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「はい。 またまたやってまいりました。 ユニオン対抗戦」
場所は『星座盤』ホーム。 メンバーは助っ人を含めて全員揃っている状態だ。
全員、色々とやって来たのか何やら意味深な雰囲気を醸し出している者も多い。
「へ、今回は優勝を狙おうぜ!」
マルメルもその一人で、どうやらここ最近で色々と頑張って来たらしく修行の成果を見せてやるぜとやる気満々だ。
それだけでも期待感しかないのに頼りになりそうな助っ人まで連れて来てくれた。
もう感謝しかない。
「だな。 やってやろうぜ!」
おうと頷くマルメルから視線を動かしてふわわへ。
「今日もよろしくお願いします。 頼りにしてますよ!」
「うん。 頼ってくれてえぇよ。 ウチも前よりちょーっと強くなったしな?」
敵だと死ぬほど恐ろしいが、味方だと非常に心強い。
何より味方に居るので確実に敵対しないというのが最高だ。 今回も暴れてくれるだろう。
「グロウモスさん。 いつもの調子で行きましょう」
「フヒッ! ま、任せて」
相変わらずだが彼女に関してはもう心配する必要が全くない。
ヨシナリとしてはいつものパフォーマンスを発揮してくれるだけで充分だった。
「ホーコート。 頑張ろうな」
「はい! 任せてください! 今日の俺は一味違いますよ!!」
ホーコートからはここ最近の落ち込みが嘘のように力の入った言葉が返って来た。
――声がデカいな。
ここ最近は色々と悩んでいたようだが、何かしら掴んだのだろうか?
正直、ほんのりと嫌な予感はするが、本人が元気なら今はそれでいい。
「シニフィエ。 頼むぜ?」
「これでも成長したのでその辺の成果をお見せしますよ!」
いつも通りだが、少し気負っているような感じがする。 大丈夫だろうか?
少し心配になったが、シニフィエだし大丈夫かと謎の信頼感があった。
「ユウヤ。 勝つぞ」
「あぁ、前のような無様は晒さねぇ」
頷き返すユウヤに頼もしさを覚えながら肩に乗っているアルフレッドを軽く撫ででよろしくなと囁く。
アルフレッドは小さく吠えた。 こちらもやる気があっていい感じだ。
そして――
「我らの闇は更なる領域に至った。 此処に至った以上、試すなどという無粋は不要。 全てを光なき世界へと誘おう」
「我が戦友、魔弾の射手よ。 貴様と積んだ研鑽、その結実を見る時だ。 そして我がプセウドテイに秘められし新たな闇が我らの道を阻む者達を駆逐し、絶望へと沈めるだろう」
一緒に頑張った成果を見せよう。 機体を強化したから頼りにしてくれて問題ない。
ベリアルの言いたい事を完璧に理解しているヨシナリは小さく笑って大きく頷く。
次に視線を向けるのは助っ人の二人。 片方のアイロニーはヨシナリ達の闇の叡智にやや首を傾げていたが、なるほどと納得したのか頷いていた。
「今日はよろしくお願いします」
「タクティカル。 私に声をかけて良かったと言わせてやろう」
そう言ってアイロニーはニヤリと笑う。
――で、最後の一人なんだが……。
意外過ぎる人物だった。 全身鎧を身に纏ったアバターが腕を組んで仁王立ちしている。
プレイヤーネーム『ケイロン』。 『烏合衆』所属のAランクプレイヤー。
何故かマルメルが連れて来た助っ人だ。
ヨシナリとしてはアリスだと思っていた事もあってかなり驚いたのは記憶に新しい。
アリスに頼まれて今に至ったとの事。 聞けば、アドルファスの意向でもあったらしい。
もう少し詳しくいうなら『烏合衆』は新しいメンバーを入れたとかで枠が埋まった事もあってあぶれたケイロンの手がちょうど空いていたのだ。
加えてアドルファスの集団戦を学ばせたいといった思惑もあるようだが、ヨシナリにとっては都合がいい。 それに話は先日に済ませた。 大きな戦力として活躍してくれるだろう。
「頼みます」
「うむ。 騎士として貴公等の道を切り開く槍となろう」
ヨシナリはさてと前置きして話を始める。
「イベントの概要を見た感じ、流れは変わらないみたいです。 予選は潰し合い、本戦はトーナメント。 地形に関しても変化はなさそうなので有利な場所に陣取って向かってくる奴を返り討ちにしていく方針となります。 ただ、状況次第で変わって来るので、その辺は臨機応変に行きましょう。 何か意見があれば遠慮なくお願いします」
「予選でヤバいのと当たるかもしれねーからなぁ」
マルメルは引き籠りに賛成と手を上げる。
ヨシナリはちらりとふわわやベリアル、ユウヤの様子を窺う。
ふわわはともかくベリアル達に関しては予選は好きにしていいと約束しており、それは未だに有効と思っている事もあってどうするのかなと思っていたのだが意外な事に二人とも何も言わなかった。
「プラクティカル! 私としても迎え撃つ形の方がやり易い。 賛成だ」
ケイロンも異論はないのかうむと頷いて見せた。
「よし、では行きましょう! 『星座盤』勝つぞ!」
ヨシナリはそう言って拳を振り上げるとメンバーも声はまばらではあったが、しっかりと握った拳を突き上げていた。
それを嬉しく感じてウインドウを操作。 フィールドへと移動した。
移動先はフィールドの中央に近く、木々が乱立する森の中だ。
周囲を確認するとメンバーはしっかりと全員揃っている。
味方機を確認すると装備を変えていたりアップグレードしているメンバーが多かった。
まずはマルメル。 かなり変化が大きかった。
最も目立った点として脚部が大型化しており、何だと注視するとホバー移動を可能とする為の推進装置だ。 アリスが使っている物のダウングレード版と言った所だろう。
それと武器も予備の突撃銃が別物に変わっていた。
大口径の大型銃でドラムマガジンが二つも刺さっている化け物みたいな見た目だった。
加えて銃身が白く、表面に城やトランプの兵隊の彫り物がされているという凝ったデザインだ。
デザインから明らかに市販品ではない武器で、見た目からアリスの持ち物であった可能性が高い。
ここ最近、特訓を頼んでいるとの事だったのでその時に手に入れたのだろう。
バックパックも大型化しており、両肩の散弾砲がガトリングガンに代わっていた。
弾帯がバックパックへと伸びている。 明らかに手数を増やしていた。
強化装甲も少しグレードを上げたようで、防御力が向上している事が分かる。
視線に気づいたのか、マルメルは小さく笑う。
「まぁ、見てろって、しっかり活躍してやるぜ!」
頼もしい奴だと思いながら次に視線を向ける。
誤字報告いつもありがとうございます。
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