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キャロライン・ルルイエの消息  作者: ヤミヲミルメ
美術集団シャーマーメイズの足跡
32/72

メモ、他

鑑定士のメモ


『失われし神殿都市』


 風景画。

 灰色と茶色の二色のみで構成。


 署名は『嘆く巫女の肖像』のものと一致。

 筆遣いも、十二枚のうちの一枚と一致。

 独特のキャンパスも一致。素材は相変わらず不明。

 日付けは例の事件の一年後。

 悲劇の女流画家の復活?


 ○○の画廊にて展示中。

 画家との対談は叶わず。

 人を避けている模様。

 事件の影響、痛ましく。


 この一枚ののち、美術集団シャーマーメイズの活動の形跡なし。





ウィルフレッド・ウィルソン氏のメモ


  一八七二年に、我が友人、トーマス・ピークスが購入した絵画について。

 老舗の画廊であるXXを訪問し、その年に出品された絵画のカタログを確認。



タイトル

『失われし神殿都市』


 灰色と赤茶色の二色のみで描かれた風景画。


 幼いパトリシア・ピークス(パトリシア・ルルイエ)はこの絵に夢中になり、クレヨンでの模写をくり返した。

(当時の使用人の証言に基づく)


 パトリシアの母親のイザベラはこの絵を気味悪がり、パトリシアのスケッチブックを破り捨てた。

 風に飛ばされたスケッチブックの切れ端をサン・ジェルマン・ルルイエ伯爵が拾ったことにより、パトリシアとルルイエ伯爵が出逢った。


※この神殿都市がルルイエ伯爵の先祖の故郷?





当時の画廊のオーナーに取材。


・トーマスは得意客。


・あの絵はトーマスのもともとの好みではない。


・トーマスが絵を購入したのは、画家の境遇に同情したから。


・画家は一年前に大きく報じられた大量殺人事件の生き残り。





風景画『失われし神殿都市』についての奇妙な都市伝説


・グラスゴーの海岸に流れ着いた怪物の皮をキャンバスに使っている。


・一年前の大量殺人事件の被害者の血と、その引き金となった連続不審火事件の犠牲者の灰を混ぜた絵の具で描かれている。


・神殿都市では、我々が知るどんな神話とも異なる神が奉られている。


・画家は神殿都市の巫女の末裔。


※いずれのウワサも真偽は不明。






魔術書(下巻)を巡る手紙の返信


拝啓 ウィルフレッド・ウィルソン様


 あなたがお探しの本は確かに父のコレクションの中に存在しますが、父はこの本を他人の目に触れさせることを頑なに拒んでおり、もし我が家にお越しいただいてもお見せすることは叶わないと思われます。


 ですが先日のお手紙に書かれていた事件は、当時の世間の熱狂もあってわたくしの記憶にも残るところであり、もし父の本があの事件の謎の解明に役に立つなら、そしてもしウィルソン様が危惧されておられるような世界の危機を防ぐ役に立つのであれば、父の意にそぐわない範囲での協力は惜しまない所存でございます。


 さしあたりまして先日のお手紙の内容から、件の絵画に関係のありそうな箇所を、例の魔術書から書き写しましたものをお送りいたします。





・恐れるなかれ、偉大なるクトゥルフは、汝らに富と権力をもたらす。


・汝らの魂を巫女の肖像画に捧げ、その肉体に自ら火を点けよ。

 汝らの灰は、大いなる神殿都市を描くための絵の具に混ぜられる。


・十二人の巫女のうち六人が生け贄となり、その血は大いなる神殿都市を描くための絵の具となる。


・汝らの魂は神殿都市へと導かれ、偉大なるクトゥルフにより、愚昧なる人類の上に立つ権利を与えられる。




※手紙の二枚目以降には儀式についての詳細が、非常に丁寧な文字で一語一句書き写されているが、公表するべきものではないため割愛する。


あなたへ



 ゆうべはひどくうなされていましたね。


 覚えていないのなら何よりです。

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