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誰だ、こいつら喚んだ馬鹿は  作者: 赤木一広(和)
第五章 ソルナの街の無頼漢たち
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067.山へおいで


 山賊なんて言葉が一般化するぐらいには、山は賊が活動するのに都合の良い土地なのであろう。

 何せ人がいない。

 山のどこで誰がいつどうしたのかなんて知りようがない。

 人通りはなく、視界は通らない。広すぎるその土地と、移動を妨げる起伏とは、標的の逃走を大いに阻害してくれるものであろう。

 そこで何が起ころうとも、治安組織はそれを咎めることができない。単純に、そうできるだけの人数の確保ができないからだ。

 そんな場所に、ソルナの街で信じられぬ暴挙を働いた者が入るという。

 彼女、金の髪を持つナギなる女性一党に対し、治安組織は全く動く気配がなかった。それは、ソルナの街の衛兵にして剣術の技量において並ぶ者なしといわれた戦士が、上司にこう報告したからだ。曰く、ソルナの街の兵士全てをかきあつめても、犠牲を出すだけでアレは絶対に捕らえられない、と。

 だが見逃すことはできない。彼ら警邏は近隣の街に応援を要請し、兵士を徴し、十分な人数を揃えようとしていた。

 そしてそんな腰の重い連中とは違うソルナの無頼共は、この好機を飛び上がって喜んだ。

 街中では、ナギなる連中が如何な悪党であろうとも、だからと彼らもまた暴虐に暴れていいなんてことにはならない。武器を揃えて宿を襲撃するだの、宿に火をかけ炙り出すだの、多数の弓を用いて矢衾にするなどといった行為は、街中では決して許されないのだ。

 だが、山なら。山中であるのなら、そこで誰が何をしようとも咎める者はいない。彼らソルナの悪党外道共が揃えられるありったけの戦力を、あますところなく全てぶちまけてしまってもいい場所なのだ。

 オッテル騎士団、ワイアーム戦士団、派遣組合、そして殺し屋エイター。皆、これを好機と受け取り、喜び勇んで山へと向かう。

 だが。少しでも先の見える者たちは、ナギの狙いに気付いている。

 殺し屋エイターを除く三つの組織は、それぞれ相容れぬ敵同士でもあるのだ。

 それが、武装し、人数を揃え、目撃者もいない山中にて鉢合わせたならどうなるか。

 それでも当初は彼らもそのつもりはなかったのかもしれない。

 だがいざその当日になって、彼らが集められる最大人数が集まっているのを見て、普段は決して許されぬ全ての行為に許しが出るどころか推奨されるような状況の中で、気が大きくならない者ならそもそもチンピラなんてやっていない。

 彼らはそれぞれの集合場所にて威勢よく吠える。

 ちょうどいい機会だ、出会う全てを叩き殺してやる、と。

 お互いへの恨みつらみは積りに積もっているのだから、当然の帰結だろう。

 山頂付近の巨岩の上で、偉そうに眼下の森を見下ろしながら、不知火凪は両腕を組み笑う。


「殺し合いながら、潰し合いながら、登ってらっしゃい。最後に残った一番強い馬鹿を、私が手ずから殺してあげるわ」


 そして岩の下でひそひそと話す涼太と秋穂。


「今回はもう言い訳の余地なくアイツがラスボスだよな」

「そもそもが裁判腕尽くで潰してからのコレだしねぇ。しっかし、人を見下す様がびっくりするぐらい似合うね」

「この世に天罰なんてものが存在しない証明になるな、アイツが生きているだけで」

「華もあるねえ、悪の華って感じで」


 岩の上から抗議の声が。


「ちょっとそこ二人! 聞こえてるわよ!」


 エルフのアルフォンスは岩の下から凪を見上げて言った。


「いや、こんな仕掛けをしといて善人を気取ろうというのはどう考えても無理があるだろう」

「作戦よ! さー! くー! せー! んっ! 兵は詭道なりなのっ! あくまで策略なんだから私の人格はかんけーないでしょ! 悪党呼ばわりは悲しくなるからやめてっ!」


 涼太と秋穂はこれまでの凪の所業を思い出し、今更だよなー、と思ったが揉めるのが面倒になったので口に出すのはやめた。

 涼太たちが山頂付近でこんな馬鹿をやっている間に、山の麓では早くも戦闘が開始されていた。






 槍使いは山に慣れた部下を連れてきており、その男のおかげでより先に発見することができた。


「見つけちまったら仕方がねえよなぁ。お前ら、反対の奴いるか?」


 引き連れたワイアーム戦士団のチンピラたち全員の意思が、ぶっ殺せで統一されている。さもありなん。槍使いたちが見つけたのはオッテル騎士団ソルナ支部の汚点、ブルーノであるのだから。

 コレに迷惑を掛けられた者は数知れず、ソルナにおける機会があれば殺しておきたい男堂々の第一位である。

 それも、両の手足を切り落としさんざんに嬲ったうえで殺さねば気が収まらないといった殺したさで。

 もとより武闘派で売っているワイアーム戦士団が十分すぎる兵力を揃えて行動している最中の遭遇で、コレを見逃すは断じてありえない。

 槍使いは片腕を上げ、そして、標的目掛けて振り下ろす。


「やっちまえてめえらあああああああ!」


 雪崩れ込むワイアーム戦士団のチンピラたち。

 聞こえてきた鬨の声にこれを見上げるブルーノ。

 敵は坂の上から駆けおりてくる。数は、敵のほうが多いようだ。更にワイアーム戦士団の三幹部のうちの一人の姿が見える。

 戦術的にはこれ以上ないってぐらい不利だ。陣を固めて迎撃、防御。敵が疲弊するのを待って後退、といった流れはとりたてて優れた指揮官でもなくても、軍務経験者なら当たり前に思いつく動きだろう。

 もちろん、ブルーノに軍務経験なぞはない。この男、そもそも命令されるということが大嫌いだ。


「はっはははは! ご機嫌じゃねえか! 街中じゃビビって動けねえてめえらがなあ!」


 ブルーノが前に出る。これは己が皆の壁にならんというわけでは無論なく、そうしなければ部下が戦わず逃げると知っているからだ。

 ブルーノが前に出て、雄々しく怒鳴り、部下たちにこの戦いは勝てると思わせなければ、このドチンピラ共は剣を握ることすらできないのだ。

 ブルーノは部下を使い捨てのゴミていどにしか考えていないが、実際にそのていどにしか使い道がないというのも事実であった。






「支部長。いいんっすか? ただでさえ森に兵を出した直後だってのに」


 山中に分け入ったオッテル騎士団ソルナ支部の支部長は、隣町から来た援軍の隊長の問いに、苛立たし気に答える。


「ここでビビって兵出さねえはありえねえんだよ。クソッ、デケェ分け前があるって言うから五十人も回したってのによ、生き残りは十人もいねえ、奴隷にゃ逃げられる、挙げ句切り札の一つもやられちまったってんだ。ここで新しい儲け話を見逃すわけにゃいかねえんだよ」

「ウチの支部長も随分と心配してましたよ」

「はっ、アイツが、心配? 笑わせんな、心配なのは最近やたら動きの活発なリネスタードのことだけだろうが」

「それだけじゃありやせん。ソルナでリネスタードの商人止める動きがあるそうじゃないですか。そんな真似されたらウチは商売あがったりですぜ」

「ありゃ貴族共の嫌がらせだ。けけっ、あの連中、リネスタードに送り込んだ人員が片っ端から追い出されてるの見て相当焦ってるみてえだぜ。ざまあねえな」

「あー、貴族共が、っすか。ならしばらくは安心ですか」

「どうだかな。連中も連中で面子潰されっぱなしってわけにもいかねえだろうし、兵揃えたらなんかしでかしそうではある」


 不意に支部長のすぐ傍に人の気配が現れる。


「……ここから右方に、ワイアーム戦士団、双剣使い、です」


 舌打ちする支部長。彼はもちろん凪の企みには気付いており、極力無駄な戦闘は避けたいと思っていた。

 ワイアーム戦士団三幹部のうち、双剣使いは最も理知的な男だ。だが、だからこそ、今ここでオッテル騎士団ソルナ支部支部長を殺しておくことの利を理解していないはずがない。

 ワイアーム戦士団からすれば、ナギなる金髪を殺すよりも、支部長を殺したほうがよほど利益になる。

 援軍隊長がにたりと笑う。


「ワイアーム戦士団の戦士殿、っすか。いいですねぇ、短剣持ちをぶっ殺せる機会なんざぁそうそう巡っちゃこないですから」


 もちろんこれはオッテル騎士団側にとってもそうであり、あの双剣使いを殺せればソルナの街でそれなりの利権を奪うことができよう。

 ワイアーム戦士団の短剣を許された戦士は、とにかく強力な個人であり、きちんと戦力を揃えなければ殺しきることはできない。そういう機会は、なかなか作れないものなのだ。


「人数はこっちが倍、か。よし、やるぞ。あの剣馬鹿どもに剣なんざ使ってやることぁねえ、弓で射殺してやれ」






 ワイアーム戦士団はそれぞれ三幹部をリーダーに三つに分かれた。

 三人の仲が悪いというわけではない。ワイアーム戦士団、それも戦士として認められた者は個人の戦闘力を誇る者が多く、それこそ戦争でもなくば戦士同士が一緒になって戦うということがあまりない。

 一人の戦士とその周囲にチンピラたちが集まる。そういった形で活動するのだ。

 効率的とはとても言えないそんな形こそが、彼らにとって最も効率的で、ワイアーム戦士団の戦士が戦いやすいやり方なのだ。

 戦士が望むは共に戦う者ではなく、斥候や数合わせ、つまり小間使いであり、戦闘の全てはそれが許されるのなら全て自分一人でやりたい、そんな愚かでわがままで、圧倒的な戦力でもなくばできぬ許されぬ真似をしたいのだ。

 実際に、ワイアーム戦士団の三戦士とまともに打ち合えるのはソルナの街でもブルーノぐらいしかいないと言われている。

 オッテル騎士団ソルナ支部の切り札の一人、軽業師ブロルですら真っ向からぶつかろうとはしなかった。

 ちなみに、ソルナで最も恐るべき存在、暗殺者エイターに関してはその正体も具体的な戦闘力も知る者がほとんどいないことから比較対象にはならない。

 そして今、ワイアーム戦士団ソルナ支部三戦士の一人、長剣使いを取り囲んでいるのは、そういったワイアーム戦士団のやり方を熟知しており、そのうえで隙を窺い好機とばかりに襲い掛かった全身入れ墨の男であった。

 彼は、オッテル騎士団でも派遣組合でも殺し屋エイターですらない、長剣使いと同じワイアーム戦士団所属の戦士である。

 長剣使いは、とても不快げな顔をしていた。


「……聞いて、いいか? どーしても納得がいかんのだ。なあ、私がお前を恨むのはわかるだろう。正直に言ってこうして目の前にお前の姿を見てしまってはもう自制できる気が欠片もしない。だが、お前が、私を恨むというのはどーいう了見だ。お前が引き連れている連中にも見覚えはある。そいつらに恨まれるのも理解できる。だが、お前が私を恨み憎むというのだけはどー考えてもわからん。私がお前に何かしたとでもいうのか?」


 長剣使いは入れ墨男を見上げながら問う。入れ墨男は、げらげらと腹を抱えて大笑いだ。


「理由だぁ!? お前、そんなもん気にしてんのかよ! やっぱお前どーしよーもねえアホだわ! ここに集まった全員に聞いてみろよ! おめーをぶっ殺してえ理由なんざ一つだ! おめーは! 気に食わねえんだよ! 偉そうに俺様最強面しやがってよ! そーいう馬鹿をぼこぼこにぶちのめして吠え面かかせてやりてえってのはだーれでも思うことなんだよ!」

「その理屈で言うのなら真っ先に狙うのはミーメさんだろ」

「どいつもこいつも同じこと言うんじゃねえ! もういい! 俺が聞きてえのはてめえの能書きじゃねえ! てめえの悲鳴なんだよ!」


 入れ墨男の合図に、坂の上から一斉に襲い掛かる入れ墨男一党。

 上から下へ攻めかかるのが有利なのは当然で。だから、長剣男は自らの優勢を確信していた。


「……知らなかったんだろうが、よりにもよって森の中で私に挑むとは、な」


 長剣男の配下は防戦の構え。そちらは誰しもに見えた。だが、長剣男自身の姿が消え失せる。


「なっ! どこだあの野郎!」


 そう叫びながら後退し、味方の背に隠れる入れ墨男。実に賢い動きであろう。

 長剣男は別段姿を隠したつもりはない。ただ、ちょっと跳んだだけだ。木々を蹴って、その枝の上へと。

 その恐るべき脚力もさることながら、木の幹を蹴るならともかく、枝を蹴ってそれでいて枝を折らず、自身の跳躍も崩さずというのは見た目以上に難しい作業だ。

 これを苦も無く行なえる長剣男は、間違いなくこの動き方に慣れている。


「アホウが、私がこの機を逃すと思うか」


 風の音、草木の揺れる音、そして、数度の枝の跳ねる音。

 入れ墨男の更に背後に、その頭上より着地した長剣男は、傍の他のチンピラが音に気付いてをそちらを見る前に、再び高く跳び上がる。

 背中を袈裟に切り裂かれた入れ墨男は、その強烈な一撃で骨まで断たれ倒れ伏す。

 使えるのが床と天井ぐらいしかない道場にて、八方を腕利きに封じられどうにもしようがなくなってぼっこぼこに叩きのめされた報復を果たした長剣男であったが、それは当人が思ってたほど気分の良いものではなく、殺したうえでなお不快感しか残らなかった。


『……結局のところ。こいつと関わった以上、どういう経過結末であろうと不快にしかならないということなのであろうな。つまりこの手の下衆は見かけるなり即座に殺すが最適解ということか』


 良い勉強ができたと思おう、と自らに言い聞かせ、不快感をなだめんとする長剣男であった。






 他陣営より先んじて山に入り、山の中腹にまで登っていた派遣組合の組合長は、全身に満ち溢れていた怒りの感情が、勢いよく抜けていく音を聞いた気がした。


「おお、なんだいアンタも来てたのかい。奇遇だねえ」


 ありていに言うのならば、組合長は心の底からびびりあげていた。


「何年前だっけねえ、アンタのところの世話になったこともあった。アンタ、金払いがケチっくさかったからよく覚えてるよ」


 組合長は、今彼が山中にて対面しているこのババアが、ソルナの殺し屋エイターであると知っているのだ。もちろんそれを下手に口外すれば命はない。


「ああ、気にしなくってもいいよ。アタシらを探ろうとしたんじゃなくて戦場でぶつかったんだ。アタシの顔をそいつらが見ちまったとしても責めるのは筋違いってもんさ。けどね、ほら、わかるだろ? アンタらを殺したりはしないけど、標的もっていかれるのは面白くない、ああ、そうだね、全然面白くない」


 見た目はババアだ。少し太り気味で、顔中に皺が寄ってて、前かがみになりながら組合長を見上げている。まごうこと無きババアである。

 だが、組合長は顔中を真っ青に染めながら何度も何度も頷いた。そして振り返り後ろの怪訝そうな顔の配下たちに告げる。


「山を、下りるぞ。異論は許さねえ、文句のある奴は俺が殺す。今すぐ、この場で、両手足バラバラにしてから首を落とす。それでも文句のある奴前に出ろ」


 組合長の意図を察せぬ馬鹿が、呆れた様子で前に出る。


「おいおいなに言ってんだよくみあい……」


 そんな馬鹿の首を組合長は、大きく踏み込み両手持ちに握った剣で一撃で斬り飛ばした。

 剣術により斬り落としたのではなく、腕力で強引に千切り飛ばしたのだ。その振りの範囲が広すぎて、隣の男の肩まで斬れてしまったほどだ。

 荒くれ者を率いるだけあって、この男もまた己の武勇に十分な自負を持つ男である。


「他にいるか?」


 そう言って鬼気迫る表情で配下たちを睨めば彼らも口を噤む。そんな彼の後ろで、ババアは嬉しそうに目を細めていた。


「うんうん。昔と違って物の分別がつくようになったねえ。んじゃ、今度は依頼しとくれよ」


 殺気立った組合長の肩を気安く叩き、ババアは森の奥へと消えていく。

 残された組合長に、配下の一人が恐る恐る問うた。


「……あの、組合長。あの人、もしかして……」

「おめーらの察しが良くて助かった。アレが出張ってきちゃもうどうにもならねえ。ナギってのは連中に譲る。俺たちはオッテル騎士団とワイアーム戦士団を狙うぞ。どっちも他所の街から助っ人呼んでやがるから、何が出てくるかわからねえ。気を抜くんじゃねえぞ」


 うーっす、と一同の返事を聞き、内心で安堵する組合長。

 人の感情など嵐の中の蝋燭の火のようなものだ。本物の、死そのものを前にしては。

 命懸けにすらならない。畑を耕すように殺され、種をまくように殺され、麦穂を刈り取るように殺される。アレにとっては、毎日の何気ない挙動一つ一つていどの手間で人を殺せてしまうのだ。

 意地も度胸も誇りも立場も、天より降り注ぐ雷相手にこれを誇る馬鹿はおるまい。当たれば必ず死ぬ自然災害からは、身をかわすのが最善にして唯一の手段なのだ。






 山頂で待ち構える形を取っていた涼太たちであるが、ここでするべきことは何もない。

 涼太のみ忙しそうに遠目遠耳の魔術であちらこちらと探っているが、凪も秋穂もアルフォンスも手持無沙汰のままで。

 なので涼太が魔術で入手した敵の位置を、足元に記した簡易な地図の上に石を置いて確認しているのを見て、三人でああでもないこうでもいないと暇つぶしに言い合っている。


「りょーたー、こっちの石、その強そうな長剣使いでいいのよねー」

「おう。てか俺は忙しいんだからあっちで遊んでろ」

「ねえねえ涼太くん。動きが良いのって組合のだったよね。組合って特筆するような凄腕いなかったって聞いてるけど……」

「山に慣れてる奴ばかりの集団なんだよ。だから俺は集中しなきゃなんねえんだっての」

「おいリョータ。それ、本当に遠くが見えたり聞こえたりするのか? 今すぐ私にその原理を説明しろ。ウチの長老共ですらそんなアホみたいに便利な魔術使ってるの見たことないぞ」

「こんなヤバイ魔術そう簡単に他人に教えられるか。そもそもエルフがこの魔術知らないなんてことあるはずねーだろ、知りたきゃお前のところの師匠にでも聞いてこい」


 なによそのあつかいはー、とか、えー暇だし相手してよー、とか、エルフの秘術教えてやるからそれと引き換えにな、とか、涼太が静かにしろと言っても誰一人聞いてくれない。

 涼太の周りに集まって三人で好き勝手にぎゃんぎゃんと騒ぎ立てる。

 涼太は可能な限りこれらをスルーしながら、心の内で嘆息する。


『お前ら、これから殺し合いしよーってんだから、もーちょっと真面目に準備してくれ』


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― 新着の感想 ―
[一言] 向こうさんだって君らのこと大真面目に狙おうとしてないんだからおあいこだね。(誰のせいか、からは目を背けるものとする)
[良い点] 混沌としてきましたね。結果が楽しみ [一言] アルフォンスも同類だったかー(知ってた
[一言] 不幸な時代だ!悪党ばかりが嗤っている! …という北斗のタイトル(厳密にはタイトル違うけど)をおもいだした。ヒロインの一人を見ていてそういう感想が浮かぶのもどうなのかとも思うが、割りと作者の…
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