タウンの出口を見張った。

 交代のときにちょっと話したところによると、セプテナは他人の夢に入り込む力で前にイギリスでやったみたいにアデリンの夢に時空越しに入り込めないか手を尽くしてたが、似た力を使うヤツの妨害があったそうだよ。


 アタシとディセナの当番だったときにそれは起こった。

 時空の狭間なんてモノには近いも遠いもないんだが、まさにどこともつかぬところから、いろんなモンが壊れる音が轟いてきた。

 いろんなモンだよ。

 建物や大地や空間そのものが壊れる音さ。


 アタシは、驚きはしたけどビビりはしなかった。

 別の時空で起きてることだからアタシには危険はないって思ってたんだ。

 なのに気がついたらアタシは瓦礫に押しつぶされて、何が起きたかわからないまま死んじまった。

 一緒にいたディセナはどうなったのかねえ……



Q――あなたは、ハリウッドへは行っていないのか。


「何の話だい?」


Q――ルイーザ・ルルイエがクトゥルフであるのなら、ルイーザ・ルルイエは何故、モスマンについての記憶を有しているのか。


「だから何の話だいッ!? そもそもアンタは誰なんだッ!? すでに死んでるアタシにどうやって……どこへ行ったッ!? オーイッ!!」


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