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[第一部完結]サラリーマンが異世界でダンジョンの店長になったワケ  作者: エルリア
第三章

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精霊の戯れ

 話によると定期的ではないが週に1度ぐらいとペースでその黒い塊はやってくる。


 やってくるようになったのはここ2~3週間ほど前かららしいので3回ぐらい来ているそうだ。


 時間も不定期なのだが、どこからともなく現れては泉の中に勝手に進入してせっかく作った魔力の塊を奪っていくらしい。


 ただ全部奪っていくのではなく1~2個体内に取り込んでまた出て行く。


 ウンディーヌにとって泉の中は体内と同じようなもなので、体に異物が入ってくるのと同じで非常に気持ち悪いと言っていた。


 確かに毎週よくわからない何かが体の中に入ってくると思えば怯えもする。


 俺だったら絶対にいやだ。


 先週たまたま水を飲みに来ていたグレイウルフと黒い塊がバッティングしたそうなのだが、狼の威嚇に怯えることもなく機械のように淡々と魔力の塊を回収し同じように戻って行ったそうだ。


 物理攻撃が効かないのか狼が攻撃をしても全く怯まなかった様で最後は狼が恐れをなしていなくなってしまった。


 以上の情報から推測できるのは、物理攻撃の通らないスライムのような不思議生命体が不定期ながら毎週泉にやってきて来るという事。


 魔力の塊を回収するという事以外には実害がなく、正体は全くの不明。


 精霊の知識でもこのような生き物は見たことが無いらしい。


 こそっと年齢を聞いてみたが年齢という概念が無いのか首を傾げられてしまった。


 ちなみにドリアルドにはマナー違反だよと怒られてしまった。


 一応姿通りの性別という事でいいのだろうか。


 しかし対策の立てようが無いな。


 前回のアリのように来るタイミングがわかっているのであれば事前に準備ができるのだが、今回のように不定期だとここに張り付いていなければいけない。


 しかしそれは時間的に不可能なので別の方法を考えなければならない。


 通報装置とかあれば一番いいんだけど。


 セ〇ムのような警備システムがあれば進入と同時に連絡が入りすぐに駆けつけることが出来る。


 ダンジョンにはそういう機能があるってエミリアが言っていたし不可能ではないと思うんだよな。


「黒い塊が来たらすぐに連絡して貰えれば何とかなると思うんですが、難しいですよね。」


「水が近くにあれば呼びかけることが出来る、でも無かったら難しい。」


「水ですか・・・。明日からは商店にいるので不可能ではないですが常に水があるわけではないので難しいですね。」


 水を入れたコップでも持ち歩けば何とかなるだろうか。


 だが別のことに集中してるとなかなか気付くことは難しいな。


「それなら私が連絡すればいいじゃない、ディーちゃんが私に知らせて私がシュウちゃんに知らせる。シュウちゃんがこの森の中にいるならすぐにわかるから大丈夫だよ。」


「明日からは商店の準備に向かいますのでそちらに来てくださればすぐに対応できると思います。」


「ドリちゃんお願いしてもいいの?」


「ディーちゃんの一大事だもん!友達なんだから遠慮なんてしちゃだめだよ。」


 見た目は青春漫画の一コマのようだ。


 しかし、正確には年齢は不詳なので見た目だけの話だが。


 ドリアルドを経由して連絡して貰えるなら最悪村にいても気付くことができる。


 半刻あればかからず現地に到着できるので通報が早ければ早いほど現場を押さえることが可能だ。


 こういう時、瞬時の通信があると便利だよね。


「では標的が来ましたらウンディーヌ様はドリアルド様に連絡をしてください。連絡を受けましたらすぐに私たちが駆けつけますので、怖いですが我慢しててくださいね。」


「シュウちゃんが来てくれるなら、私頑張る。」


「お待たせしましたシュウイチさん、周辺にはそれらしいモノはみつかりませんでした・・・?」


 ちょうどいいタイミングでエミリアとシルビア様が帰ってきた。


 とたんにウンディーヌが俺の後ろに隠れてしまう。


 そうか、二人はまだ会ったことがなかったな。


 そんなに怖がらなくてもいいと思うのだが。


「そちらにおられるのは水の精霊様であろうか。」


「そうだよ、ディーちゃんこの二人はシュウちゃんのつがいだから怖くないよ!」


 だからつがいって言うのはやめなさいって。


「水の精霊様、ご挨拶が遅れまして申し訳ありません。私はシュウイチ様の・・・つ、妻でエミリアと申します。後ろにおりますのは同じく妻のシルビアです。ドリアルド様も直接のご挨拶が遅れ申し訳ありませんでした。」


 エミリアが深々と頭を下げ、シルビア様は地面に片膝を着く。


 目上の者に対する最上級の挨拶だ。


 えーっと、かなりフレンドリーな挨拶にしちゃったんだけどまずかったかな。


「シュウちゃんの、奥さんなの?」


「その通り二人は私の家族でございます。エミリアは魔法使いシルビアは騎士でございます。共にお二人に危害を加えるようなことはいたしません。」


「シュウちゃんはとてもいい人だからシュウちゃんの奥さんならいい人で間違いないよ。挨拶が遅れたのは気にしてないからね。」


 ドリアルドはマナーや礼儀に厳しいようだ。


 そういえば二人はドリアルドに挨拶をしていなかったな。


 してなかったというかするタイミングが無かったというか。


 エミリアのナイスフォローで機嫌を損ねず筋を通すことができた。


 ナイスエミリア、グッジョブ。


 親しい言葉の中にも礼儀ありだな。


「私も、奥さんになれる?」


 この子今なんて言った。


 奥さんになれるかだって?


 いや、貴女は精霊でしょ。


 精霊を娶るってドコのファンタジー・・・ってここがファンタジーか。


「恐れながら私のような人間がウンディーヌ様のような精霊様を妻に娶るなど恐れ多いことです。」


 ここは丁重にお断りしよう。


 いくらハーレムを作りたいからって何でもかんでも受け入れていいものではない。


 むしろ危険だ。


 この子は危険すぎる。


 俺のゴーストがそう囁いている。


「私じゃ、奥さんになれないの・・・。」


 とたんに小さくなるウンディーヌ。


 いけない、ここで受け入れてしまっては俺の未来に危険信号がともるかもしれない。


 あー、でもこれからのシーズン抱くと涼しそう。


 っていかん。


「えー、いいじゃん!私も一緒に奥さんにしてよねシュウちゃん。」


 この子まで一体何を言い出すんだ。


 見た目もさることながらギャルはちょっと。


 でも礼儀正しいし実は良い子とかそういうパターンでしょうか。


「精霊様がシュウイチさんの奥様になるだなんて…。」


「同じ妻としてこんな光栄はあるまい。」


 いや二人とも止めようよ。


 なに妻になってくれるとうれしいみたいなオーラ出してるのさ。


「ダメなの?」


「シュウちゃんだめなの~?」


「とりあえずは今回の事を解決することが先決です。」


 ここは結論を先延ばしにする作戦で行こう。


 我ながら男として最低だな。


「解決したら、奥さんにしてくれる?」


「それにふさわしい男かどうかを見極めていただければと思います。私には精霊様を受け入れる器があるかどうか・・・。」


「大丈夫だよ~、だってシュウちゃんは特別だもの。それに、精霊と人間じゃ子供作れないし跡取りとかそういう事考えてるなら、ぜんぜん気にしないでもいいよ。」


 でたよ、また特別発言。


 それに子作り前提ですか。


 出来なくてここはよかったと思うべきだろうか。


「と、とりあえずは黒い塊が出ましたらドリアルド様を通じて私たちにご連絡ください。正体を突き止めた後対応を考えますので。」


「女の子を待たせるなんてシュウちゃんサイアク~、でも誰彼構わずよりはいっか。シュウちゃんは私たちの事をちゃんと考えてくれている証拠だよね。」


「私の事ちゃんと考えてくれるなんて、嬉しい。」


 精霊ってこんなもんなの、こんなにおバカっぽくていいの。


 だって精霊様だよ。


 もっと威厳があるとか上から目線とかそういうもんじゃないの?


 ほらそこのウンディーヌ、顔を赤らめて消えるんじゃない。


「私たち二人だけでなく精霊様二人まで虜にするとは。さすがというべきなのだろうか。」


「シュウイチさんですから致し方ないのかもしれません。」


 何がどう致し方ないのか教えてよエミリア。


 シルビア様も納得しないでよ。


 こっちの2人も本当に大丈夫ですか。


「たくさんお話しして私、疲れちゃった。何かあったら、すぐに来てね。」


「畏まりました、ウンディーヌ様。」


 ウンディーヌが人の体から水の塊に変化し水の中に戻っていった。


 黒い塊だけでも情報少なくて大変なのに、解決した後の方が大変ってどうなの。


「ディーちゃんがこんなにいっぱいお話しするの初めて見たよ、それじゃあ私も帰るね~。」


「何かあったら待ってるよ。」


「用があったら、おうちの横にあったマナの樹から呼びかけたら私に届くから。ラブコール期待してるよ!」


 マナの樹ね、了解。


 ラブコールはしないから安心していい。


 ウンディーヌのようにドリアルドも森の中に消える。


「精霊様お二人にお会いできるなんて感動です。」


「帰ったらカムリに教えてやろう、いい土産話ができたぞ。」


 マイペースというかなんというか。


 大変なのは二人も同じだと思うんですけど。


「大変な事になってしまいましたね。」


「精霊様があんなに気さくな方々だったとは思いもしませんでした。」


「そうだな、もっと厳格で厳しい方々かと思っていた。」


 そう思っていたことが私にもありました。


「それで、周辺には特に変わったものはなかったんですよね。」


「はい。魔力の形跡もありませんでしたし特に変わったものも見つかりませんでした。」


「オオカミ共の足跡があったぐらいでめぼしいものは見つかっておらん。」


 話をこっちに戻そう。


 どちらにせよ今できることは何もなしか。


「お二人に周りを見ていただいている間に話は聞いておきましたが、あまり新しい情報はありません。週に1度ほどのペースで、オオカミの攻撃にびくともしない不思議な黒い塊がウンディーヌ様の魔力結晶を奪っていく。次に来るのがいつになるか見当もつかないので、もし出てきた場合にはドリアルド様を通じて直接連絡があると思います。現場に急行して尾行を開始、まずはどこに戻っていくのかを確認するところから始める予定です。」


「明日以降は私は手伝えぬがこちらはこちらで情報を集めておこう。何かわかれば遣いを出す。」


「そうでしたね、シルビア様は騎士団に戻られるのでした。」


「名残惜しいと思ってくれて嬉しいぞ。」


 いや、ただ忘れていただけなんですとは口が裂けても言えない。


「明日は私も本部の方にダンジョンについて調べに行こうかと思っています。明日以降であればこちらにおりますので一緒に行けると思います。」


 明日は二人とも出かけるのか。


 この世界に来て一人きりっていうのも久々だな。


 常にエミリアと一緒だったし、別れた時といえばウェリスのアジトに侵入した時以来か。


 荷物の搬入とダンジョンの整備と商店の準備と。


 しなければいけないことが山積みだ。


 そこに緊急連絡で尾行とか、タスクマネジメントなんて言葉だけだな。


 できる事から潰していく、これが一番。


 もちろん優先事項はつけてからだけどね。


 今回は黒い塊の調査が最優先事項だ。


「とりあえずこの件については犯人が出てこないことにははじまりませんので一旦保留ということで。そういえばダンジョンの契約がうまくいっているか確認していませんでしたね。」


「忘れてました!」


 言い出しっぺはエミリアですよ。


「まだ日は高い、確認してから私は戻るとしよう。」


「よろしいのですか。」


「可愛いダンジョン妖精とやらをまだ見ておらんからな。」


 可愛いの本当にお好きなんですね、シルビア様。


 まさか家には大量のぬいぐるみがあるとかいうパターンでしょうか。


「ではとりあえず商店に戻りましょうか。」


 泉を後にして商店へと向かう。


 道中魔物に出くわすこともなかった。


 この感じだったら急に呼び出されても一人で問題なさそうだな。


 スライムは無視してモフラビットは倒す。


 問題はオオカミか。


 まだ出会ったことがないのだけど、オオカミだしなぁ。


 普通に考えて勝てないよなぁ。


 出くわさないことを祈ろう。


 新居には寄らず直接商店へと向かう。


 裏口から中に入り、カウンター裏のバックルームに入った。


「ここですか。」


「はい、ここでダンジョンの管理を行います。」


 何の変哲もない部屋だ。


 机と棚と椅子があるだけで特に変わったものはない。


 ダンジョンのようにオーブがせり出してきたりするんだろうか。


「確かこの辺りに・・・。」


 エミリアが壁をコンコンと叩き始めた。


 まさか。


 男の子憧れのあれがあるというのか!


「あ、ありましたここです。」


 木目が少し不自然に交差している部分がパカっと音を立てて開く。


 レバーが隠されており、レバーを引くと部屋の隅の床が音も立てずに持ち上がった。


 秘密の入り口だ。


 うわ、秘密基地だよ。


 サンダー〇ードだよ。


 商店の裏が開いてロケットとか出てきたらどうしよう。


 興奮してきた!


「こんなところに秘密の入り口か。」


「ダンジョンの管理は部外者にはお見せできませんので、閉店後の用心もかねてここに隠してあるんです。」


 地上二階建てに見えたが実は地下にも空間があったのか。


 なかなかレアな造りですな。


 さすがメルクリア女史渾身の作と言われるだけある。


 ロマンだ。


 秘密基地は男のロマンだ。


 地下への階段を下りると空間があった。


 立っていても頭をぶつける事はない。


 暗くて奥が見えないな。


「今明かりをつけますね。」


 階段の横に備え付けのろうそくが置いてある。


 エミリアが魔法で火をつけると全体が見通せるようになった。


 地下で火を使って換気は大丈夫なのかな。


 8畳ほどの空間だ。


 部屋の隅に机と入り口とは反対の一番奥にダンジョン最下層で見たオーブがあった。


「もうここにオーブがあるんですか。」


「これはダンジョンのオーブではないんですけど、これを通じてダンジョンのオーブと交信ができるんです。」


 それもそうだ。


 昨日の今日でここに運ばれていたとしたらそれはそれですごいが、ダンジョンの心臓部を外に持ち出すのはおかしな話だ。


「シュウイチさんここに手を載せてもらえますか。」


「わかりました。」


 エミリアに呼ばれてオーブの上に手を載せる。


 契約完了の時と同じく淡い青色にオーブが光り出した。


「契約は無事に完了しているようですね、でもやっぱりダンジョン妖精が出てきません。」


 可愛いと噂のダンジョン妖精が出てくる気配はない。


 シルビア様は至極残念そうな顔をしている。


「少しお待ちください、確認してみます。」


 オーブから手を離し今度はエミリアがオーブに触れる。


「商店連合所属エミリア、ダンジョンの契約事項の確認をお願いいたします。」


 エミリアの声に反応するようにオーブが点滅する。


 足元に光が広がり、部屋の中央にプロジェクションマッピングのような光の映像が生まれた。


「契約者イナバシュウイチ。間違いありません、ダンジョン妖精は・・・管轄0!?」


 わかるように説明をお願いしますエミリアさん。


「以前の管理者の都合によりダンジョン妖精は不在、別の者によって現在も管理は継続・・・。やっぱり自然発生のダンジョンじゃなかったんだ。」


 エミリアって独り言言うとき声が大きいよね。


 聞こえてますよ。


「前回の管理者確認・・・管理者不明、商店連合により削除。どういうことでしょうか。」


「エミリア、何かわかったかな。」


「少しだけお待ちください、あと一つだけ。」


 いつまでも待ちますよ~。


「現在のダンジョン状況確認・・・魔力残数はほぼなし、魔物数最小、最終侵入履歴は昨日と4か月前に一人いるんだ。」


 ほぉ、俺たちの他にこのダンジョンに入ったやつがいるのか。


 ダンジョンの契約まで行っていないという事は最下層までたどり着かなかったんだな。


「お待たせしました、わかったことだけお伝えします。」


「よろしくお願いします。」


「現在の契約はシュウイチさんで間違いありません。やはりこのダンジョンは自然発生ではなく人工的に作られたダンジョンのようです、だれが作ったかは商店連合により消されていました。この件についても明日確認してきます。ダンジョン妖精は前回の管理者によって契約を解除されていたので出てこなかったようですね。」


 なるほどね。


 暇を出されているのであれば出てくる訳はないか。


「管理されていない割には中は荒れていなかったと思うのだが。」


「確かにその通りです。ダンジョン妖精はいないのに別の者によって管理されていると表示されます、それが誰かは申し訳ありませんがまだわかりません。このダンジョンに入っていたのは私たちと四か月前に誰かが侵入しています。どうなったかまではわかりませんが、長いこと放置されていたはずなのに魔力の残数が少ないところを見ると、その誰かが魔物をほぼ刈り尽してしまったせいで魔力が底をついてしまったようですね。」


 あれで魔物が少ないのか。


 ということは本来あの魔物部屋はもっと多くの魔物で埋め尽くされているはずだった。


 ありがとう名も知らぬ侵入者よ。


 あなたのおかげで私は今生きている。


「わからないことだらけですね。」


「情報が違うことはたまにあることですが、今回は意図的に消去されていますから何かしらの理由があるのだと思います。とりあえず明日本部に確認をしてそのついでにダンジョン妖精の申請もしてきますね、さすがにダンジョン妖精なしに管理することはできませんので。」


「次回来た時にそのダンジョン妖精とやらを見せてもらうとしよう。」


「その時までお待ちください、シルビア様。」


 よかったね、次は会えるそうですよ。


「その誰かが刈り尽したはずの魔力は、自然発生でこの四か月の間に増えているはずですよね。」


 ふと、おかしい部分に気づいてしまった。


 ダンジョン基礎講座によれば魔力は自然発生するはずだから、仮に四か月前に枯渇しても現在四か月分の魔力がたまっていなければおかしい。


 その魔力があれば魔物は生まれていたはずだ。


 しかし、何かの理由で現在も魔力は溜まっていない。


 それはなぜだ。


 漏れているのか。


 それとも、現在も消費され続けているのか。


 そのどちらかだ。


「確かにその通りです。四か月分の魔力はいったいどこに行ってしまったんでしょう。」


「思い当たることは何かありますか。」


「地脈にずれが出てしまって魔力がたまらなくなっているのか、消費されているのかそのどちらかだともいます。」


「確認する事はできるんでしょうか。」


「申し訳ありません、ダンジョン妖精がいなければ内部の詳しい状況まではわかりません。」


 どちらにしろ今日確認することは不可能か。


「わかりました。とりあえずは明日にならないとわからないようですので後はエミリアにお願いします。」


 今わからないことを考えてもどうしようもない。


 わかってから考えればいいだろう。


 その方がいい。


「わかりました、できるだけの情報を集めてきます。」


「それでは私は町に帰るとしよう。次回は休息日の夕刻には来れると思う。」


「その時は新居に移っておりますのでそちらにお越しください。」


「私の荷物は別に送らせるので適当に部屋に入れておいてくれるか。」


「了解しました。」


 とりあえず今日はここまでだ。


 まだ時間はあるし、ゆっくり帰ってシルビア様を見送ろう。


 そしていつものように村の手伝いをしてとりあえずは明日だ。


 オーブの光が消えると同時に足元の映像も消えた。


 地下室を後にしてのんびり村へと戻る。


 誰もいないはずの商店。


 一人の少女が二階にいた事に俺たちが気づくことはなかった。


私事で大変恐縮ですが、投降のペースを少し落とそうと思っています。

毎日1更新を目標に筆を進めていましたが、仕事の都合上それが少し難しくなってきました。


無理やり書いて仕事に支障が出るわけにもいきませんし、

これで書くことが嫌になるのも困るので、二日に1更新を目指していこうと思います。


楽しみにしてくださっている方がおられるのであれば本当に申し訳ありません。


のんびりとお付き合いいただければ幸いです。


よろしくお願いいたします。

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