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[第一部完結]サラリーマンが異世界でダンジョンの店長になったワケ  作者: エルリア
第四章

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大きなうねりの前に

 ワンメータータクシーならぬワンメーター馬車。


 決して狭いとは言えない街ではあるが、さすがに馬車を使うとあっという間に目的地へ着いてしまった。


 異世界の車窓からなんて言ってる暇すらない。


 今日は、サンサトローズから商店を結ぶ馬車の車窓からの景色をお楽しみください。


 なんて言える日が来るかもしれない。


 その為にまずはこの問題を何とかしないといけないな。


 いや、正確には俺の商店には何のメリットもないわけで、今ここで頑張ってもなんの意味もないわけですが。


 それでも乗り掛かった舟という奴で頑張らないわけにはいかないんです。


 けしてセクシーなお姉ちゃんに同情したとかそういうんじゃないんです。


 美乳ではある。


 オホン。


 そして二日連続の魔術師ギルドである。


 奇抜な建物も理由を知ってしまえばさほど気になることもないな。


 初回のインパクトは結構なものだったが見慣れてしまうと、まぁこんなもんかと。


 この辺りの人も住んでしまえば気にならなくなるんだろうなぁ。


 ぐわしで有名な大先生の近所もそういう気分なんだろうか。


「まさか二日連続でこの建物を拝むとは思っていませんでした。」


「私もです。」


 昨日命を狙われたこの場所にまた来るだろうなとは思ってはいたのだが、それでも早すぎるのではないでしょうか。


 丸一日未満です。


 どうもありがとうございます。


「私はここに入るのは初めてだからな、楽しみだ。」


「今日は是非、中の方を拝見したいと思っています。」


 エミリアと俺とは逆に楽しみで仕方がない様子のお二人。


 シルビア様は初回だからいいとして、ユーリは完全に目的が違うからな。


 観光したい気持ちは俺にもあるからわからないでもないが、今日も用事があるのでそれが優先ですよ。


「それではエミリアお願いします。」


「お任せください。」


 エミリアが重厚な扉の前に立ち取っ手に手を添える。


  「魔術師ギルド所属、エミリアただいま帰還しました。」


  『所属員エミリアの魔力を感知、本人と判断します。』


 自動音声は昨日と同じくエミリアを認識した。


 これって俺がやっても反応するのかな。


 きのう昨日精霊の祝福関係でお世話になったわけだし。


 精霊士イナバの魔力を感知、とか言ってくれないかな。


 でも魔力・能力なしの能無し認定だからなぁ。


 感知されるのは俺じゃなくて精霊の祝福の方だったりして。


 悲しい。


 1人でバカなことを考えているとドアが開き中に入れるようになっていた。


「それでは行きましょうか。」


「いよいよ中に入れるのか。」


 楽しそうですねシルビア様。


 何度見ても壁に向かって突っ込むのは少し違和感があるのだが、目をつむり黒い壁に向かって一歩を踏み出す。


 何の抵抗もなく壁を通り抜けるおと、昨日同様に世界樹の隙間から太陽の光が注ぎ込んでいた。


 今日も綺麗だ。


「あれ、そこにいるのはエミリアじゃない。」


 綺麗なのは貴女じゃなくて世界樹です。


 じゃなくて、二日連続で入り口エンカウントとかリュカさんはここで何かを待ち伏せしているんだろうか。


「リュカさん昨日ぶりです。」


「二日連続でここに来るという事は、まさかこのたぶらかし男に何かされたとか!」


「たぶらかし男?」


 またそうやって仁王立ちしながら俺を指さす。


 人を指さしちゃいけませんって教えてもらわなかったんだろうか。


「御主人様はたぶらかしてなど居ませんと、昨日説明したはずですが。」


「たぶらかしていなかったらどうして私の可愛いエミリアが二日連続でここに来るのよ。何かいかがわしい事されたに違いないわ!」


 いや、なんというか、まぁ。


 いかがわしいことしましたけど。


 誤解しないでほしいのは決して強引ではなく、ちゃんと合意があってというかなんというか。


 あの胸は非常に柔らかかったというか。


 いい匂いがしたというか。


 オホン。


「いかがわしい事はされていませんが・・・。」


 エミリアも思い出して赤くならないの。


「エミリアが赤くなってるじゃない。これが何よりの証拠よ!」


 ほら、誤解されちゃったじゃないか。


 こうなるとこの人面倒なんだよな。


 大人しくしていたら美人っていう部類なんだと思うんだけど、中身がなぁ。


「何よ私にもそういうことしようとか考えてるんでしょ。」


 こうやって思い込んじゃうところがちょっと。


「シュウイチ、この人は何者なんだろうか。」


「リュカさんといいましてエミリアの先輩だそうです。なんでも珍しい精霊士さんだとか。」


「なによ、自分の方が精霊の祝福が多いからって威張るんじゃないわよ!」


「シュウイチ、精霊の祝福とは何だろうか。」


 そのあたりから説明しないといけないわけですね。


「御主人様、ここは場所を変えたほうがよろしいかと思います。周りの方々が御主人様に対してあらぬ誤解を抱いておられるようですので。」


「その方がよさそうですね。」


 休息日だが魔術師ギルドには人が多い。


 そんな中一番人の流れが多い入り口前でこんなやり取りをしているわけだ。


 魔術師ギルド内に俺がたぶらかし男だという誤解が広がっていくのは避けなければならない。


 あーでも、昨日この人が広めまくってるという事もなくはないか。


 とりあえず入り口から回廊の方へ移動する。


 その間もリュカさんはエミリアに寄り添い、何故赤いのかを聞き出そうとしていた。


 エミリアにしてみれば羞恥プレイそのものだな。


 赤くなった顔もまた可愛いからいいけど。


「改めましてこの方はリュカさんと言いましてエミリアの先輩です。」


「ちょっと、大事な肩書飛ばさないでよ!」


「リュカさん少し静かにお願いします。」


 エミリアナイスアシスト。


「精霊の祝福というのは精霊様から賜る信頼の証のようなもので、先日の森と水の精霊様から私が賜ったものです。二種類の精霊様からこの祝福を賜るというのは非常に珍しいそうで、それで昨日はギルド長様ともお話をしていたんですよ。」


「なるほど先日お会いした二人の精霊様から賜ったものか。あのお願いをしっかりと叶えたのだから不思議はないな。」


「さすが御主人様です。」


「それで、たぶらかし男がまた新しい女の人をたぶらかしているわけだけど、この新しくたぶらかされた人は誰なの?」


 言い方がややこしいし、そんなに何度も言わなくてもいいじゃないか。


 事実じゃなくても傷つくぞ。


「こちらはサンサトローズ騎士団分団長シルビア様です。私と同じくシュウイチさんのつ、妻です。」


「はじめてお目にかかる、サンサトローズ騎士団所属分団長のシルビアだ。昨日はわが夫イナバと妻のエミリアがお世話になったそうだな。」


「まって、この人があの有名な戦場の戦乙女シルビア様なの?」


「そうです、シア奥様に間違いありません。」


「奥様・・・。やっぱりたぶらかしているじゃないの!」


 もう好きにしてくれ。


「シュウイチがたぶらかしたわけではなく、私とエミリアが求婚したのだ。そこのところを間違えてもらっては困るぞ。」


「そんな、あの憧れのシルビア様がこんな男に求婚だなんて・・・。きっとエミリア同様に騙されておられるんだわ。」


 憧れだったんだ。


 確かにシルビア様は女性に人気ありそうだもんな。


「御主人様、人気ありそうではなくて人気があるのだと思います。」


「あ、やっぱりそうなの?」


「昨日サンサトローズを観光しておりますとシア奥様の愛好会なる団体の方とお話しする機会がございました。団員数もかなり多いようで、御主人様の事は少々恨んでおいででしたので街を歩くときはお気を付けいただくとよろしいかと思います。」


 何その物騒な情報。


 シルビア様ファンクラブは存在していて、しかも会員数は多い。


 裏通りだけじゃなく表通りも満足に歩けなくなってしまうんだろうか。


「毎週手紙や贈り物を頂戴する方々だな。」


「シルビア様を応援するシルビア愛好会。そして何を隠そう愛好会会員番号3番がこの私なのよ!」


 3番なんだ。


 1番じゃないんだ。


 2番じゃいけないんですか?と聞いたら大変な事になるところだった。


 セーフ。


「リュカさんそんな愛好会にも手を出していたんですね。」


「私は素敵な女性を見ると応援したくなっちゃうのよ。」


 そういう問題か?


「御主人様、こんなところで油を売っていては観光に差し支えが出ますので本題に戻るのがよろしいかと思いますが。」


「そうですね、当初の目的を果たしましょうか。」


 すっかり忘れていた。


 全くこの人が絡むと話がややこしくなるから困る。


「なによ、エミリアを返しに来たんじゃなかったの?」


「申しありませんリュカさん、大変重要で重大な事案が発生しましたので至急ギルド長にご面会したいのですがお取次ぎをお願いしてもよろしいでしょうか。」


「・・・エミリアがそんな風に言うなんてよっぽどなのね。」


 急に真顔になるリュカさん。


 そして踵を返すと回廊の先へどんどん歩いて行ってしまう。


「何してるの、案内するからついてきなさいよこのたらし男。」


「だそうです、いきましょうか。」


「シュウイチは彼女に一体何をしたんだ?」


 それは俺も聞きたいところですよシルビア様。


「何もしていないんですが、おそらくは愛でる対象二人を奪っていったことに怒っているのだと思います。」


「罪な男だなシュウイチは。」


「さすが御主人様です。」


「そこ、しゃべってないでさっさと来なさい!」


 へいへいついていきますよ。


 ミド博士の研究室とは逆の回廊をどんどんと進んでいくと大きな石造りの塔につながっていた。


 博士の研究所は地下だったけどギルド長は塔なのか。


 魔法使いの建物は何故か塔が出てくるんだけど特別な意味があるのかな。


「フェリス様に面会希望者が来ました、つないで頂けますか?」


「これはリュカ様。ただいま奥の執務室で作業されております、そのままお進みください。」


「ありがとう。」


 アポなしだったけど問題なさそうだな。


「普通はいきなり面会なんて通らないんですけど、リュカさんが一緒でよかったですね。」


 忙しい人だろうし普通はそうだよな。


 こういうところでリュカさんが役に立つとは、めんどくさいだけの人じゃなかったようだ。


 塔の中は思ったよりも広く、螺旋階段を上っていくと大きな部屋に到着した。


 すごいな、ワンフロア全てがギルド長の部屋なのか。


 螺旋階段の途中でリュカさんが立ち止まった。


 普通ドアぐらいありそうな物だけどいきなり入っても大丈夫な感じなんだろうか。


「フェリス様、精霊士リュカが参りました。火急の知らせで魔術師エミリアが来ておりますがいかがいたしましょう。」


「どうぞお入りなさい。」


 リュカさんの立ち止まったちょうど前の空間に光がともった。


 というよりも、光の壁があったようでそれが霧散したような感じだ。


 なるほど、シースルーの魔力の壁がドアの役割を果たしているんだな。


 知らない人がいればそれに突っ込んでしまうと。


 防衛機能もかねているとかすごいな。


 そのまま上のフロアへ上りきると、そこは壁中が本棚で覆われており一番奥のテーブルにフィリスが腰掛けていた。


 机の上は山のような書類がうず高く積まれており、絶妙のバランスで崩壊しないよう保っている感じだ。


 なんだろう、どこの世界もトップの人間は事務処理が苦手もしくは嫌いなんだろうか


 決裁と裁量のバランスが悪いのが原因だろうけど、それ専用の部署を作れば不正の温床にもなりかねないし、結局は偉い人が責任を取ってすべてみていかなければいけないわけだ。


 紙の地獄からは誰も逃れることは出来ないんだな。


「失礼いたします。精霊士リュカならびに魔術師エミリアが参りました。」


「書類の整理が追いつかなくてね、このままで失礼するよ。何なら手伝ってくれると嬉しいんだがねぇ。」


「フェリス様のお手伝いをしようにも私たちにはその書類を決裁する資格 権限がありません。」


「そんなもの適当でいいんだよ、と言いたい所だけど。それで、昨日の今日で何のようだい?」


 エミリアのほうを見るとアイコンタクトで話してもいいよと教えてくれた。


 一歩前に出てギルド長に話しかける。


「フェリス様、お忙しい中お時間を割いて頂きましてありがとうございます。」


「精霊の祝福をもらっている坊やじゃないか。ご機嫌取りは結構だから用件を言いな、エミリアじゃなくあんたが話すってことはそれなりの内容なんだろう?」


 ギルド長はあまり気が長くないようだ。


 面倒なところは抜いてさっさと本題に入るとしよう。


「単刀直入に申し上げます。現在魔石鉱山にて横流しが行われており、その横流し品がこの魔術師ギルド特にミド博士の研究所に流れ込む可能性がありましたのでご報告に参りました。」


 魔石横流しと聴いた瞬間にギルド長の手が止まった。


 伏した顔から目線だけをこちらに向けてくる。


 怒気を含んだような視線だった。


「よく聞こえなかったが、もう一度言って貰えないかい?」


「現在魔石鉱山にて横流しが行われております。そしてその魔石が魔術師ギルド特にミド博士の研究所に流れ込む可能性がありましたのでご報告に参りました。」


 再度同じように報告をする。


 大きなため息をつきながらギルド長は椅子の背もたれに体重を預けた。


「それで、魔石の横流しが行われているから私にどうしろっていうんだい。」


「特に何も。ただそのような事実が判明いたしましたので一番最初に被害が出そうなこちらにお話だけでも通しておくべきという判断で参りました。」


「国家事業の中でも最重要事項にあたる魔石採掘において横流しが行われているとは随分な事案だねぇ。それで、その情報は誰がどのようにして持ち込んだんだい?」


「とある人物が直接聞いた内容でございます。正確には横流しが行われているからその事業に一枚かませて貰えという下っ端グループの会話を聞いたという状況です。」


 再び大きくため息をつきながら目頭を押さえる。


「あんた、自分が何を言っているかわかっているんだろうね。わざわざ魔術師ギルドの長である私のところに来て国家事業の汚職があると吐いているんだ。その事実が嘘偽りであったならばその首一つじゃすまないって事だよ。」


「存じ上げております。しかしながらその情報を得た本人はそのグループに命を狙われ、実際にここにいるリュカ様を除いた4名がその現場に立ち会っております。それだけではなく、その人物に変装したエミリアと共に私自身も襲撃されておりますのでその会話に事実が隠れているという事は明白でしょう。」


 命を狙われているのは誇張だが間違いではない。


 彼女が狙われているという事実が、あの盗み聞きの内容に重みを足している。


「それで、その横流しが仮に事実だとして何故うちにその話を持ってきたんだい。ミド坊やのところに流れ込むなんて限定 推定までして来るんだからそれなりの理由があるんだろう?」


「現在ミド博士が取り扱っておられる魔石は供給不足が続いております。原因は先の大雨で主となる鉱山の物流がストップしているという事。この事実に関してはミド博士が直接現場に行こうとしてるのでこちらでもそれは把握されていることでしょう。」


「そうだね、確かに魔石の供給が滞っているのは把握しているよ。」


「次に、予備鉱山からの供給に関して『純度不足』を理由に供給できないという報も流れてきておるかと思いますが。」


「その通りだ。純度が足りずに坊やの研究に耐えられない魔石ばかりだっていう話じゃないか。それがいったいなんだって言うんだい。」(ら抜き乱用)


 ギルド長は俺を試している。


 大見得を切って説明してくる俺がどこまで追求してくるのかを試しているのだ。


 ちょっとつついただけでぼろが出るようなら所詮その程度。


 ギルド長の求めているところまで突っ込めたら合格。


 まぁそれがどこかなんて俺にはわからないわけだけど。


「今このタイミングで魔石の純度が足りないという事が考えられますでしょうか。特に予備鉱山の場合はメインの鉱山の代替として魔石を備蓄しておくのが主な役割のはず。しかし実際はその代替機能すら働いていないというのはいかがでしょう、これまで貯めた魔石がどうなったのか調べる必要があるのではないでしょうか。」


「確かに坊やの考えには一理ある。これまで主となる鉱山が産出を止めたことがないのであれば、同じ期間だけ掘り続けて一つもないと言うのはおかしな話だ。」


「そして最後に、この魔石不足の状況をわざと起こしていると仮定するならば、魔石を欲しているミド博士の研究所にほぼ間違いなく横流しの魔石が供給されるという事です。特にミド博士の研究所は商店連合や街の商人に魔装具を卸しておられます。その供給がもし滞りでもしたら、それこそ魔術師ギルドの信頼にかかわる問題になります。」


「供給不足なのであれば致し方ないだろう。それでどうして信頼にかかわるって言うんだい。」


「魔装具を許可制にしているからですよ。許可を与えているという事は供給を約束しているのと同じことです。その約束をあのミド博士が違えるとは思えない。あれだけ魔石研究に精通し、自ら魔石鉱山まで赴こうとしている人が足りないので納品しませんで納得するはずがありません。多少高くても望みの純度の物を供給しますという話があれば間違いなく飛びつくことでしょう。」


 考えられる仮説はこれで全部だ。


 ここまででギルド長が納得するのか、はたまたダメ出しされるのか。


 さぁどうなることやら。


「ただの坊やだと思っていたが多少は頭を使えるようだね。エミリアが旦那に選ぶだけはあるという事か。」


「そこはどうでしょう、ただの気まぐれという事も考えられますが。」


「うちのエミリアを甘く見るんじゃないよ。魔術以外に能がない他の連中と違ってこの子は多種多様な物事にも挑戦できる器を持っている。そのこが見初めた男なんだ、もっと自信をもちな。」


 卑下したら怒られてしまった。


 そうだよな、エミリアやシルビア様に失礼だよな。


「申し訳ありません。」


「まぁいいさ。それよりも魔石横流しのほうがもっと重要だ。もし本当なら、間違いなくうちのミド坊やに手が伸びるだろう。あの子は魔石のことしか考えてないバカたれだからね、私みたいなおいぼれが手を焼いてやらなきゃいけないのさ。さて、どうしたものか。」


 ギルド長は腕を組み上を見上げてしばし考え込んだ。


 本当に少しだけ。


「エミリア今すぐフィフィをここに呼び出しな。休みでも何でも関係ない、今すぐにだ。リュカ、ミド坊やをここに呼んどくれ、お付のあの研究員も一緒にだよ。」


「「わかりました。」」


 どうやら合格したようだ。


「あんたのその仮説通りなら話はかなり大事になる。この話を持ってきた責任はあんたにあるんだからそこのところ覚悟するんだよ。」


「覚悟は出来ているつもりです。」


「どうだかね、最後に腹くくるのは結局は私ら女だからね。せいぜいその立派な頭で色々と策をめぐらすことだね。」


 こうして魔石横流し騒動は大きな動きを見せるのだった。


 この動きがどういう結末を迎えるのか、今の俺には知る由も無かった。


ギルド長は結構お気に入りのキャラです。

老婆といいながら下の者をこき使ってしかもかっこいいババァって最高じゃないですか?

え、私だけ?

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