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Intrusion Countermeasure:protective wall  作者: kawa.kei


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 ジェネレーターを複数積む事でスタミナを大きく伸ばして継戦能力を高め、それによりあちこち飛び回り、戦場の不足を埋める便利屋というのがヨシナリのツガルに対しての総評だ。

 単純に中衛という役割に甘んじていない点は彼のこのゲームに対する意識の高さが窺える。


 次にフカヤ。 機体がⅡ型なのはステルス特化というスタイルと上位機種が噛み合わないからだろう。

 光学迷彩、レーダーに映らない各種装備。 こと隠密行動をやらせれば彼以上にこなせる者はそういないと言い切れるほどに気配を消すのが上手い。 反面、気配を消す事に重きを置いているお陰で武装面は大きな縛りが出来ており、個性的な武器を所持している。


 まずはクロスボウ。 彼が主に扱っている武装だ。

 トルーパー用に大型化したそれは(ボルト)の先端を交換する事で様々な使い方ができる。

 単純に敵を射抜くだけでなく閃光弾や煙幕弾をセットする事で攪乱を行う事もできるので、原始的な武器と侮る事は出来ない。 欠点としては射程の短さと連射ができない事ぐらいか。

 

 他には消音仕様の拳銃と肉厚のダガーが一本。 

 隠密行動を取る関係で可能な限り荷物を少なくした結果のようだ。

 ヨシナリから見たフカヤは正面切って戦う事は難しいが、攪乱、奇襲に特化した暗殺者。

 

 連携を取っての戦闘ではなく味方の動きに同期して行動するタイプだろう。

 その為、この面子ではツガルと二人で矢面に立つ必要がある。

 

 「さて、始める前にリーダーを決めようぜ。 何事も仕切る奴がいないとな!」

 

 唐突にツガルがそんな事を言い出した。 

 こいつって仕切りたがりだったのかと少し思ったが、続く言葉にヨシナリは少し驚く。


 「――という訳でヨシナリ。 リーダーはお前だ」

 「あのー、ここはランク的にも経験的にもツガルさんでは?」

 「何を言ってんだ。 俺みたいなこのミッションのセオリーをある程度知ってる奴がやってもつまらないだろうが。 ここは初見のお前が仕切って楽しむところだろ」


 それを聞いてヨシナリは苦笑。 全くもってツガルの言う通りだったからだ。

 勝つ事や強くなる事に執着しすぎていて肝心のこのゲームを楽しむ事が疎かになっていたかもしれない。 


 「ユニオンのトップなんだからここは俺達のような有能な仲間を上手く使いこなしてスキルアップに繋げろよ!」

 「はは、頑張ってみますよ」 

  

 そう返しつつどうしたものかと策を練る。 勝利条件は敵の全滅。

 戦力差は単純に約二十倍。 普通にやって勝てる訳のない戦いだ。

 

 「考えたいので情報をください」

 「おう、答えられる事には限りがあるがそれでよければなんでも聞いてくれ」

 「まず、敵の目的は施設の占拠なんですよね?」

 「あぁ、設定上、この送電施設を押さえて国と交渉したいって話だ。 で、政府側はテロには屈しないとプレイヤーを送り込むっていうのがこのミッションの背景だな」

 「つまり敵はあの施設から動けないって事ですね」

 「さてな? それ以上はネタバレになるから自分で考えろ」

 

 取り合えず今ある戦力、情報でヨシナリは戦い方を組み立てる。 

 かなり厳しいがツガルとフカヤが居るならどうにかなるだろう。

 

 「で? リーダー、作戦は決まったか?」

 「はい、俺の作戦はまず――」


 

 ヨシナリの話をツガルとフカヤは黙って聞き、途中に挟まるこれは実行可能かという質問に自身の能力と照らし合わせて答える。


 「――って感じなんですがどうですかね?」

 「いいんじゃないか? 聞いた感じ勝算は充分にあると思う。 フカヤ、行けるな?」

 「やってみます」

 「よし、んじゃあいっちょやりますか!」


 こうしてヨシナリのツガル、フカヤとの共同ミッションは始まった。

 


 ヨシナリは敵の索敵範囲外――少し離れた山の上からアノマリーを構える。 

 最大望遠で見える基地は確かに発電施設といった装いではあるがケーブルの類は埋設されているのか周囲が均されて何もない事もあってよく目立つ。 敵機は施設の四方を囲むように布陣しており、配分は均等に見える。 敵はNPCとの事なので想定としてはイベント戦で出て来た寄生トルーパーと同等を仮定。


 無人のエネミーと侮ると碌な目に遭わないのはこのゲームを通じて痛いほどに学習したので全力で潰す。 深く息を吸って止める。 照準のブレを補正。 

 

 「始めるのでお願いします」


 発射。 ヨシナリの放った一撃は敵機の胴体――コックピット部分を正確に捉えて撃ち抜く。

 爆発する前に次の機体に狙いを定めて発射。 命中、撃破。 

 三機目、外した。 恐らく位置がバレた可能性が高いので即座に移動。


 遮蔽物が少なく、身を隠せる場所が限られたこの地形ではどれだけ上手くやったとしても居場所を隠しきる事は不可能だ。 基地から敵が次々と出てくる。

 全部で十五機。 Ⅱ型五、Ⅰ型十機。 真っすぐに向かってくることから完全に居場所がバレている。

 

 敵の武装は突撃銃と拳銃。 射程ではこちらに分があるので近寄られる前に少し削ろうと判断し、山を下りるのを止めてアノマリーを構える。

 突っ込んで来る先頭の敵機を狙い撃つ。 最優先はⅡ型、背のブースターを噴かして空中へ。

  

 飛ばれると捉えるのが少し難しいので一発外した段階で諦め、地上のⅠ型を狙う。

 空中は得意な奴に任せればいい。 空からヨシナリを捕捉し、仕掛けようとしたⅡ型は山の陰から飛び出したキマイラタイプ――ツガルの機体が突撃銃を連射。 バースト射撃で瞬く間に二機を撃墜。

 

 可変機である事に目が行きがちだが、キマイラタイプはソルジャータイプの上位互換でもあるので変形しなかったとしても機動性は非常に高い。 加えてツガルは同ランク帯でもかなり上位に位置する実力者だ。 NPCに早々、後れを取らない。


 見事な旋回で敵機の背後に回り、バースト射撃。 三連射されたエネルギー弾は敵機のメインブースターを正確に破壊。 翼をもぎ取られた敵機は次々と墜落していく。

 アレは高度を計算に入れての行動だ。 突撃銃は連射が利きはするが威力自体は同カテゴリーの武器の中でも低い。 その為、確実に破壊できる部位を狙ったのだ。 飛行している以上、落としてしまえば勝手に潰れるので合理的な判断といえる。 特に物量に差がある時は非常に有効な手だ。


 空はツガルが守ってくれているのでヨシナリは地上に専念。

 向かってくるⅠ型を順番に撃破していく。 追加のアーマーで装甲を盛っていない限りは胴体を撃ち抜けば一撃で沈むので冷静に一機ずつ仕留めればいい。 ヨシナリは意識して気持ちを落ち着けて照準の向こうにいる敵機に向けて引き金を引いた。

誤字報告いつもありがとうございます。


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― 新着の感想 ―
[一言] ツガルは模擬戦の時とか敵の時はそこまで驚異的には思えなかったけど、味方だとなかなか頼もしい戦力になってくれる珍しいタイプかも。 その逆で敵だとめちゃ強で味方になると弱体化してて微妙っていうの…
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