タイミング
タイミングが良すぎる。
どういうわけだか、タイミングが、悪い感じで、とても良い。
例えば、お風呂に入ろうと思って、服を脱いだ瞬間に宅急便が届いたり。
例えば、狭い道で対面した人と同じ方向によけ続けたり。
例えば、自転車で止まった瞬間に鳥のフンが直撃したり。
例えば、タコ焼きを買うために並んでて、目の前で在庫がなくなったり。
例えば、スーパーの福引で、私の前の人が特等だったり。
今日だって、マンションに入るときにちょうど幼稚園バスが来ていて自転車をとめることができず、待つことになっちゃったし。
しかもたった今!!限定フレーバーのアイスがまさかの…完売だとぅ―?!
息子の書道のお稽古帰り、この前食べ損ねたアイスを食べさせてあげようと国道沿いのアイスクリームショップにやってきたのだがっ!!
「タイミングっ!!たまにはイイ方に空気読めやっ!!!」
私は悔しさをこらえつつ、シーズンフレーバーアイスにスプーンを突き刺し豪快に口に入れ…。
「…くー!!ここのアイスはホントうまいな!!」
「おいしい。」
まあいっか!!息子がニコニコしてアイス食べてるから!!シーズンフレーバーが美味いから!!
怒りはうまさで忘れるべし。
あとは家に帰ってご飯作ってと。
息子と二人で、自転車で家に向かう。
…ずいぶん気温が上がってきた。少し遠くで蝉の声も聞こえる。今年は初蝉が少し遅かったなあ。
「あっ。」
なんだ?
息子が急に自転車をとめた。
「なんかおちてきた…。」
げえ!!息子の頭に鳥のフンが!!
「ああ、鳥フンだ、取ってあげるから、ちょっと待って…。よし取れた。」
こういうのは騒ぎ立てると傷つくからね、落ち着いてあわてず騒がず、ティッシュをカバンから取り出して、頭のフンを取ってあげるのがよろしいのです。
「家帰ったらすぐにお風呂に入ろう。」
「うん。」
家に帰るまでの信号という信号をすべて赤で止まって帰宅し、ごはんの支度をしていると。
ピンポーン
モニターを見ると、息子の友達だ。遊ぶつもりだったのかな。
「はーい、あれ、ごめん今お風呂に入ってて…。」
「じゃあいいや、またきます。」
うーんなんというタイミングの悪い。
…タイミングの悪い?ちょっと待て、なんか息子に私の悪い感じに良すぎるタイミングのくせがうつっているのでは?!
ちょっともやもやしながら、野菜をどんどん刻み込む。今日の夕飯は麻婆茄子にシシャモフライ、ポテトフライにオニオンリング、キャベツと卵のトロトロコーンスープとカプレーゼ…切るもんが多くてね?!
「おふろでたから、ごはんつくる。」
「ありがとう…。」
調理師希望の息子が裸エプロンでキッチンにやってきた。…今はいいけどさ、あんた大きくなっても同じ事すんなよ…?…絶対やってそうだ。まあ、パンツはいてるからセーフ?いやいや危険だ!!
「君、服を着なさいね?」
「わかった。」
素直な返事をするその姿勢に期待するしかない。
揚げ油を温め始めた横で、息子が卵を割り始める。
「あ、ふたごのたまごだった。」
息子が上機嫌だ。なんか今日はよく当たるというか…。気にし過ぎかな。
「あ、またふたごのたまごだった。」
「すごいな、珍しい…。」
こういう日もあるもんだ、そう思いながら私は夕食を作り…。
「ちょ!!全然帰ってこないんだけど?!」
いつも帰ってくる時間はとうに過ぎたのに娘と旦那が全然帰ってこない!
「もういいや、先に食べちゃおう。」
「いただきます。」
娘と旦那がいないとめちゃくちゃ落ち着いて食べることができるな…。
普段出遅れがちな息子も、食べたいものに箸を伸ばして、のびのびとご飯を食べている。
「ただいまー!いいもんもらったー!!!」
「遅くなってごめーん!」
旦那と娘が帰ってきたぞ…。まーたなんか変なもん貰って来たな!!
「ちょ!!何それ!!」
「なんかね、お客さんのとこの会合で余ったお寿司もらってきた!」
でっかいプラスチックの寿司桶?!!ごはんあるのに!!というか、生もの?!これは絶対危ないやつだ!!ただでさえ今日はいろいろと当たりがちで!!!
「うちらはもうご飯食べたから…お寿司はいいや…。ていうか、それ、危険じゃないの…。」
「そお?酢飯だし大丈夫でしょ!!食べちゃお―バクバク!うん、うまいうまい!!」
「あたしお寿司はいいや!うちのごはん食べよ!!」
うん…。タイミング、よかったわ…。寿司は危険すぎる。食べなくて済んでよかった。悪い事ばかりじゃないね、ついてるついてる!
私と息子は、一緒にごちそうさまをして食べ終わった食器を片付けた。
なお。
旦那は期待通りにおなかを壊したという事だけ、ご報告させていただきます。




