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Intrusion Countermeasure:protective wall  作者: kawa.kei


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 「ただ、姉を攻略するにはちょっと足りませんね」


 シニフィエの言う通りだ。 明らかにふわわの躱し方には余裕があった。 

 太刀でやや大振りの斬撃から小太刀をコンパクトに振るうという組立てもそうだが、明らかに足を使うのを待っているような動きは敵からすればやり難いだろう。


 迂闊に出すと斬り落とされるという事は見ているヨシナリにすら分かるのだ。

 対峙しているプレイヤーからすれば猶更だろう。 結果、足が出し難くなり、斬撃の応酬となった。


 ――見どころとしてはこの辺がピークと言える。


 その後はベリアルの戦いと似た流れになっていた。

 変に絡め手を使わずに正面から斬り合いに応じる辺りが彼女らしい。

 敵機は武器の短さから懐に入る形で前に出る。 基本的に長物の弱点は間合いだ。

 

 内に入られると太刀は振り回し辛いのだが――小太刀だけでナイフのラッシュを捌き、距離を取ると太刀での斬撃。 太刀の刺突から小太刀での追撃は流石の一言だ。

 こうして見ても敵機の近接戦の技量は高い。 


 回避モーションの一部に例のチートを使っている形跡はあったが、途中でキャンセルしている事もあった正しく運用しているといった印象を受けた。 

 明らかにカンチャーナのように操作していないといった感じではない。


 それ以上に元々の技量自体が高いのだ。 決して弱い相手ではない。

 

 ――が、相手が悪かった。


 小太刀の刺突でやや強引に距離を取らされる。 その間にふわわは小太刀を手放し、しっかりと地面を踏みしめた。 鞘に納めた太刀の柄を握って攻撃の溜め。 恐らくはアレが来る。

 横薙ぎの一閃。 敵機はナイフで流そうとしたが、受けたブレード部分ごと機体が両断される。


 ――何度見ても意味が分からない。

 

 どうやって同程度の硬度のはずの武器で一方的に両断できるんだ?

 

 「参考に教えて欲しいんですけど、アレってどうやってるんですか?」

 「うーん。 ウチも上手に説明できないんよ~。 こう、力を入れて振る感じ?」

 

 ――さっぱり分からねぇ……。


 前の復刻戦でも見せていたが、どういう理屈なのかが全く理解できない。

 流石にイラまで斬れるとは思えないが、あの様子だと並の武器だと受ける事すらできないだろう。

 一縷の望みをかけてシニフィエに説明できるかと視線を向けるが、苦笑して首を振る。


 「私も理解はしていないので話半分程度に聞いて貰えればありがたいんですけど、斬る際に刃の軌跡とその結果が何となく見えるんですよ。 私も真似できなくはないんですが、かなり時間がかかるので実戦ではまともに使えません」


 シニフィエが言うには構えから抜刀、そして斬撃というプロセスを意識し、集中する事によって至れる境地らしい。 ふわわはそれを戦闘中、自然に行えるとか。

 聞けば聞くほど首を傾げたくなる内容だ。 


 無理に解釈するなら集中する事で斬撃の結果――要は対象を斬れるか斬れないかが視えるらしい。 

 裏を返すと斬れるイメージを練り上げる事が出来たのなら斬れるという事??

 ヨシナリはどうにか思考をこねくり回して何となく斬れるか否かを判別していると解釈した。


 意味は分からないが、挙動から読み取れる物はある。

 あのトンデモ斬撃に重要なファクターは集中――要は溜めの時間だ。 

 映像から1秒と少し。 それにプラス正しい斬撃を放つ為の姿勢。 

 

 以上の二点が揃った時に成立する大技だ。 

 これに関しては真似るよりは対策法を練った方が気楽そうだった。

 映像を切り替える。 次はシニフィエだ。


 さっきの戦闘とは構図が逆で、シニフィエが相手の懐に入ろうと肉薄し、敵機が近づけまいとしている。 バトルライフルは取り回しで不利になると判断したのか撃ち尽くした後、リロードせずに投げ捨ててマシンピストルを抜いて連射。


 シニフィエは旋回で射線を振り切る。 ここで凄まじいのは距離を取らずに前に出ている点だ。

 全開で噴かす事で無傷で躱している。 弾切れと同時に肉薄。

 リロードは間に合わない。 敵機はマシンピストルも捨てナイフで迎撃の構え。


 接近戦に応じるようだ。 


 「軽量化したのはこの為か」

 「はい、プラスフレームにしてエネルギーウイングを使えるようになりましたが、思いっきり噴かすとすぐに息切れするので可能な限り機体を軽くしてスピードを上げました」


 実際、彼女の動きは速く軽快だ。 特に後者の軽さが曲者だった。

 エネルギーウイングで緩急を付ける事で簡単に捉えられない。 

 それに気づいて途中で敵機は弾を小刻みにばら撒いていたが、判断が少し遅かった。


 マシンピストルは装弾数の関係でそこまで派手にばら撒けるようにできていない。 

 早々に弾が切れ、選択肢が接近戦しか残らなかったのだ。

 それでもふわわと戦った奴と同程度の技量があるのなら勝ち目は充分にあると判断したのだろう。


 シニフィエの機体をしっかりと観察している事も窺える。

 明らかに肘と膝に警戒していたからだ。 

 ナイフを順手に持って、近づかせない事を念頭に置いているのは判断としては正しい。


 攻撃も刺突を中心としており、膝と肘を使わせないようにしている。


 ――ただ、こちらもふわわと同じように動きに余裕があるんだよなぁ……。


 対策としては悪くないが決め手にも欠けていた。 

 敵機の刺突をシニフィエは手の甲で打ち払い、懐に入ろうとするが敵機は攻撃に使っていない方の手に握ったナイフでそれを阻止する。 方針としては刺突をしつこく繰り返し、シニフィエが躱しきれなくなるまで粘るつもりなのだろう。


 「まぁ、堅実な相手ではありましたよ」


 シニフィエはそう言って肩を竦めてみせる。 裏を返せばそれだけしか感想がないとも取れたが。

 刺突を捌いたと同時に仕掛けに行った。 エネルギーウイングを噴かしてその場で旋回。

 下半身を最大に使って鞭のような蹴りを放つ。 流石に躱せないと判断した敵機は後退して回避。


 だが、蹴りは撒き餌だった。 シニフィエは独楽のようにもう一回転し残った足を一閃。

 裏からの蹴りで踵の位置がずれている。 当たってもそこまで痛くないと思うが狙いはそこではない。

 目的は足を引っかけて敵機を捕まえる事にあった。 敵機の頭部に足がかかった段階で勝負は決まったようなものだ。


 その時の動きはまるで蛇のようだった。 

 シニフィエの機体は絡みつくように敵機の腕を取り、次の瞬間には根元から引き抜く。

 マルメルがひぇと悲鳴を上げる。 正直、ヨシナリも同じ気持ちだった。

 

誤字報告いつもありがとうございます。


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― 新着の感想 ―
>こう、力を入れて振る感じ? 巨人軍は永遠に不滅です?
あの絶技は今のところタメと体勢の縛りがあるのが救いか まあふわわさんなら技量や機体の性能やブレードの材質が向上してそのうちそんな縛りもどこふくかぜになりそうと思ってしまうんだけども
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